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今風の幅広、写真満載の本の帯に書かれたコピー 「彼らは、こんなワインを家で愉しんでました。」にふさわしく 春・夏・秋・冬 季節にしたがってそれぞれのソムリエが 今気に入っている一本を紹介する。 自らの仕事あとや休日、休日前夜のことを ともに過ごす人、時間帯や目にする光景、 その一本との出会い、気に入りの点と それぞれの口調で語りだす。 もちろんワインにあわせるつまみにもこだわりがちらつく。 それは手に入らない高価なつまみではなく、 普段着のその人の生活にある (そういう意味では逆に手に入らない)つまみたち。 ワインを飲むソムリエたちの周りを包むだろう雰囲気も ちょっぴりおすそ分けしてくれる。 一人一人の分量が読みやすい文章量になっているのも、飽きずに読みやすい。
前作「名ソムリエの、ふだんワイン」がとても良かったので、本書も手に取る。 ソムリエが選ぶ1本とそのワインにまつわるエピソード+写真という基本的な構成は変わることなく、まさしく続編であり、目新しさはないが、 そこに描かれている一話一話には、ワインの数だけ、ソムリエの数だけの世界が広がり、飽きることなく読むことが出来る。 上質な短編小説のようであり、写真集のようでもある。
スタイルは前作と同じで、 雑誌の連載としては安心して読めるものだと思うが 一冊の本として出版すると、二番煎じに感じてしまう。 ただ、選ばれているワインの種類には 時代の流れを感じるものがある。 とにかく「自然派」と名のつくものが目立つ。 それも1970年代生まれの若い世代にである。 高度経済成長を経て年齢を重ねたソムリエが 自然志向に「回帰」していくのではなく、 高度成長後の世代が足並みを揃えて 直線的にそこに進んでいるのに少々驚きと戸惑いを感じる。 これは、若い世代の足腰が若いうちから脆弱になって 「枯れて」しまった結果なのか それとも工業化と商業化がグローバルに進みすぎた 現在のワイン産業への本質的な警鐘なのか… ワインの世界は、 その世界そのもののヴィンテージが古いので あまりに多くの滓のために ほとんど先を見通すことができない。