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Jポップとは何か―巨大化する音楽産業 (岩波新書)

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Jポップとは何か―巨大化する音楽産業 (岩波新書)の商品レビュー

5.0 音楽産業の流れが追える
先日から岩波文庫は2冊目。どちらも、構成やデータの収集、提示の部分はしっかりしている。さすがだ(結論が同意できるかどうかは別問題だが、この本はかなり同意できる方)。

この本は「Jポップを産業として分析する本(あとがきより)」だ。全体に好悪の感情を出来るだけ抑えて、事実とその分析を淡々と書いている。内容はきわめて信頼できると感じた。音楽のような感性に訴えかけるテーマでこのように書くのは至難の業だったろうと推測する。

現状分析の面ではレコード売上げは90年代に大きなピークがあって、最近の売り上げ減はその前の驚異的な売上げ増の反動という側面が強いとか、最近の音楽業界の収入源の変遷とか、日本のポップスの海外での稼ぎはほとんどアニメ関連であるとか、面白い指摘があちらこちらにあって、「へ〜」を何回も言わされた。

私もJポップと言う言葉には多少の違和感を感じながらも、そこに分類されている音楽が結構気に入っていた。本書は音楽の方にはあまり踏み込んではないのが少しもの足らないと言えば無い物ねだりになるだろうから、例えば「宇多田ヒカルの作り方」などと併読すると面白いだろう。
4.0 外国に対する「モノマネ意識」や「コンプレックス」がないことの問題
 「モノから文化へ」っていう資本主義の進展、それと呼応するかのような若者たちの「自己表現ブーム」って文脈の中にJポップ現象を位置づけた分析は的を射ていると思う。レコード→CD→カラオケ→着メロっていうハードの変遷や女子高生マーケティング、90年代のJポップ・バブルと新世紀に入ってからの凋落の兆しまで、この10数年のJポップに纏わる重要な事象、問題点はほぼ抜かりなく網羅している。「これ一冊で1つのテーマを概観」って新書のニーズには120%応えている内容だ。
 ひとつ違和感を覚えたのは、“「日本のポピュラー音楽が外国と肩を並べた」というファンタジー”ってやつ。思うにそんなファンタジーは、Jポップの出現と軸を一にして消滅したのであって、今の状況って「外国」が意識の中に無いことこそが問題なんじゃないだろうか。つまり、Jポップが洋楽の代用品って感覚を持ってるのは30代以上のおじさん、おばさんであってさ。今や音楽に「洋楽」「邦楽」は無くて、極端に言えば、音楽=「Jポップ」なのであり。こうした傾向って音楽だけではなく、2006年は20数年ぶりに邦画の興行収入が洋画を上回った、なんて話題もあった。タカアンドトシに「欧米か!」ってツッこまれてはじめて、それが欧米由来のモノだって気づくくらい、今って一見、外国に対する「モノマネ意識」や「コンプレックス」ってないよね。本書でも、あまり厳密に捉えていないのが、「J-WAVE」vs「TOKYO-FM」や、「渋谷系」vs「ビーイング系」の対立構図で、前者には外国に対するコンプレックスの自覚があるのに対し、後者はある種の開き直りなんだよね。結局、Jポップ現象って言うのは「外国」を無いものとしてごまかした後者の開き直り組が中心に居た訳でさ。まぁ日本人は「外国には一切無関心。頭には自国しかない」って姿勢を何十年もかけてアメリカから学んだのかもしれないね。
4.0 構造は良く分かったが...
 日本の音楽産業の構造とその問題点は非常によく分かるが、構造には必ず問題がくっつくものだ。
 本書に「タイアップなどなくとも、人々の心に響くうたをつくろう」と書かれてあるが(P.228)、たぶん一般的にミュージシャンは人々の心に響くうたをつくったからタイアップをしてでも人に聴いてもらいたいと考えるのだと思う。
 洋楽だけを聴いてプロになった‘渋谷系’と呼ばれるミュージシャンは日本どころか海外においてもそれほど売れていないのは何故なのか。海外のミュージシャンとのコラボレーションの多いコーネリアスはポップミュージックより現代音楽に接近しつつあるのは何故なのか。英語に流暢な宇多田ヒカルは間違いなく箔を付けるためではなく本気で全米ヒットを目指して「EXODUS」を制作したと思うが、結果が惨敗だった理由は何なのか。「ULTRABLUE」を聴くかぎり才能が枯れたとは思えない。日本のミュージシャンの英語歌詞に問題があると書かれている(P.158)。私は未だに「I can't get no satisfaction」というフレーズを聞く度に違和感を持つが、それはミック・ジャガーではなく私が悪いのか。著者に今後求められるものは、本書で展開したような構造から外れる部分に関する考察だろう。
 正月のテレビのバラエティー番組を見ていて、日本人は本当に‘モノマネ’が好きで、‘モノマネ’こそが日本人にとって共感のツールなのではないかと私は思った。
4.0 もしかしてこれは、留学経験者の日本回帰の一形式ではないか?
 すでに指摘がある通り、技術革新が音楽の世界をどう変えたかを多様なファクターを考慮しつつ分析した内容で、「Jポップ」はその一挿話でしかない。その意味でタイトルの適切性は疑問だが、非常に興味深い本であるのは間違いない。
 ただ根っこの部分で、私はこの本に物足りなさを感じる。
 例えば第3章で、広告とのタイアップにより音楽は「その表現の自由のかなりのレンジを放棄しなくてはならない。広告が持つ表現上の制限を受け入れることを覚悟しなくてはならない」(p103)と論じられる。しかしその直前で「筆者は『音楽が企業の営利活動と手を結ぶことそのものが商業主義で許されない』というような原理主義的な芸術至上主義には、賛同しない」と留保を忘れていないし、直後のシメの言葉も「これは、広告が表現の自由に敵対するという意味ではない」「広告表現と音楽表現は、そもそも最終目的がまったく違う、というにすぎない」…しかし、これだけ言った後で「すぎない」はヌルすぎないか?
 他にも「日本人が英語で歌うことの是非はここでは問わない」(p160)、「音楽家が政府行事に協力することの是非については、本稿では立ち入らない」(p218)などの言葉に、私は慎重さより、むしろ主題に対する熱のなさを感じる。
 あとがきで著者は、Jポップは日本人である自分とは何者かを考えるための「ごくささやかな入り口」と述べている。これだけ広汎な分析を繰り広げながら、著者の視線は自分自身に向かっている。それが主題に対する切実さの欠如につながっているのではないか、と思う。
5.0 J-POPの研究書として
著者がアメリカから帰国して耳にしたJ-POPという新しい言葉。それについて、徹底した調査を行ない、それがJ-WAVEの企画において作られてことを突き止める。さらに、日本のポップがメディアやオーディオ機器の移り変わりに伴ってどのように変化してきたかということについて、厳密な資料に基づいて、その歴史を述べている。
しっかりした研究書として評価される本だと思う。

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