「私だけのため」 31文字の世界
突然だが、あなたはたったの三十一文字で、一体誰に何を伝えることができるだろうか。実はこう書いた今の一文ですら、三十一文字を越えてしまっている。三十一文字は、それほどの短さだ。 短歌は、いうまでもなく五七五七七の三十一文字で描かれる詩の一形式であり、枡野浩一は、その不自由な短歌の形式に乗せて、平易な普段使いの言葉で日常の一瞬をつぶやくように切り取る。
「こんなにも ふざけた今日が あるのなら どんな明日でも ありうるだろう」
これが短歌なのかと一瞬戸惑いを覚えつつも、しかしその歌に広がる世界が私を捉える。学生時代の一こま、まだ何でも始められるという希望と、まだ何者でもないという不安を抱えながら、それでも毎日が楽しくあったあの頃。そんな原風景をすっかり切り取られ、現に追体験しているかのような、不思議な感覚に包まれる。
枡野は後書で「『一番いい歌はこれです!』と断言してくれる人も多いけれど、全員の『一番いい歌』が違うみたいです」と書いている。この歌集には余計なものが一つも無く、しかしそれぞれ読む者にとっての、まるで自分のためだけに切り取られたかのような世界がつまっている。彼はたったの三十一文字で、人の心に確かな足跡を残していくのだ。
「こんなにもふざけたきょうがある以上どんなあすでもありうるだろう」(本書より)という
枡野浩一さんの本が初めて文庫化されました。表紙が擦り切れるのを覚悟の上で、カバーをつけずに持ち歩き、電車の中で、最初からめくります。最後からめくります。開いたところで明日を占います。表紙や裏表紙や帯をしみじみと眺めます。あとがきを読んで祈ります。赤のページと青のページを見比べます。文字数を数えます。写真を見ます。通話以外の目的で電話ボックスに入っているのは誰。青信号なのにみんな止まっているのはなぜ。
「癒し本」で癒されなかった人達へ
とにかくすべてが下り坂。外も電話もでたくない。 そんなとき「大丈夫、明日があるさ」と言われても「その明日があるからわたしは悩んでいるんだ!」と言いたくなってしまいます。 こんな時には「ハッピーロンリーウォーリーソング」を!前向きになれと言われて前向きになれるのならば悩みはしない
思わず、そうそうそうとうなずいてしまう短歌があります。けれど、それだけではありません。
他人への怒りは全部かなしみに変えて自分で癒してみせる
気持ちにグサッと刺さってしまう。そんな短歌もあるんです。 この本で、いろんな気持ちを探してください。
ステキな本をありがとう
まず題字の文字がシンプルでとてもすてきだった。 そしてこの表紙は この文字を最大限に生かすための最高の装丁 だろうと思った。 それにしてもなんというセンスのよさ!! 桃色と水色の淡いトーンの写真にも心惹かれた。 どの写真も決してでしゃばらず さりげなく歌の脇役に徹しながら その歌の鮮度をかぎりなく高めている ように感じた。こんなすてきな本に出会えて ほんとうによかった♪ うれしくてうれしくて言葉にできない♪と 唄ってしまいたいくらいだ。
書きながら自分でちょっと照れてしまっています。 でも全て思ったとおりのことを書きました。 うまく伝わりますように 「ステキな本をありがとう」