燃える流氷
「氷点」の続編ということで、前作のキャラクターが引き続き登場します。今回は「ゆるし」がテーマとされていることから、興味深く読みました。原罪をゆるすとはどういうことなのか、果たしてそれは可能なことなのかが、主役ともいうべき陽子の悩み暮らす姿を通して徐々に深く掘り下げられます。最後には大自然の圧倒的な光景を前に、人間がいかに小さな存在であったかを理解し、原罪に対する強い抵抗感が氷解します。著者がキリスト教徒ということもあり、最後の章は宗教的な色合いが窺われますが、深く読み込んでみると、その向こう側にある、宗教を超えた人間の真の姿が見えてきます。
また、単純に話の筋を追うだけでも十分に面白い小説なので、誰にでもお勧め出来ます。
人として生きること
「続・氷点」でも登場人物はそれぞれ原罪を負って様々な行動を取ります。自分の病院の眼科医師におもちゃにされた事務員の娘に、助けをさしのべてやらない父親啓三。
陽子がもてるのに嫉妬して、陽子のボーイフレンドを誘惑しようとする母。
陽子と血がつながっていないことを知って、急に妹の陽子を愛し始め、
性に突き動かされ、陽子の真の父母を探ろうとする兄。
そのなかで、陽子は「人を許す」ことに目覚め始めます。
ラストは意外な結末ですが、是非読んでおきたい小説です。