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NHKと政治―蝕まれた公共放送 (朝日文庫)の商品レビュー NHKの権力迎合史
1934年生まれの、かつてNHK政治部に勤務した経験のある著者が、1997年に刊行した著書を文庫化したもの。NHKは、戦後GHQの下で民主化され、権力に屈せず、大衆と共に歩みながらしかも大衆に迎合しない、不偏不党の立場を主張した。しかし日本の独立と共に、自民党政府は「公共放送」たるNHKへの政治介入を強め、その国営放送化を図る。佐藤長期政権に対応する、1964〜73年の前田会長の長期政権の下で、NHKはついに権力(および日放労の上田哲)との妥協を余儀なくされたが、その背景にはNHK幹部の人事と受信料額の決定を、政府に掌握されていたことからくる弱さがあった。この頃から、NHK内部には自民党の各派閥との人脈が形成され始め、内部情報は筒抜けとなり、報復人事や天下りも生じた。ロッキード事件では、田中派との露骨な協調が行われ、1982年の会長人事では、上田勢力に代わって自民党特定派閥とのパイプを持つ島がNHKの実権を握る。島は1989年に会長の座に就き、公共放送の使命と収支を度外視した商業化・巨大化路線を、「先導的」という美名の下に強引に推進し(関連会社設立・衛星放送化→NHK本体の空洞化、MICO構想)、自己規制による権力への迎合を、恐怖政治によりいっそう進めたが、最終的にはスキャンダルで失脚する。しかし、NHKの内部改革は中途半端なままであり、いまだ権力迎合体質は改善されていない、と著者はBBCと比較しつつ批判する。当事者としての著者自身の立場を割り引いて考えねばならないだろうが、内部事情を良く知る人物が、具体的な事例を挙げて、NHKの体質を批判した本書からは、学ぶことは多い。 本の最新売り上げランキング - トップ10
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