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ユビキタスとは何か―情報・技術・人間 (岩波新書)

ユビキタスとは何か―情報・技術・人間 (岩波新書)

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ユビキタスとは何か―情報・技術・人間 (岩波新書)の商品レビュー

3.0 ユビキタス社会の実現には技術よりも制度が必要!!
 ユビキタス社会の基本的な考え方や、その実現に必要不可欠なuコード、技術の現状、様々な実証実験等を分かりやすく紹介した一冊です。

 本書では、バーチャルな世界とリアルな世界が密接に結びついたユビキタス社会を実現するため、すべての空間やモノ、そして概念にまで、uコードと呼ばれるユニークな識別子を振り、そのデータ化を図ることが提案されています。さらに、そうした環境が構築されることで、リアルな世界におけるモノや概念等の多様な関係性と同様に、バーチャルな世界においても情報が相互に関連付けされ、必要な時に、必要な情報を簡単に収集できる、、、と続きます。

 しかし、ユビキタスでよく取り上げられる冷蔵庫の例を見ると分かるように、そもそも、すべてのモノにuコードが記載されないとその導入効果が期待できず、また、uコードに紐付けされる情報の信憑性を保障する制度設計をどのように行うか等、uコード導入の課題もまだまだ多くあります。
 結局、筆者が本書で述べているように、それが社会全体で使われるインフラとして、利用者の認知度が高まり、また支える制度が整備されないと導入は進まず、ユビキタス社会も中々実現しないということになります。

 卵が先か、鶏が先か、ユビキタス社会の実現はまだまだ当分先のことになりそうですね。
 技術の進歩に制度が追いつかないことに対する研究者の苛立ちが印象に残ります。
3.0 抽象的にものごとを考えるとはどういうことか
はじめのほうはユビキタス社会を支えるIT技術の紹介のようなかんじで進んでいきます。しかしながら最後のほうは、著者の日本に対する思いが述べられており、TRONを開発した時代から蓄積されてきた思想を吐き出したというかんじでしょうか。電脳建築学が専門と著者略歴に書くぐらいの人が日本にも存在するんですね。抽象アーキテクチャにこだわる姿勢は今の日本にとって稀有な存在だと思われます。
3.0 少子高齢化社会をより暮らしやすくする
奥深い内容です。ユビキタスの目指すものに会わせて、抽象度の高い内容になっています。

「ユビキタス」の目標は、少子高齢化社会をより暮らし安いものにすることです。そのためには、技術だけではなく、ルール・制度のバランスの取れた進展が必要です。

英米法にもとずくアメリカは、ベストエフォート型の制度設計で、個人主義である。従って柔軟性がある。一方、大陸法の日本は、保証型の設計で、集団主義である。したがって、安定性が高い。こういう比較が面白かったです。

ここ最近の日本では、ユビキタス社会に向けた、投資はたくさんなされているようです。ただし、直ぐに、ユビキタス社会が実現されることは難しそうです。
キーワード:インフラ、ネットワーク、オープンネス、標準化。
5.0 ユビキタス社会のグルによる最新ロードマップ
RFID・電子タグと言っても流通や物流業界の話だと思っている人が多いかもしれない。しかし電子タグはユビキタス・コンピューティングの重要な要素。スーパーのレジがバーコードで変わり、パスモやスイカで首都圏の電車利用が変わった以上の変化がはじまっている。世の中の情報を全て整理してしまおうと言うのがグーグルなら、それを更に進めて情報を現物と紐付けしようというのがユビキタス。つまり世の中の実物を全部整理しようと言うプロジェクト。
本書前半の電子タグの技術が今どうなっているかについて「技術」の説明も興味深いが、それ以上に「制度設計」の考え方がためになる。情報の流れは、場所・環境が人間を読み取るのではなく、人間が場所・環境を読み取るように設計すべきなのは何故か。精緻に設計された法体系を持つ日本のような国は、米国のような法律間の一時的矛盾を容認するような国に比べて技術進歩に対応するスピードが遅れがちだが、それではどうすればよいか。政策目標はどの程度具体的なのが良いのか。今後ベスト・エフォート型の組織や社会設計について議論を深めることが日本の会社そして社会の抱える問題解決のヒントとなりそうだ。
3.0 出版社が違うと、こうも変わるのか
著者の坂村教授は、この岩波新書本が出版される4ヶ月前に
アスキー新書から「 変われる国・日本へ イノベート・ニッポン」と言う
タイトルの本を出している。
半年足らずの間に2冊の新書を出すとは凄いペースであるが、
実はこの2つ、かなりの内容がかぶっている。

私は2冊とも読んでしまったが、結論から言ってしまおう。
この岩波新書版を読むよりは、アスキー新書版を読んだほうがよい。
また、ほとんどの人にはアスキー新書版だけで十分だ。

内容がかぶっている同じ著者の2つの新書であるが、
その「性格」は相当に異なる。
著者が同じで多くの内容が重なっているのにも関わらず、
ここまで読んだ印象が異なるのは出版社によるものだろうか。

アスキー新書版は、著者が自由に思いを語りながらも
広い読者層を対象にするために「読みやすさ」意識している。
その結果、著者の主張に「うんうん、そうだそうだ」と頷けるものに仕上がっている。

一方でこの岩波新書版は、やや狭くマニアックな読者層を意識したのだろうか。
かなり学術的に真面目に書こうとした意図はよくわかる。
ただし、ページ数に限りがある新書のこと、
堅苦しく判りにくいわりに十分に詳しい内容とも言えず、
その意図は中途半端なものになっていると言わざるをえない。
さらに、著者の「熱い思い」をストレートに伝えきれないもどかしさも感じる。

この本をお勧めできる対象を強いてあげるとするならば、
著者の推進する「uコード」に特に興味がある人達だろうか。

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