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植物の生存戦略―「じっとしているという知恵」に学ぶ (朝日選書 821) (朝日選書 821)

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植物の生存戦略―「じっとしているという知恵」に学ぶ (朝日選書 821) (朝日選書 821)の商品レビュー

5.0 久しぶりに心地よい「研究成果の一般本」を読んだ。最先端の刺激と、わかりやすさとが上手に混じりあっている。
 植物研究の最先端の話がわかりやすくて面白い、というほかに、この本を薦めたい大きな理由が2つほどある。研究者の科学的態度が好ましく受けとれること、研究成果の一般への発信方法として優れていることである。

 花のつくられ方、植物の受精のメカニズム、根のつくられ方。それぞれの話は遺伝子探求までを含む専門の研究なのであるが、各章、高校教科書レベルの基礎の説明からはじめてあるので親しみやすい。各研究者がその現象、その材料、その方法を選択した理由も書かれていて、研究の発端とはこういうものか、というのがよく伝わってくる。大学院生にはテーマ選びの参考になる話かもしれない。
 さらに、大なり小なり、それぞれの研究者の科学の広い視点を示唆する言葉がみつかるのも嬉しい。副題や裏表紙の内容紹介の「じっとしている知恵」や『「動けない」のではなく「動かない」生き方で成功』という発想もその一つである。
 「完全に花が出来ない遺伝子条件は見つかっていない」現状も、『「花成しない」突然変異体がないということの中に、ほかならぬ「フェイルセーフ機能」の体現を見ていました。p71」と受け止める。簡単には乱されないようにつくり上げている生き物の真実を積極的に理解しようとする真摯な態度がさわやかでさえある。以前読んだよく売れている生物学の新書で、遺伝子のノックアウト実験が上手く行かないという結果の感想が「自然をむやみにいじってはいけないと痛感した」とあり、ちょっとがっかりしたことを思い出す。科学者もいろいろ、である。
 科学研究者の哲学的ともいえる部分が垣間見える文章は、改めて科学は哲学から始まったことまで思い起させてくれた。そうだ、学位のPh.Dとは、「哲学のドクター」だったのだ。

 先端の専門研究成果が、一般にもよくわかり哲学的にも広がりを感じる良い内容の本として出来あがった理由のもうひとつはサイエンスライティングが上手に活用されたことかもしれない。この類の本は各担当者がどこかに寄稿した文章の寄せ集めだったり、一般人が読むには難しい専門の話に終始したり、になりがちである。そのあたりの経過はあとがきに詳しいが、ライターとの共同作業で、わかりやすく、しかも最先端の刺激を感じさせる本に短時間で仕上げている。上手に組めば「忙しい研究者の執筆時間を軽減する」だけでなく、読み手のわかりやすさに気を配ることなどが可能になるという良い例になっていると思う。
 「特定領域研究」という、文部科学省の補助金を使った研究の成果をまとめた本なのであるが、税金を使った事業の報告義務として、一般国民へのわかりやすい還元の仕方の良い例にもなるのではないだろうか。価格も新書より少し高いぐらいで手も伸ばしやすい。同じように国家予算からの補助金を使っている研究者の方々も、大型の研究プロジェクトの結果はこのような形で一般に報告することを積極的にお願いしたいと思う。数年に一回のことである、そのぐらいの努力はしてほしい。結果報告書を読む審査委員の方々も、長い内部報告書は簡単にして、こういう出版物を報告書の一部してもよい、とするのはいかがだろうか。税金を使っての研究に関係している方には、ぜひこの本を読んで参考にして欲しい。
5.0 きわめて上質,しかも読みやすい
植物に関する最先端の研究を,各研究者自身が分担して書いた10章,どの1章をとっても世界的な研究ばかり。しかもどれも読みやすく1章は短いがとてもわかりやすい。高校の生物程度の知識,があれば十分読めるように書かれているが,内容を落としているわけではない。

個人的にはまさについ最近発見され認知されつつあるフロリゲンに関する3章,重複受精の瞬間をとらえた研究の5章,根の共生菌についての7章,頂芽優勢についていままでの知識を覆す9章が特におもしろかった。

他の章も非常におもしろく,知的興奮を覚えるすばらしいこの本は星5個では全然足りません。
5.0 非常に良質な選書
 非常に良質な選書。動物のように動きがみえない植物にも、このようなダイナミックなミクロな仕組みがあったとは、大きな驚き。
 語り口が一貫していてソフト、丁寧、一般人を意識しつつも最先端の取り組みを紹介しているのがうれしい。
 選書は一般的に、歴史もの、ハウツーもの、現代社会ものが多いが、このような良質な自然科学ものをおおいに出版しほしい。
5.0 植物から学ぶ
セコイアという植物が100m、その一方、動物はシロナガスクジラの34mが最大。

スギが1000年以上生きるのに対し、一方動物はカメの100年〜150年。

動く動物、動かない植物。動物に比べて劣っていると思われがちな植物が、いかに優れているのか、この本を読んで知る事ができた。


植物の生存戦略がわかることで、私生活や仕事にと、いろんな分野で生かせることが嬉しい。
5.0 最新の植物学の研究が易しく解説されています。
この本は、文部科学省の研究費がついた「植物の軸と情報」特定領域研究班での研究成果が素人向けに書かれています。日本人の現役植物研究者10名の研究が解説されていますので10章の構成です。動物、例えばヒトの身体は上下、左右、前後の3軸からなりますが、植物は上下と、(水平方向の断面で考えれば円の中心に向かっての)放射状の2軸になります。それから情報については、根、葉、頂芽、花芽、おしべ、めしべ、花弁、などがどのようにして伸びるのか・・当然ホルモンが直接間接に働いています。情報処理は動物は中枢神経ですが、植物は体全体でするそうです。
○植物のゲノム解析が終わり、研究に頻繁に使われている植物の種類は双子葉植物ではシロイヌナズナ、単子葉植物ではイネ。
○出現時期は単子葉が双子葉より後。被子植物でもスイレンなどは裸子植物に近いところがある。
○豆類の根粒菌は有名だが、ハンノキ、ヤマモモ、グミでは放線菌が窒素固定をする。なお、窒素固定をする微生物は原核生物に限られる。植物は吸収する窒素成分と根粒バクテリアからもらう窒素成分をあわせて必要量を測るので窒素肥料を多く与えると根粒ができなくなる。
○液胞のなかにDNA分解酵素、RNA分解酵素、蛋白質分解酵素が含まれこれらによって細胞壁などが分解され木部の道管が筒になる。
○中学、高校で習ったことの最新知識によるリニュウもあります。極核のあるところが中央細胞なんて習ったかな。

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