本書の真髄は泥臭いですが,泥臭いことこそ重要です
データマイニングというと,コンピュータを使ってデータを解析すれば
何らかの相関が得られて新たな知見が得られるといった先入観で見られ
ることが多い.しかし,この本で挙げられているチャンス発見はもっと
泥臭いひととひととのコミュニケーションがあってはじめてチャンスが
時系列のつながりをもったシナリオにつながっていくことを説き,一連のデータマイニングの考え方とは一線を画している(現に著書の中で大澤
さんはチャンス発見の考え方がデータマイニング研究者からは受け入れ
られず四面楚歌に陥ったと書いている).
この本はチャンス発見の入門書ではあってもいわゆるハウツー本ではな
い.この本さえ読めばチャンス発見ができるとはゆめゆめ思わないほう
がよい.人が深く介在してはじめてチャンス発見の土台が築かれる.
TQC/TQAではPDCAサイクルを回すことが強調されるが,チャンス発見で
は二重螺旋プロセスを回すことが強調される.データマイニングは二重
螺旋プロセスの一部であってもすべてではないことが理解できよう.
むしろ,製造現場などでTQC/TQAを実践してきた人のほうがチャンス発見
の二重螺旋プロセスは親しみやすいかもしれない.
この本を読んでから東京電機大学出版局刊「チャンス発見の情報技術」
を読むのがチャンス発見を理解するには順当なのだろう.
キーグラフ理論を仕事の現場に応用する本
人工知能や意思決定支援が専門である大澤先生の創出したキーグラフ理論を実際のビジネス現場で応用し、成果を上げた実例を紹介している。ビジネスチャンスを発見するには、現場から得られた環境データをテキストマイニングし、その結果をもとに主体データを分析していくというDNAの二重螺旋に似たプロセスを踏むことで、チャンスに気づくことが出来ると説く。繊維業界での応用で、キーグラフに実際の生地を貼って触感を確かめながら、マーケットに気づき、アンテナ感度を上げていく様子など、ビジネスピープルなら、「これは使える」と思わせる良書。
詳細な理論より仕事の現場での応用を書いた本で、ツールとしてのキーグラフは付録で理論を説明している。
これを機会にチャンス発見コンソーシアムに入って、勉強してみようかな。
マーケティングの話に近い印象??
シーズや技術を元にした新規事業開発のための本では、ありません。
マーケティングの本に近いような印象です。
データマイニング、テキストマイニングで分析したデータを、人間がどう判断し、どうシナリオを組み立てて、チャンスを発見するか?を、本屋さん、服屋さんの例等で説明しています。そこで、筆者達が開発した技法が使われてます。また、チャンスを発見するための、コミュニティーのあり方、コミュニティーでのリーダーのあり方などが解説してあります。
マーケティングあるいは、新商品、新しいコンセプトの開発には、こんな方法をとっているんだ、という点で、門外漢にも興味深く読めました。