満足度高し
明治末期の中国というあまり馴染みのない舞台設定ながら、見事に
世界に引き込まれました。
悪者(と言って差し支えないと思いますが)を詐欺にかけるという
普遍的な魅力を持つテーマを、綿密な取材と圧倒的筆力で書ききれ
ば面白くないはずがありません。
キャラもそれぞれ魅力的でよく立っていますし、軍を絡めることによって硬くなりがちな話を、適度なユーモアでほぐしているあたり
も非常にうまいです。
かなり複雑なプロットを組んでいますが、このページ数でこの物語
をまとめた構成力もかなりのもので、デビュー作とはちょっと信じ
られません。これなら賞を取るのも当然でしょう。実際、二段組や
上下巻の作品を読んだような満足感がありました。
若干、登場人物が多いのと中国人の人名を憶えにくい(これはやむ
無し)という難を感じましたが、それを差し引いてもかなりの秀作
でした。
ちなみに、当初のタイトルは「化して荒波」だったそうですが、
読み終わってみれば、どちらもしっくりこない気が少しだけ。。。
テンポの良さが抜群
辛亥革命に協力した一人の日本人詐欺師の物語。
最後のどんでん返し連続は評価が分かれそうだが、テンポの良い物語、詐欺を行う上での駆け引きの生々しさ、登場人物のそれぞれの思惑、刺客とのアクションシーン・・・などなどすべてのエンタテインメント性を兼ねそろえている。この作品を手に取ったのが最近で、映画なども一切見ていないが、この作品を読むだけでも十分に映像が浮かんでくる。