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親米と反米―戦後日本の政治的無意識 (岩波新書)

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親米と反米―戦後日本の政治的無意識 (岩波新書)の商品レビュー

5.0 「アメリカ」を軸にした近代日本論
副題まで読まないと誤解しそうになるのだが、これは「日本」論の本であって「アメリカ」論の本ではない。近現代の日本において「アメリカ」がどのような意味を持ち、そのような存在であったのか、という切り口から論じられた「日本」論であるから、他の期待を持ちながら本書を手に取った読み手にとっては、いささか肩透かしになるかも知れない。

内容的には、近現代日本社会に興味を持つ者であれば一読の価値のある分析が詰まっている。そういう意味では評者としても他人に薦められる本である。

ただ、カルチュラルスタディーズで知られた著者ならではの小難しい言い回しについては、「もう少し別の言い方もできように…」と思わないではない。とは言え、その他の部分にも本書の価値はあると思うので、訳わからんところは適当に流しつつ読んでも構わないだろう。必要であれば後で読み返せばいいだけのことである。
4.0 戦後日本と駐在アメリカ軍はどのようであったか
本書は親米派や反米派がどのような構図であるのかを描いているのではなく、この2つを当時の時代の政治経済、日本占領時の「アメリカ」、その時代の風俗や書籍・描写から親米と反米はどのようにつくられたのかを描いている。
本書を読んだ感想としては親米派として云々ではなく副題のとおり戦後日本及び日本に駐在していたアメリカ軍はどのような状態であったのかが非常に良くわかり、その理由により親米派と反米派ができたというところが非常に良くわかった。ただ、タイトルが「親米と反米」なので親米派の言い分と反米派の言い分が中心に扱われているのかなと思ったが、実際それはあまり盛り込まれていなかったのでそこは期待はずれだった。
5.0 日本マイナス米国=なんだろう?
日本人の感情と日常に住まう親米と反米について、明治維新から高度成長期末までの日本と米国の関係から描写。描写の内容は、政治経済的な観点ではなく、描写対象時点の書籍や風俗からの観点に重みをおいている。

 明治維新当初は憧れの対象であり外部の存在であったアメリカが、次第に日本の中に入り込み、いつのまにか日本と不可分な存在になっていく経緯が論じられる。

 幕末〜1910年代: 外部にある特別な存在(例:自由の聖地、列強)
 1920年代以降:   内なる存在としてのアメリカ(例、ハリウッド、ジャズ)
             「アメリカ的でない日本がどこにあるのか。アメリカを離れて日本が存在するか。
              アメリカ的でない生活がわれわれのどこに残っているか」
 戦後(占領期):  (1)内なる暴力としてのアメリカ(例、米軍基地、パンパン:米軍売春婦)
              「日本が犯されている」
            →米軍の本土撤退開始により、暴力としてのアメリカは次第に外縁化される。
             (2)見えざるまなざしとしてのアメリカ
              占領体制下での「アメリカ統治」イメージの希薄化と、「人間天皇」の前衛化
 70年台以降:    明確な限界や輪郭をもたない、自己と不可分なアメリカ


榊原英資著の「経済の世界勢力図」や様々な書籍で取り上げられている、米国のアジア諸国勃興に対する相対的地位の低下が本当のものである場合、日本人の中で不可分な存在となったアメリカが、次第に自己の中で外縁化されていく日常も遠くないのではないかと思われる。日本が中国と朝鮮半島文化から過去の日常を作り上げてきたことを鑑みれば、アメリカの忘却も否定できない話と考える。 
4.0 日本の「親米」を見直す
 好むこと好まざると、現代史において、日本はアメリカと何らかの形で深く関わってきたし、これからも当分の間、政治経済文化などあるゆる場面で深く関わっていかざるをえないであろう。では、我々はどのように主体的かつ現実的にアメリカに接していくべきか、十分なビジョンや方策を持っているといえるであろうか。
 本書では、現代の日本は「親米」でありつづけたと批判する。それは、イラク戦争や在日米軍の犯罪などを受けても、なお深いレベルで流れているという。現代史の様々な事件や問題とからめつつ、批判的に検討し、この「親米」感覚を解体し、乗り越えようとする。
 その主張はやや理念的かつ抽象的な面が強いように思われるが、いかなる政治的立場や歴史観をとるにせよ、我々がいかにこの唯一の超大国に接していくかは考えなければならない。

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