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ハルビン・カフェ (角川文庫)

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ハルビン・カフェ (角川文庫)の商品レビュー

4.0 多視点・多民族の混沌な感じが好きな方へ
めまぐるしく変わる登場人物の視点と、無法地帯と化した北陸の地方都市の混沌とした街並み、そして警察内部の闇。名前しか出てこない人物こそが事件の発端だったりもするが、一人一人に焦点を当ててみると、人物の数だけストーリーがあり、事件に巻き込まれるきっかけはそれぞれ別モノであり、そう考えてみるとこの小説で起こっている事件に発端などはなく、歴史の教科書からはみ出た物語を集めたようなものか?
著者の冥福を祈ります。
3.0 読み手を選ぶ作品です
この作品を凄い、かっこいい、最高だ、と手放しで賞賛できれば格好いいのですが、
初読でそこまで理解できる素養は私にはありませんでした。
例えば、馳星周や新堂冬樹などに代表される、現代的で、ある意味身近な恐怖の対象
であるノワール、大沢在昌や垣根涼介のようにキャラクターやストーリーテリングで
引っ張る、ある意味ヒーローもののハードボイルドを期待していると、ページをめくる
手が重くなっていくでしょう。
この独特の世界観と重厚な雰囲気に魅せられて、早く先が読みたいと思わせる気持ちと、
登場人物の多さと複雑なプロットによって、なかなかストーリーを読み進めていけない
というジレンマは多くの人が感じるのではないでしょうか。
本当は、もう一度最初から読んでから書きたかったのですが、他にも読みたい本が山ほど
あるのでいつ読めるかわからず、やむなく解釈も中途半端なままレビューさせて頂きます。
2度読むか一気読みするかしなければ、理解することは難しい作品である気がします。
5.0 「濃密な読書時間」を楽しみたい人へ
文庫版の「ハルビン・カフェ」を書店の平積で見て始めて見ました。
装丁とタイトルがすごく良かったのでジャケ買い(^^)しました。
パラパラッとめくると、最初に地図があります。
地図がある本はわたしにとって「買い」
さかのぼれば、20年前、「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」や「指輪物語」の頃から、
最近では「サブリエル」など、あまりはずれたことはありません。

さて、内容は「クライムノベル」なんですが、
このレベルのものを、同時代に同じ国の人が書いた文章で
(つまり翻訳のバイアス無しで)読めるのは大変シアワセなことだと思いました。

とにかく、タイトルの持つ雰囲気と導入部に期待を膨らまして読み始めます。
場面転換が多く、説明が食い足りない分、読んでいて振り回される感じがします。
ちょっとイライラしたり、謎の主人公の男の正体が思ったより早く分かったり、少し不満にも思いましたが、
語り口や雰囲気になじんでくるラストに到る頃には、そんなことはあまり気にならなくなっています。

結局、架空の都市、多民族、キャラクター、プロット、など、材料の選び方も好きですが、腕の方に納得しました。

一読後、雰囲気を楽しむために何度か読み直したりしました。
よほど気に入った本でしかしないことですが。

文字がぴっちり詰まっていて、内容も複雑なので、「濃密な読書時間」という本読みの醍醐味を充分味わえます。

ただ、すいすい読める本ではないので、そこは注意してください。
ストーリーを楽しみたい方は「裸者と裸者」を読んだほうが良いです。
こちらの方が早く読めます。

それと、ハードカバー版も見ましたが、文庫本の方が装丁文字組が気に入りました。
4.0 「蒼ざめた馬」から「神」を取り除いた物語?
物語が始まる前からすでにトリックが始まっている。
最初から小さな謎が暗示されており、その小さな謎が解かれると
より大きな謎が深まるという構造になっているため、一度読み始めると
途中で止めることは非常に難しい。
複雑なプロットのため読者の頭に入っていく情報量は増大する一方。
おかげでクライマックスに近ずくほどに読むスピードが落ちてくる。
緊迫感は最期まで持続するので、読み終わるとどっと疲れる。
不満な点は、謎めいた主人公の内面が、最期まで共感不可能なこと。
まるで「空白の中心」を回転する物語のようでもある。

最期にロープシンの「蒼ざめた馬」の影響は否定できないハズ、と思いました。でも現代には神様はいないので、ロープシンもカリャーエフも主人公にはなれない。だから作者はこの主人公を創造したのかもしれないな、と思いました。

4.0 サイバーパンクと分かち合う多国籍都市の濃密な猥雑さ
タイトルに魅かれて購入しました。
 語り手の視点が目まぐるしく転換する、とても複雑な構成になっていますが、最後まで飽かずに頁を繰らせる緻密な筆致で満たされています。
 とくに架空都市・海市の微に入り細に入る描写が非常によかったです。舞台となる北陸の新興都市は、北朝鮮系の十星会・中華系の梟雄幇・ロシア系のマフィアグループが三つ巴に縄張りを競い合う非合法地帯として描かれています。街角に佇む欧亜混血の娼婦、牡丹紅酒楼、老沙事件、『日本海NEWS』など、都市生活の断片に与えられた独特の名称には、SFのサイバーパンクを彷彿とさせるネーミングセンスの妙味を感じました。ウィリアム・ギブスンの CHIBA City,コミック『AKIRA』のネオトーキョー、映画『ニルヴァーナ』の印僑街、押井守が描く美しいアジア諸都市……。SFの要素はまったくありませんが、これら異文化混交の未来都市に列なる濃密な猥雑さを分かち合っていると思います。雪国のモノトーンを強調した緊張感ある風景描写にしびれました。
 断片的な証言から浮かび上がる陰謀の複雑さも圧巻です。濃密な読書時間を求めている方にはお勧めの一冊です。

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