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氷点 (上) (角川文庫 (5025))

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氷点 (上) (角川文庫 (5025))の商品レビュー

4.0 テーマは重いが読みやすい
 この本が書かれたのは60年代とのことです。その時代の古さを感じさせないほどの巧みな筆致ですんなり読み進むことができました。この本のテーマはキリスト教の原罪ということです。その重いテーマの通りに様々な事情を抱えた登場人物たちが愛憎劇を繰り広げます。
 その心理描写も作者の三浦綾子氏の女性らしい繊細な視点からなされていて見事だと思います。特に幼い陽子の心理描写に目を離せませんでした。陽子が自分の出生の秘密を知ったり、母親の冷たい仕打ちに遭って心を揺り動かされる様には目を離せませんでした。陽子の将来についてはまた続編で詳細に語られることになります。
 また本作品の舞台となっている旭川の自然の描写もみずみずしい感動を与えてくれます。

 テーマの重さは別にして非常に読みやすく、面白い作品です。
5.0 大衆小説の親しみやすさに奥深い人間の性(さが)を暴き出す。堂々たる名作!
 物語のテンポが良いので、まさか1960年代の小説だとは思わなかった。登場人物のセリフの書き方に特徴があり、それを口に出したと思わせておいて実は心の中で思っただけというパターンが多く、てっとりばやく人物の内面を読み取れる一方、決して格調高い文学では使わないような技法の気がする。

 夏枝と陽子の描き方もステレオタイプな継母と、いじめに耐える明るいシンデレラ少女といった印象で大衆小説的でさえある。

 そういった幼稚な面もありながら、この小説をきわめて面白く魅力的にしているのが「原罪」を背負った人間たちの生き様、そして人間が人間に与える影響が目に見えるように鮮やかにそして躍動的に描き出しているところにあると思う。

 僕がもし北原だったら、「そんなの関係ねぇ!」って一言いってやったのに。
2.0 時代の違いもあるけど・・・
現実離れした思考や言動が多くて、ちょっとついていけませんでした。
最も信頼できるはずの人間が、こんなんだったら……ぞっとします。
ねちっこい愛憎劇が好きな方以外にはオススメできません。
5.0 やはり得難い一作
1960年代に一世を風靡した大ベストセラー小説。
長寿番組「笑点」の番組タイトルも、本作のもじりだったとか。

私はどーもヒネたところがあるらしく、いわゆる「ベストセラー本」には食指が動かない傾向があります。
よってこの「氷点」も長らく避けてきましたが、この度ようやく手にとってみました。
しかし一度読み出してみたら面白いのなんの。
どうにも止まらず、上下巻700ページ程を一気に読みつくしてしまいました。
数奇な運命を背負って生まれた少女と底意地の悪い継母、禁断の恋や一家に次々と襲い来る数奇な運命など、
モチーフとしては確かに「大衆的」な要素が数多く見られます。突飛と思える展開も確かに多い。
しかし本作には「大衆小説」として唾棄し去ることのできない何かがあります。

ネタバレになるのでストーリーは書けませんが、展開展開で複雑に揺れ動き、
また絡み合う登場人物たちの心理状況は、リアルに迫ってくる切迫感に溢れています。
「汝の敵を愛せよ」
聖書にあるあまりにも有名なこの一言。
啓造はこの言葉を、自らを律する言葉としても、また復讐を果たすための隠れ蓑としても使います。
自らの中に化け物のように同居する背反する心情に思い悩む彼の姿、その彼と関係する人たちとの駆け引き、騙しあい。
仮面を被った人間同士が、同じ屋根の下互いに愛憎入り乱れた心境のまま同居している・・・
「現実的にはちょっとない」設定だと分かっていても、そこに炙り出されるドロドロとした感情は、
読者である我々にも人ごとでないと思わせる迫力があるのです。

朝日新聞の懸賞小説であった本書のテーマは「人間の原罪」でありました。
その難しいテーマに挑みつつ、大衆的な面白さも併せ持っているという点で、やはり得難い一作だなと思わされます。
5.0 いつの時代にも考えさせられる『原罪』
最初はこの物語のストーリー性に疑問を感じることもあれど、そんなことはすぐに忘れてしまうほど、人間の本質に迫る物語。

キリスト教の言葉で原罪と言われる、人間の本質にある罪とはいったい何か?日常でおきている何が原罪によるものなのか?

読むたびに、主人公の言葉、行動を考えるたびに、読んでいるこちらが考えさせられる物語。久しぶりに人間の奥に届く物語でした。

人として是非読んでおきたい物語。いつ読んでもその時の自分の状況に合わせて考えることができると思います。それゆえ、これだけ長く読み語られているのでしょう。

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