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ルポ 改憲潮流 (岩波新書)

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ルポ 改憲潮流 (岩波新書)の商品レビュー

4.0 背景をつづった良書
改憲を論じる上ではいろいろな切り口がある。すごくざっくり言うと、九条は平和精神から死守しなければならない、という精神論(森達也とか)と、アメリカ主導の国際社会で責任を全うせねばならない、という現実論(自民党改憲派ほか)がせめぎあっている。本書は、そういう泥沼になりかねない論点から一歩離れ、監視社会の成立(ビラを撒いただけで逮捕)、ジャーナリズムの機能停止(監視社会を煽るのみ)、無責任極まりない日本の政治状況(二世議員が多いせいか政治家が当事者意識を欠いている)などの背景を丹念に拾ってつづっているところが優れている。

読んでいて一番腹がたったのは、典型的な改憲派政治家の考え方として紹介されている伊藤信太郎衆議院議員の発言。以下、同議員の発言。

<[…] 多くの国民は自由を求めているようでいながら、実は自由から逃れたいと密かに思っている。この国の国民はこういうふうにものを考えれば幸せになれるんですよというようなことをおおまかな国のなかで規定して欲しいというのは、潜在的にマジョリティの国民が持っている願望ではないか。>(本書 p. 54、自民党憲法調査会のなかでの発言から)

こういう人物に幸せを規定してもらいたくない。
5.0 改憲の意味
自民党は集団的自衛権の行使にこだわっており、これはアメリカ兵の尖兵として戦争に行くということです。とてもわかりやく書かれていて好感が持てました。関岡さん「アメリカの日本改造計画」や植草一秀さん「知られざる真実」を読めば、なぜ改憲したいのか政治家の意図がはっきりわかると思います。
5.0 マスコミの報道で見えないものが
 私はかつて憲法の勉強をしていたことがあり、国の権力の行き過ぎに歯止めをかける憲法の機能については理解していますが、それだけに今の社会現象について道徳などに関する教育が足りない、自由ばかりを重んじる憲法が悪い、という政治家に「そうだよね」と言ってしまいそうになる風潮は大変怖いと思っています。この本の中では、改憲への流れに載ってしまっていく現在までの日本の社会の歩みが載っています。メディアの中でも読売・朝日の2大新聞が憲法に対してどんな扱いを考え、社内でどんな議論をしてきてどんな苦悩を抱えているのか、また一筋縄では行かない政治の世界の動きについては夢中になって読みました。
 斎藤氏の本は他に2冊ほど読みましたが、「安全を守る」などという一見国民にとってありがたく思えることがいつの間にか自分たちを縛るものになってしまうような怖さに常に警鐘を鳴らしています。国が軍国主義に走っていく軌跡というのは、目の前で繰り広げられていてもそこに置かれた国民には見えず、振り返ったら手遅れになっていた、というものかもしれません。しかし、仮に国民が非力で結果がどうなってしまうとしても諦観してばかりではいけないのだ、と思わせられました。現在、「少子化」が問題としてマスコミでしょっちゅう取り上げられますが、せっかく子供を産んで次世代を育んでも、その頃の社会が自由な言論もできず、いざ派兵が堂々となされるようになって自衛隊が足りなくなったから徴兵を、ということになったら本末転倒ですから。
5.0 斉藤さん愚民を買い被り過ぎ。
本書を読んで「憲法」を真剣に考えようとおもう人間は果たしてどれくらいいるだろうか?
筆者には買い被り過ぎとしか思えない。人間の不完全さにつけ込んだ愚民政策で、その恩恵に与っているくらいにしかおもっていないのではないか?というのは受け身の考えでは憲法を利用できない(使い倒していない)ということだ。
護憲派のなかに現憲法を使い倒している人がどれほどいるだろうか?近代立憲主義の意義はそこにこそあるのだが。
5.0 新聞記者・斎藤貴男の底力
斎藤はフジサンケイグループの経済記者出身で、記者としての底力を感じさせる好著だ。斎藤自身は、早々とフジサンケイグループに見切りをつけたが、斎藤が一目置いていたという先輩記者の著作「フジサンケイ帝国の内乱―企業ジャーナリズム現場からの蜂起」(松沢弘著。社会評論社)を読むと、その理由もよく分かる。しかし、斎藤は、グループに残って抵抗する道を選んだ松沢(元論説委員)のこの著について「一回り上の先輩に、有名な特ダネ記者がいた。松沢弘、通称・デカ松さん。残って戦うデカ松さんは立派だが、ホリエモンごときに弄ばれるアホな会社のために、ああ、もったいないと、改めて考えさせられてしまったことも否定できない。でも、ここまで来たら、思いっきり、徹底的にやってこそ、きっとデカ松さんらしいのだ。後輩の一人としても応援します」(週刊東洋経済05年7月30日号)と語っている。

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