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ぼくたちの洗脳社会 (朝日文庫)

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ぼくたちの洗脳社会 (朝日文庫)の商品レビュー

4.0 パラダイムシフト
最近「世界征服」だとか、「デブ」だとか、そして、本書の「洗脳社会」だとか、のように、
書店で手に取るのを一瞬後ろめたくなるような、過激なことばをタイトルにあしらっているわりには、
著者の視点は安定していて、物の見方が暖かくて優しく感じるのがとても新鮮である。
パラダイムーーその時代その時代の社会的通念とでもいうか、その時代の大多数が良しと認めている共通観念
が、既にあともどり出来ない時点までシフト(変換)をしてしまった、と、著者は言う。
卒業しても職探しをしない若者、就職をしても長続きしない現代の風潮は、
自分の好きな物至上主義という新しい価値観という、時代の流れの必然の結果であって、
そこに善悪の評価を下すべきでないのだと。
理路整然としていて、ことばの定義なども的確で明解。読みやすかった。
本書は「世界征服」について書かれた著者の本の末尾に参考として、「フロン」と並べて紹介されていた。
その後に書かれたダイエット本も含めて、どの著作にも共通する根本のアイデアが本書には詰まっていると思う。
読んでみて非常におもしろかったし、読み応えもあったので、星を5つつけたいところだが、
現在品切れということで、私はあきらめかけていたところ、幸運にも古本屋で発見し入手した。
手に入らなければ、ほかの本でもよいのだが、ご縁があれば読んでみることをお薦めする。
4.0 確信犯的
ダイエット本がバカ売れしている著者だけど、本業はSF作品批評と社会学である。
テクノロジーの進歩とそれに伴う人々の消費活動や価値観の変化について
書かれているが、口語調の文章はとても親しみやすい。
文明が発達してもネットが普及しても、
自分たちは騙し騙されの洗脳社会を生きなければならない。

この本の発行から12年、著者の「いつデブ」の発行は確信犯的なものを感じた。
人を騙すにはまず見た目から・・・というか。
著者はオタクを相手にしたマーケティングが専門である。だから先見性があるし、
誰が情報を流し、誰がそれに操作されるのか、といった権力の仕組みに敏感なのだと思う。
4.0 今でも新しい「変わる世界論」
「だれもが他人に影響を与えることに競争する社会」それが洗脳社会だ。

「世界征服入門」や「いつまでもデブと思うなよ」などの著作で再び注目を集めている「オタキング」岡田による、情報化社会論。

本書は1995年の著作ということで、随所に当時の時代の空気を感じ取ることができる。アルビン・トフラーの「パワーシフト」の大きな影響や、「マルチメディア」「パソコン通信」などの言葉も出てくる。懐かしい。

さて、岡田の本書での主張どおり時代は「産業社会」(=科学技術を基盤にした経済中心の社会)から「洗脳社会」(=他人への影響力を競う社会)へと変貌しているのであろうか。

当時のいかなる予測をも超えて、インターネットが爆発的な普及を見せ、パソコンと通信回線さえあれば誰もが膨大な情報に簡単にアクセスできるようになった。ネット上の口コミがマスメディアよりも「信頼できる」メディアとして登場してきた。日常、物を買う際にもネットで口コミを検索するし、分からないことはネットで調べる。それが当たり前になった。

個人が自由に意見を発信し、それがマスコミと肩を並べるほどの大きな影響力を持つ。「洗脳社会化」が着実に進行している印象だ。一方で、若者の理系離れや労働感の変化も着実に進行している。まだまだ過渡期との印象だが、産業社会の屋台骨が揺らいでいる。

このような現状を考えるとき、岡田が10年以上前に予言した洗脳社会化の考え方の妥当性に驚く。この考え方の枠組みは今でも十分説得力を持つものだ。

最近の岡田の著作に影響を受けた方は、是非本書を読んでみてほしい。時代を読み解く上で今でも有効な本。
4.0 奇抜な未来予測
確かにおもしろいのですが、納得できない部分も多少あります。
例えばP213の“労働時間の調整はますます進み、週休三日もそう遠い話ではないはずです。”という部分は正直来そうな気がしません。
それと、何度読んでも洗脳という言葉に違和感を感じてしまいます。
でも、その部分を差し引いても読む価値はあると思います。

最後に、この本はカバーをはずすと、岡田さんの文庫版あとがきが読めるようになっています。
5.0 正しい卓見であった
内容を簡単に要約すると:
どの時代でも「豊富なものをふんだんに使いこなし希少なものを大切にする」ことが時代精神となる。そのようにして時代のエピステーメーが変化して思想信条心性になっていてる。これからの時代は「事実・事件に対する情報メディアによる解釈が豊富になり資源・ものが不足する」ので
@メディアによる解釈を万人が駆使し合うことがカッコよいとされ、「権力者や一部特権的な知識の分配人だけが他人に対する情報を自分の意図する方向に操作制御することができた」時代は去り「万人が万人を自由に洗脳することが出来それが尊ばれ」、「洗脳の独占」と「他人が誰かを暴力的に洗脳を強制すること」が最大の悪徳となる。
A物質的製造とそれを支える実質的経済活動,および進歩と開発と物質的繁栄は無価値になる。
従って、
@自分にとって気分のよいイメージの思想・商品・人間関係を様々な状況に応じて使いこなせる人物
A他者に対して自分の主張したいイメージを具体的かつ分かりやすく説得力をもって提示することとそこで提案された具体的作戦の成果を他者の批判の目の中で正直に公開できる人物
B他人の気分と信条・信条を侵害せずに「常に楽しく朗らかに人間関係を築ける人物
この三点を兼ね備えていることが「自由で自我の確立した人」ということになる。このばあいの自我は「さまざまなシステムのなかで成立している主体」のことで、その都度のシステムによって異なっているものであり、この様々な主体を軽やかに移動出来る「私」のことである。従って「他人のものでない自分の欲望を表明する自我」という近代の自我ではなく自我を分裂させたまま使いこなすことが理想となる。
以上の論点が説得力を持って展開されている。恐るべき洞察力であると感服する。

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