還元主義に耐えられるか?
この本の著者河合雅雄氏は紹介する必要のないくらい有名な、京都大学の霊長類研究の大家の方です。
なので、もちろん霊長類の研究によって得られた成果を「子ども」「教育」「家族」といった人間関係に還元する
いわゆる還元主義の最たる本です。表題につけられたもうひとつのテーマである「自然」については最後に言及がありますがさほどクローズアップされていないように思われます。
そのため、この本を評価できるか否かはこの還元主義を受け入れられるかにあります。
霊長類についての研究は非常に面白いと思います。いろいろな専門的用語を提示しながらの霊長類の行動パターンや
生物学的特徴についての紹介はそれだけで非常に好奇心を満たしてくれます。ただ、まず第一にそれを人間に応用するのは
どうか、第二に霊長類→人間へと議論が移る過程で著者の意思が関わりすぎていないか、この辺りが
この本を受け入れるかどうかのポイントになります。
正直私はそれぞれの理論が至極もっともなだけに霊長類についての研究を語るか、子どもと家庭について語るか、
はっきりしたほうがよいのではないか、と思いました。