一所懸命に生きよう
メルヘン(=民話)は時代を経て語り継がれてきたものだから、その中に人生の知恵が含まれるのは当然のことだ。本書は4つのメルヘン、「皇帝の新しい着物」、「いさましいちびの仕立屋」、「二人の兄弟」、「死神の名づけ親」について著者なりの人生の知恵を読みとる。
最初の三作品からは、経験から次々と学ぶことで自分の思い込みを正して、より完全な自分に近づく(べきだ)ということを読みとる。最後の作品は、死と真摯に向き合えということか。
若いうちは思い込みで行動しても、その経験から教訓をくみ取り、やがては十分な成長を迎えることができる。成功するものは、教訓を学んだものであり、学ばなければ何も変わらない。もっともなことであり、メルヘンの裏付けがあれば説得力が増す。
私には、この物語で語られる成功には多分に偶然的なものがあるところが気になる。真摯に行動し、幸運に恵まれて、初めて成功する。運は望んでどうなるものでもなく(誰もメルヘンの主人公ほどの幸運には恵まれないだろう)、学ぶものは経験の中からしか得られないとすれば、つまりは真摯さの奨励に尽きるということになる。
一所懸命に生きようという気持ちにさせてくれる本だ。