強く生きたかったんでしょうね。
「王朝物」後期作品集です。
11篇の短い物語の中の、様々な人物を通して、今も昔も変わらない、浅ましく愚かで、それでいて一途な人間の性(さが)が見え隠れします。時に残虐に、時にユーモラスに、時にもの悲しく、芥川は娑婆で思い苦しむ人間の物語を紡ぎ語ります。一途な信仰のすえ、死んだのちに口に白い蓮華を咲かせた五位の入道(「往生絵巻」)、陰謀により最愛の娘を目の前で焼かれ、それでもなお、屏風絵を完成させた良秀(「地獄変」)、好色の平中のあらゆるアプローチに残酷に拒否し続ける侍従(「好色」)・・・・。
何かを信じ続ける心、凛とした信念を持ち続けようとする心、これこそ芥川の求めてやまないあこがれだったのかもしれません。