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「新しい人」のなかで、福沢諭吉は、人間というものをよく知っている人でした。と大江健三郎さんは書いている。 人間の素質のなかで、ただ悪いだけで、良いところはなにもないのが、「怨望」(えんぼう)である。 「乱暴(粗暴)な素質の人には、勇敢な、という良い素質がある。軽薄な人には、利口(伶俐)なところがあるといってもいい。 しかし、「怨望」という素質だけは(人をうらやむ、嫉妬する)、良い素質とつながっていない。なにか良いものを生み出すところが全くない。」 ううむ、乱暴者も軽薄者もあんまりありがたくないが、たしかに「怨望」というのは最悪かもしれない。しかも、これはけっこう誰しも他人のことだとばかりにい言っちゃあ、すまされないような微妙なものだ。それはそして、何も良いものを生み出さないし、まったくもって下品な素質だ。 たとえば、隣の芝生が青く見えたりする話は昔からあるわけで、仕事なんかだと、自分とは距離のある分野、あまりかかわりのない分野などには鈍感力でというか、関係ないよ、と言っていられるとしても、こと同じ分野とか業界とかでは、「むらむら」していたりとか、少しでも胸に、耳に痛みを感じたらお互い気を付けましょう。 それから、大江さんは自分の子供時代の経験からつなげて、「怨望」は子供の世界では「意地悪さ」に近い。という。 じつは、よくよく見てみれば大人の世界もあまり変わらないですよね。