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The English Patient

The English Patient

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The English Patientの解説

痛いほどの美しさ。救いようのない悲劇。『The English Patient』(邦題『イギリス人の患者』)は、第二次世界大戦末期のイタリアのある修道院を舞台に語られる、4つの破壊された人生の物語である。疲れ果てた看護婦ハナ、障害のある盗人カラヴァッジョ、用心深い土木工兵キップ。そして彼らの心を捕らえる、ひとりの謎に満ちたイギリス人の患者。修道院の2階に横たわる、やけどを負った名前もわからないその男の熱情と裏切りと救出の記憶が、稲妻のように物語を照らし出す。マイケル・オンダーチェは詩的叙情にあふれた文体で、それらの登場人物たちを互いに絡み合わせ、固く結びつけたかと思うと、真実をえぐる鋭い感性で、織り上げた糸をほどいていく。
偉大な文学の要素をさまざまに備えた『The English Patient』は、ブッカー賞を受賞。詩人であり小説家であるオンダーチェの著作にはほかに、『In the Skin of a Lion』『Coming Through Slaughter』(邦題『バディ・ボールデンを覚えているか』)『The Collected Works of Billy the Kid』(邦題『ビリー・ザ・キッド全仕事』)、2つの詩集『The Cinnamon Peeler』と『There's a Trick with a Knife I'm Learning to Do』、そして自叙伝『Running in the Family』(邦題『家族を駆け抜けて』)などがある。

The English Patientの商品レビュー

4.0 Profound, beautiful and enigmatic
第二次世界大戦末期、イタリア・トスカーナ地方の廃墟となった僧院に混沌の時期を共有した4人。
従軍看護婦だったカナダ人のハナ、彼女の父親の友人で泥棒(のちにスパイ)のカラバッジョ、不発弾や地雷処理の仕事を専門とするインド人でシーク教徒の工兵キップ、そして砂漠の調査探検家、「イギリス人の患者」と呼ばれている重傷を負った男。
それぞれの人生に戦争が大きく覆いかかり、失意や危険のなかに辛うじて生きている4人は、偶然の出会いからしだいに心を通わせていく。ほのかな愛も生まれたかにみえる。
それぞれの辿った人生が現在と過去が錯綜する形でしだいにあきらかになり、戦争の悲惨さ、残酷さも容赦なくつきつけられる。「イギリス人の患者」は砂漠の中で愛した女について語り始める・・・・。

平易な語彙で実に美しい詩的な表現が随所にみられ、心に染み通る。同時にあまりに詩的で難解な部分も。
最終場面ではヒロシマの原爆が物語の展開に大きな要素となっている。アジアと欧米の対峙は作者がスリランカ人たる所以だろうか。
1992年ブッカー賞受賞作。
5.0 砂漠の美しさに心惹かれて・・
とにかく全編詩のように美しい文体で、初めからその魅惑的なストーリーに強く引き込まれた。作者がいかに砂漠を愛し、大切にしているかがわかる。死ぬ間際に人生におけるあらゆる珠玉の言葉−真理とも言える壮大な哲学的名言を遺した男。彼を看取りながら、自分も運命の怖さから救われたいと願う女。彼等の現在と過去を描きながら、作者は人間にとって国籍や国境などがいかに無意味であるかを訴えている。「本当の家に帰り着くには一体いくつの国境を越えれば良いのか?」あの名作「こうのとりたちずさんで」を憶い出す。原書の美しい英語そのままの訳も見事。
5.0 絶版です。買うべし!
素晴らしい!のひと言です。
以前、借りて読んだのですが、その美しさが忘れがたく、手元に置いておきたくて購入しました。全編がまるで詩のよう。作者が詩作の盛んなインド圏にルーツをもっているから、こんな不思議な小説が書けるのかもしれません。もう小説も飽きたなんて思っている方も、この小説を読めば、「まだこんな世界があったか!」とうれしくなると思いますよ。
数年前に映画化されましたが、あの映画は小説の素晴らしさの半分も表現できていないと思います。というか、この美しさは映画では表現できないだろうなぁ。
彼の新作を待っているのですが、なかなか出版されなくて残念です。
単行本、文庫本とも絶版のようです。見つけたら、即購入をおすすめします。
5.0 詩的な文章にやられました
文章がとにかく素敵でした。
少し引いたところからの描写。
登場人物への遠巻きなアプローチから、接近するにつれて変わっていく人称は、映画では絶対出せない肉薄感でしょうね。うーん、本ならでは。
そしてそして、廃墟と若い女性、病人と砂漠、傷ついた泥棒、爆弾と青年。この取り合わせたまりません。ミステリアスで美しすぎます。
ただちょっとラストは無理に収集をつけている感じも受けました。
闇と灯で織り上げた美しいタペストリーの断片に、結末は不要という気も。
それはさておき、読んでいてとても満足感がありました。
5.0 最高に美しい物語・・・・
 比較的、簡単な英語で書かれています。その文体の美しさを感じ取ることまでは、私の英語力ではできないのですが、アメリカ人の友人に、大学で「英語学」を(つまり彼女にとっては国語ですよね)修めた人がいるのですが、彼女が教えてくれたことには、この本は平易な英語でありながら、実に美しい文体で書かれているそうです。
 
 イギリス人、砂漠、地理学協会、学者たち、1940年代、廃墟の図書室、
一冊に封じて持ち歩くノート、いくつかの文学書、そして年の離れた男と女との苦しくも熱い恋・・・。出てくる何もかもが大好きなものたちばかりでした。日本語でも読みましたし、映画も見ました。訳している土屋政雄氏の文体は当時は見事なものだと感じましたが、今となっては、自分の文体でさらっと読むのもいいかな、と思っています。
 イギリスの文学賞、ブッカー賞受賞の素晴らしい名作です。

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