介護を感じる
要介護度5で多くの病を持つ筆者の母。筆者は母のプライバシーとの関係から本書を執筆することに迷いがあったようだ。ただ、介護の個人体験を普遍化したいという筆者の強い思いが筆を運ばせたのだろう。筆者の職業は作家なので新聞、雑誌、講演など忙しい日々を送っている様子が伝わってくる。その中でホームヘルパーの助けを借りて、介護を行う毎日を過ごしている。本書の特徴は作家の個人体験であることだ。巧みな描写や叙述、会話を通じ介護体験をリアルに描いており、筆者自身が感じる迷いや喜びが如実に伝わってくる。その表現力によって、本書は読者自身が現場で介護に携わっている雰囲気をかもし出すことに成功している。また、これから介護を携わるかもしれない読者には、自分自身が介護をしている将来の様子を想像させる。私自身この作品を評価できる理由がここにある。エッセイを味わうことができるだけではなく介護保険の利用、ヘルパーや医者との接し方、痴呆の実態を筆者の体験から確実に学ぶことができる。
高齢化に拍車がかかるといわれる今日、医療、介護問題に対してさらに注目していかなくてはならないと感じる。本書は非常に有用であり、知人にも勧めようと思う。エッセイってこんなに素晴らしいんですね。
しょせんは有名人の介護
誰もが絶賛!のこの本ですが、私はちょっと違った感覚で読みました。
「介護している」とはいっても、昼間はヘルパーさん任せ。夜を過ごすだけの著者に、こんな本を書いて欲しくありません。著者は、自分が有名人で経済的にも恵まれていることをほとんど当たり前のように感じていると思います。世間一般の介護を担っている家族からすれば、偽物の優しさのオブラートにくるんだ「介護ごっこ」の本は
「ケッ!」とむかつくだけです。私のそのひとりとして白けた思いで読み終わりました。