想像力が創造することの大切さ
「サンタクロースって本当にいるんですか?」
アメリカの8歳の少女バージニアがニューヨークの新聞社サンに質問の投書をしたのが1897年。サン紙が社説で答えた返事は、以来様々なメディアを通じて多くのアメリカ人にサンタの存在を繰り返し説いてきました。
本書はバージニアの投書事件の顛末と、その後バージニアがどういう人生を歩んだのかについて、バージニアの孫娘がそのまた子供たちに語り継ぐというスタイルを借りて書かれています。 サンタが存在するか否かというテーマは実はサン紙の社説が説こうとしていることの入り口でしかありません。この社説の中核は次の一行に集約されています。
「この世の中で一番確かで本当のもの、それは大人の目にも子供の目にも見えないのです」。
幻想と空想の世界の住人であることをやめようとする時期が子供にはいつか必ず訪れます。理屈と道理の世界へ身を移すことが「成長」だと自分を納得させながら生きるうちに、サンタがいるかどうかを話題にすることすらやめてしまいます。
しかし想像する力が温かな何かを創造することも忘れてはならない。そのことをサン紙の社説はサンタクロースの存在を引き合いに出し、数世代にも渡ってアメリカ人に語ってきたのです。
サンタがいると信じることで、ドキドキさせてくれる世界がカーテンの向こうに広がっているはずだと感じられる。そんな人生を子供たちに引き継いでいくことの大切さも本書は巧みに描いてみせます。
巻末にサン紙の社説の原文が掲載されており、8歳の子供に宛てた返事にしては随分と小難しい文章で書かれていて意外な感じがします。ですが本書はその硬質な社説を子供でも理解できる日本語に翻訳してくれています。