至高のデザイナーの目で人を見る
故Tibor Kalman、稀代のデザイナーが見る鮮明にして力強いメッセージが凝縮されています。 写真という、撮影者の感性以外の何者の介在も許さない方法で、人、非日常、個性、そして人生といった複雑なメッセージを、彼は見事にデザインとして表現しています。 0.1ミリの誤差に試行錯誤を繰り返す日々を送るデザイナーにとって、デザインの本質とその力を改めて考えさせる、1ページ1ページが新鮮な本です。テーマごとに分けられてはいますが、
ある種のメッセージを表現したいが為にその方法としての被写体を追い求めたというよりは、旅行を通して自らが出会った絵を後から整理したという印象を受けます。 しかしながら、ただの旅行記とは違う、人や物が放つ力強いメッセージをそのまま写真として取り込んでしまう、Kalman氏のデザイナーとしての高い観察力に圧倒されてしまいました。
人は何故服飾をまとい、
民族は何故その価値観を衣装に反映させるのか。
そんな大きな疑問を解こうというのではなく、ただその服飾と人物が織り成すメッセージを受け取って欲しい。 そんな意図があるように思えてなりません。 我々の非日常と、他人の日常、人生や個性に対して様々な想像力を刺激してくれます。
デザイナーにとって「大きな深呼吸」
と呼べる本のように思えます。
時折ここに戻っては、自分の見るもの、他人の見るものを再確認させてくれる、不思議な居心地の良さを体験させてくれる本です。
人っておもしろい、飾るっておもしろい
行きつけの美容室に置いてあって、連れを持っている間に手に取ったらやめられなくて全部読みきって(見きって?)しまったのに、さらに購入してしまったというくらい、気に入った作品。既成概念を揺さぶられる、というか。私たちの周りとちょっと違う、ぱっと見、奇抜な人もいるけれど、逆から私たちを見たときに感じる感覚も同じだろう、と思わされる。
「ファッション」を意識している被写体も、ただ当たり前に、以前から「そこ」にあったものを身に付けている被写体も。世界にはこんなかっこをしている人もいるのかー、「ファッション」ってわからんなーってかんじです。
世界中の「ファッション」を切り取った写真集だけど、タイトルには「(un)」がついてるし、「死」や「誕生(あるいは生まれ変わり)」というキャプションのついた写真もあるし、「ファッション」の写真集であって「ファッション」の写真集でないような、写真集です。