物語の原形を見た。
どうせ読むなら初版本の訳じゃなきゃなあ、なぜってグリムが初版に手を入れて決定版に至るまでに、例えば「母親」を「継母」に書き換えたとなると、どうしても洗練される前の初版に触れてみたいと思った。そこで他文庫の初版本の訳選集を立ち読みしたが、これが子供の絵本調になっていたのでガックリ、全く読む気がしない。岩波文庫は決定版に加え初版から削られた話を含めて全5冊、多いなあと思いつつ頁をめくると訳がいい。中にはこれは日本の昔話なのではと感じてしまう程の訳まである。
不思議なことにどこにでもあるような話もある!? 例えば竹取物語似。どっちがオリジナルか、それともシンクロかはわからないけど。
何回かリピートして増幅しながらの変奏、あっけない結末というパターンものも幾つかある。
単に残酷なだけで終わる話から、人間の欲や、貧乏と王様王妃との世界の落差、神通力、恩返し、因果応報等が表出される。物語の原形を見た。
訳が一番好き
グリム童話の初版を和訳したものはたくさんあるのですが、訳が違うだけで本当に雰囲気が違ってきます。なぜこれが一番好きなのかと言うと、ひとことで言うと古風なのです。というか実際古い。(リュックじゃなくて「背嚢」という風に)
それから、原文がきつい方言のところはわざとなまった感じに訳してあります。飾ったところがなく、素朴な味わいです。グリムの怖い話が読みたい、という人もいるでしょうが、これはとにかく全部収録してあるので絶対に読めると思います。
アニメ風の絵本で親しんだ物語も、これで読むといかにもドイツの民衆に口づたいに広まったという感じがしてきます。