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小説の未来

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小説の未来の商品レビュー

5.0 文句なく読み物として面白い文芸評論
 テクスト論的文学批評の限界を検証した理論編「テクストから遠く離れて」と同時刊行の、こちらは臨床編。1990年代以降の日本の小説12編を取り上げ、テクスト論を超えた新しい読み方、楽しみ方を提示している。「いまの文芸批評の多くが読み物であることを忌避している」と作者は語るが、そういう意味で本書は“文句なく読み物として面白い文芸評論”であると断言できる。作者は「あとがき」で、(日本の同時代小説が)「かなり面白いことに気づいた」「心ひそかに興奮もした」「かなり水準が高いのではないだろうか」と語っている。「あとがき」だけを読むと作者の熱さに中てられるが、テクスト論破りの小説の数々とがっぷり四つに組み、名勝負を繰り広げる本編を読めば、この、感情の高まりを抑えない、希望に満ち溢れた「あとがき」も決して大仰には感じられない。久々に“文芸評論家”加藤典洋の小説の“読み”が冴え渡る一冊と言えるだろう。
4.0 加藤先生、よくわかります
加藤さんは尊敬する評論家である。書かれたものはなるべく目を通すように
している。いつだったか、映画論について書かれた文章の中で、菅原文太主演の「まむしの兄弟」をフェイヴァリットな作品として、あげておられた。
ん?どうして「仁義なき戦い」でも「昭和残侠伝」でもなくて、「まむし」
なんだろう?とても不思議だった。

この本を読んで(もちろん映画の話なんか全く出てこないけど)、少し
わかったような気がする。町田康の「河原のアパラ」の評論の中で、作中、
子供がただの丸い石を洗い、「これは綺麗にしておかなければいけないの」と
語る(もちろん町田自身の深みからの声)場面の引用で、加藤さんは自らを

評論に向かわせる大切な動機について、同時に語っているように思う。
でもなあ、「センセイの鞄」よりは「神様」のほうがずっといいですよ、
加藤先生。という風に、各自が思わず意見を述べてみたくなる好著だと思う。

5.0 小説が読みたくなる文芸評論
興奮して一気に読み終えました。

この国の小説家たちが、なにを目指し、どう小説を書いているのか、
丁寧に、かつ愛情たっぷりに評論している極上の一冊です。
読んでない小説をすぐに読みたくなること、うけあいです。

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