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敗北を抱きしめて 上 増補版―第二次大戦後の日本人

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敗北を抱きしめて 上 増補版―第二次大戦後の日本人の商品レビュー

4.0 読む価値あり
鋭い視点で敗戦後の日本社会を描きだした好著。
多くの興味深い史料を渉猟・分析している点は本格的な研究書として高く評価できるとともに、研究者以外の読者にも読みやすい内容となっている。
一読をお薦めできる一冊。
5.0 占領期日本の社会心理
 みすず書房刊「歴史としての戦後日本」を読んで、戦後日本史についての基礎知識はトピックごとに把握でき、現在の日本を見る際にも多方面に渉って活用できる視角を獲得できたが、本書は敗戦直後、GHQによる支配に服した時期(1945−1952)の日本社会の様子を社会・経済・政治・文化などの分野ごと、日本国内に生きていた人々の立場ごとに克明に記した著作になっている。

 構成は上下巻に分かれ、上巻にあたる本書では全五部十六章のうち第三部第八章までが収録されている。内容的には、敗戦という現実が齎した出来事、その出来事に対して対処した日本人、戦勝という現実に直面して対処したアメリカ人の様子をそれぞれ記述している部分が収められていて、そんな新しい状況に対して更に関わっていこうとする様子は下巻で取り扱われているようだ。

 読んでいくと、著者が目論んでいるのは敗戦の報を受け止めて、なお生きていこうとした人々の具体的な姿を浮かび上がらせようということのように思え、実際、その意図は成功している。敗戦時の社会心理がどの章にも具体的な身体像と共に描かれていて、そんな社会心理は現代に生きる自分たちにも強く受け継がれていることに思いが及ぶ。戦争が終結するや否や貯蔵されていた国富を略奪した官僚・政治家・企業家・軍人などは今の状況を思わせるものがあるし、「新しさ」を連発しようとする手法の古臭さは、戦時中から終戦直後、そして現在に至るまで受け継がれているし、感傷的な物語が流布されることで本来の問題性が隠蔽される様子も、現在まで変わらない仕組みになっている。闇市が流通システムを作り上げ、カストリ雑誌が現在と異ならないセンセーショナリズムの先駆なら、日本人を見下すアメリカ人の態度も対して変わってはいない。現在への連続性と問題性が、読むほどに脳裏に浮かんでくる。

 今の日本をセットした時期の割にうやむやにされてきた占領期の日本についての理解を、飛躍的にのばしてくれる1冊。
5.0 日本人の民主主義の一つの出発点を示す
上からの民主主義とは何だったのかということを考えさせられる。戦後60年たち昭和の終わった今も、この時期に下された様々な決定の影響下で生きていることを思わせる。私たち、この時代を知らないものにとっては、やはりそれを外から研究したアメリカ人の論考はとても読みやすい。その読みやすさの意味も考える上で、当時を生きた人の文章も同時に読むべきかもしれない。
4.0 勉強になりました
勉強になりました。全ての日本人は読むべきですよ。国家に騙されないためにね。

戦時中に国体を叫び庶民に犠牲を強いていた戦争指導者達が、戦争に負けた途端、
証拠書類の償却や軍需物資の横流しに躍起になっている姿が印象的だった。上野公園で
毎日何百人の餓死者が出ているのに彼らは私服を肥やすのに懸命だった。

これは、今現在、エリート層のやっていることと同じじゃないかと思う。
国体を叫ぶ代わりに「美しい国」を叫んでいる間に、指導者層達は税金のちょろまかしを
して私腹を肥やしているという構図である。

負けを見るのは一般庶民である。歴史から学ぶことの重要性を、この本は教えてくれた。
「歴史は繰り返す」ということも教えてくれた。日本国家に騙されたくない人は
読むべきだ。
5.0 普通の人々の物語
米国における日本史研究の大家、ジョン・ダワーが著した本書『敗北を抱きしめて』は、敗戦からサンフランシスコ講和に至る占領下の日本の7年間を生き生きと描き出すものである。占領軍による改革は勝者による「押し付け」であったとし、その産物である戦後民主主義に対して否定的なスタンスを取る言説は今なお根強い。しかしながら著者は、「押し付け」の構造があったこと自体は肯定しつつも、しかし敗者の側を一方的に受動的な存在であったとみることを拒絶する。単に「勝者が敗者に何をしたか」ではなく、日本占領を「抱擁」として捉え、敗者が勝者にどのような影響を与えたのかに着目するのである。

そのような問題意識の下に、著者は、占領期日本の社会・文化に焦点を当て、「民衆意識」を掬い取ろうとする。「瓦礫となった世界において、社会の全ての階層の人々の声を回復し、全てをやり直すということ、それがどんなことを意味したかを感じ取ろうと努力した」(P9)というのである。

そんな本書は、まさに日本の「社会の全ての階層の人々」が、敗戦をどう迎え、あの戦争をどう認識し、占領軍とその改革にどう向き合い、平和と民主主義についてどう考えたかを描き出す「敗北の物語」である。上巻では、あの戦争のもたらした破壊と絶望、虚脱感を克服せんとするかのように登場してきた新しい文化、そしてGHQの改革とそれに対する民衆の呼応が描かれる。「戦後レジーム」からの脱却が叫ばれる今、そもそも日本の「戦後」とは何だったのかを考え直す上で本書は避けては通れない一冊であろう。戦後日本の「普通の人々」の生き様を描いたこのドラマティックな「物語」をじっくりと味わいたい。

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