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大野は様々な曲折を経て、日本語の語源はクレオールタミル語であるという 結論に至った。クレオール語は、いわゆる(印欧)比較言語学的手法では解明 できない言語である。 しかしながら、今日でも言語学者は印欧流の比較言語学的観点から大野説を 論じようとする。これでは的外れの結果にしか至らないのは明白である。 本書は大野説の集大成であり、音韻対応、語彙対応、文法対応のすべてにつ いて詳細に論じている。ことに文法対応は圧巻である。 もっとも、岩波書店は、本書は売れないと判断したのか、造本は脆弱で、し かも索引さえ付けていない。索引がないのは極めて不便である。 奇妙なことに、大野説を批判する学者は、それ以前の大野の一般向け書籍に 対してのみ俎上にあげ、この「日本語の形成」には一言も触れようとしない。 日本の言語学者の視野の狭さを嘆かわしく思うのは私だけであろうか。