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アイヌ神謡集 (岩波文庫)

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アイヌ神謡集 (岩波文庫)の商品レビュー

5.0 経済・文化が曲がり角にいる現代に贈られたアイヌ神謡
「銀のしずく降る降るまわりに(Shirokanipe ranran pishkan)」というリフレインが印象的な冒頭の神謡をはじめ13編を、ローマ字によるアイヌ語と日本語を対訳にして収めています。

序において、著者は、アイヌがかつて自然のすべてと溶け合って日々を送っていた楽しく幸福な時代を想い、それらが失われつつある現代(大正時代)を憂えます。幸恵は、その楽しくも幸せな時代の謡を、後世に伝え、和人にも知らそうとこの書を編みながら、数え二十歳の生涯を閉じました。巻末に、彼女のことについて金田一京助の紹介があり、神謡について知里真志保の解説があります。

真志保(幸恵の弟、北大教授、文学博士)によると、アイヌ文学は、韻文物語(詞曲)と散文物語(酋長談)に分かれ、前者は神のユーカラ(神謡)と人間のユーカラ(英雄詞曲)に分かれ、さらに前者はカムイユカルとオイナに別れます。そして、それらがどんな背景のもとで生まれ、変化してきたかが解説され、中でも神謡について、その名称が各地で異なることとその意味と特徴が示されます。リズミカルで親しみやすいリフレインについても解説されます。二十数頁の論文ですが、アイヌ文学入門でもあります。

経済、文化が世界的に曲がり角にいる現在、このような神謡の世界に遊びながら、人間の未来、これからの自然と人間の関係などに想いを馳せることは意味のあることと考えられます。
5.0 アイヌの伝承
アイヌの伝承を知る貴重な資料である。

ローマ字の音表記と日本語訳がついている。

金田一京助の後書きと、著者の実弟の解説がついている。

この2つを読むと、本文の価値を再確認することができる。
5.0 美しい日本語に出会える本
北海道旅行の前に予備知識として読んだ本でした。
北海道は観光地としてとても魅力あふれる土地だけれど、序に寄せられている知里幸惠さんのかわりゆく北の大地を思うと、もう当時の北海道を偲ぶことは難しいことを痛感させられます。海も山もアイヌの人たちが行き交っていた頃のそれとは随分変わってしまったことでしょう。
けれども彼女は滅びゆくアイヌの文化、伝承を惜しむ心の強さから文字通り心血を注いで神謡集をまとめたのではないかと思うのです。この本の製作に携わった金田一京助も幸惠さんの弟の真志保さんもそんな彼女の思いにひかれ、引き継ぐようにしてアイヌを見つめています。殊に金田一京助の聡明な幸惠さんの死を悼む思いは痛切で物悲しく心に残ります。
ゆっくり、じっくりとユーカラを口ずさみながらはるかなアイヌの民の古代生活に思いを馳せることのできる良書です。
5.0 アイヌ民族の蒸留の一滴
ユーカラとは、アイヌ民族の口承文芸。
アイヌ民族にとっては道徳の教科書でもあり、神々の元を表す聖典でもあり、
その精神文化を知る上で大きなヒントを与えてくれる。

この本は、ユーカラの中から「カムイユカラ」と分類される
(知里真志保氏の分類による)ものの中から、特に13話を選んで本に編んだもの。
フクロウやキツネの自然神の一人称叙述体で、彼らの体験を語るというのが基本的な特徴である。
ページの見開きの左にアイヌ語をローマ字で、右に対訳が日本語で書かれているので、非常に読みやすい。

アイヌの口承文芸を単に訳しただけにとどまらず、非常に美しい日本語を宛てられている。
「shirokanipe ranran pishkan」〜銀のしずく降る降るまわりに〜
アイヌ語でも日本語でも神秘的な響きを奏でる上の一編は、特に有名。
美しい詩世界から、アイヌ民族の自然信仰の一部に触れられる。

著者、知里幸恵はアイヌ女性。
惜しいことにこの聡明なアイヌ女性は、生来心臓に持病を抱えており、
この神謡集一冊だけを残し、19歳の若さで他界した。死の間際まで原稿に向かっていたという。
(彼女の人生については、藤本英夫氏の「銀のしずく降る降るまわりに」
また「知里幸恵遺稿 銀のしずく」に詳しい)

この本は、知里幸恵が19年の生涯全てをかけて送り出した、アイヌ民族の蒸留の一滴といえるのではないか。
「シサム」として、是非手にとって欲しい一冊。
4.0 とこしえの宝玉
第一印象が、
 不思議な本だ…。
というものです。
 日本語の文庫本なのに左綴じ
 表紙はシンプルに文字とアイヌの刺繍柄がちいさくあしらわれているだけ。
 タイトルは「アイヌ神謡集」
 開くと、右ページにローマ字でアイヌの言葉どおりに神謡が
 左に平易で美しい日本語でその訳が掲載されているのです。
 私は実際は、アイヌの言葉は全く分からないので、日本語訳の部分だけ読みました。

 アイヌ神謡そのものに興味がなくてもギリシャ神話や古事記などの話が好きな方はとても楽しめる内容です。

 アイヌの神は、いろんなところに宿っていて、人の前に現れるときは、動物達の姿の冑を着て現れる。
 人がその動物を捕らえ、しとめると、神は、その動物の耳と耳の間にいて、その後の様子(切り刻んで鍋に入れて調理されていく)も見ている。
 そんな世界観がとても新鮮で興味深かったです。

 金持ちと貧乏人がいて、貧富の差で子どもがいじめられたりする場面が出てきたりして、日本の昔話みたいな雰囲気も面白い本です。

 弟の知里真志保氏の論文が最後に掲載されています。
 これも神謡の作られていく歴史について解説されていて、とても面白いです。

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