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ぼくたちの洗脳社会 (朝日文庫)

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ぼくたちの洗脳社会 (朝日文庫)の商品レビュー

4.0 高らかに歌え、ニュー・パラダイム
色物的タイトルとは裏腹に一応まともなことが書いてある。トフラーの「第三の波」と堺屋太一の「知価革命」を下敷きに、現在我々が迎えつつある未曾有のパラダイム・シフトを自由経済社会に替わる「自由洗脳社会」と規定、そこではイメージが資本財として機能し、人々は自由に価値観を共有し合い、影響を与え合う。個人は複数の価値観を所持するために多重人格的傾向を帯び、人間関係も価値観の共有が軸となるため「広く浅く」なる──本書が書かれたのが'95年、阪神淡路大震災や地下鉄サリン事件のあったまさに世紀末世相の時期だけあって、開陳される未来予測は現行の(相当崩れつつある)パラダイムを基準に俯瞰すると何だか荒漠とした印象であり、著者の生暖かく諦めたような語り口がアナーキーな未来像を一層ざらついたものに見せるものの、10年以上経った現在、その慧眼の精度の高さには今さらのように舌を巻く。こんな世界イヤだなぁ、と思ってもトフラーの「引き返せない楔」説によればいったん通過したパラダイムの変化は後戻りできない。昨今の不可解な、あるいは理解したくない様々な事件のあれこれも、本書を読めばすんなり飲み下せる気がすることを思うと、いよいよ我々は変化の本流に呑まれようとしているのか。仕方ない、著者に倣って力なく呟いておくとしよう──「でも、大丈夫」。
4.0 パラダイムシフト
最近「世界征服」だとか、「デブ」だとか、そして、本書の「洗脳社会」だとか、のように、
書店で手に取るのを一瞬後ろめたくなるような、過激なことばをタイトルにあしらっているわりには、
著者の視点は安定していて、物の見方が暖かくて優しく感じるのがとても新鮮である。
パラダイムーーその時代その時代の社会的通念とでもいうか、その時代の大多数が良しと認めている共通観念
が、既にあともどり出来ない時点までシフト(変換)をしてしまった、と、著者は言う。
卒業しても職探しをしない若者、就職をしても長続きしない現代の風潮は、
自分の好きな物至上主義という新しい価値観という、時代の流れの必然の結果であって、
そこに善悪の評価を下すべきでないのだと。
理路整然としていて、ことばの定義なども的確で明解。読みやすかった。
本書は「世界征服」について書かれた著者の本の末尾に参考として、「フロン」と並べて紹介されていた。
その後に書かれたダイエット本も含めて、どの著作にも共通する根本のアイデアが本書には詰まっていると思う。
読んでみて非常におもしろかったし、読み応えもあったので、星を5つつけたいところだが、
現在品切れということで、私はあきらめかけていたところ、幸運にも古本屋で発見し入手した。
手に入らなければ、ほかの本でもよいのだが、ご縁があれば読んでみることをお薦めする。
4.0 確信犯的
ダイエット本がバカ売れしている著者だけど、本業はSF作品批評と社会学である。
テクノロジーの進歩とそれに伴う人々の消費活動や価値観の変化について
書かれているが、口語調の文章はとても親しみやすい。
文明が発達してもネットが普及しても、
自分たちは騙し騙されの洗脳社会を生きなければならない。

この本の発行から12年、著者の「いつデブ」の発行は確信犯的なものを感じた。
人を騙すにはまず見た目から・・・というか。
著者はオタクを相手にしたマーケティングが専門である。だから先見性があるし、
誰が情報を流し、誰がそれに操作されるのか、といった権力の仕組みに敏感なのだと思う。
4.0 今でも新しい「変わる世界論」
「だれもが他人に影響を与えることに競争する社会」それが洗脳社会だ。

「世界征服入門」や「いつまでもデブと思うなよ」などの著作で再び注目を集めている「オタキング」岡田による、情報化社会論。

本書は1995年の著作ということで、随所に当時の時代の空気を感じ取ることができる。アルビン・トフラーの「パワーシフト」の大きな影響や、「マルチメディア」「パソコン通信」などの言葉も出てくる。懐かしい。

さて、岡田の本書での主張どおり時代は「産業社会」(=科学技術を基盤にした経済中心の社会)から「洗脳社会」(=他人への影響力を競う社会)へと変貌しているのであろうか。

当時のいかなる予測をも超えて、インターネットが爆発的な普及を見せ、パソコンと通信回線さえあれば誰もが膨大な情報に簡単にアクセスできるようになった。ネット上の口コミがマスメディアよりも「信頼できる」メディアとして登場してきた。日常、物を買う際にもネットで口コミを検索するし、分からないことはネットで調べる。それが当たり前になった。

個人が自由に意見を発信し、それがマスコミと肩を並べるほどの大きな影響力を持つ。「洗脳社会化」が着実に進行している印象だ。一方で、若者の理系離れや労働感の変化も着実に進行している。まだまだ過渡期との印象だが、産業社会の屋台骨が揺らいでいる。

このような現状を考えるとき、岡田が10年以上前に予言した洗脳社会化の考え方の妥当性に驚く。この考え方の枠組みは今でも十分説得力を持つものだ。

最近の岡田の著作に影響を受けた方は、是非本書を読んでみてほしい。時代を読み解く上で今でも有効な本。
4.0 奇抜な未来予測
確かにおもしろいのですが、納得できない部分も多少あります。
例えばP213の“労働時間の調整はますます進み、週休三日もそう遠い話ではないはずです。”という部分は正直来そうな気がしません。
それと、何度読んでも洗脳という言葉に違和感を感じてしまいます。
でも、その部分を差し引いても読む価値はあると思います。

最後に、この本はカバーをはずすと、岡田さんの文庫版あとがきが読めるようになっています。

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