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疾走 下 (角川文庫)

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疾走 下 (角川文庫)の商品レビュー

5.0 「救い」への挑戦
重松清は語っている。「自分の小説が誰かの救いになるとは思えない」。
そう語る理由は、重松自身が「救い」「救われる」ことの難しさを知っているからだと思う。

重松清はずっと、「救い」について描いてきた作家である。
ときにユーモラスに、ときに救いを描かぬ形で、物語に「救い」を浮かび上がらせてきた。
ご都合主義的な「救い」ではなく、希望の光が差し込むか否かのリアルな「救い」を狙って。
「ナイフ」にせよ「ビタミンF」にせよ、「見張り塔から」でさえ、そうだ。

それでも、いやだからこそ「疾走」以前の重松は、究極の「救い」を描かなかった。
究極の「救い」を描くなら、救われる前の困難が本当の地獄でなければならないから。
その地獄を描くことは、時には嘔吐をもようすような、険しい道だから。
またたとえ地獄が描けても、それに見合った「救い」を描けなければ失敗となるから。
重松は、鋭敏な嗅覚で、それらのリスクを十分に知り尽くしていたに違ない。

そんな重松が、ついに究極を描こうとした。それがこの小説、「疾走」である。
なぜ描こうとしたのか。理由は、ただ一つだと思う。重松は、覚悟を決めたのだ。

では、果たして重松清は「疾走」を描くことで、究極の「救い」にたどり着けたか。
作中、主人公の心情の折り重なりが、ところどころぶれているように感じる。
そこまで上手く出来事が積み重なってなるものか、という部分もある。
それでもこの作品が相当の高みに達していることは間違いない。
おそらく重松清は、ギリギリまで自分を追いこんで、この作品を生み出したに違いない。

究極の「救い」が描かれているのかどうか、それは読んでみて、確かめてほしい。
日本屈指の手練である重松清の最高傑作に、私は「疾走」を推す。
5.0 下巻はシュウジが動き出す
下巻ではシュウジが動き出します。
タイトルの疾走の如く怒涛の展開がシュウジに待ち受けています。
ラストの数ページではむせび泣きました。
僕の読書経験の中で「疾走」は大きな点になりました。
本当にこの小説に出会えたことに感謝しています。
真実を持って生きるということは辛いことなのかもしれません。
3.0 そして、下巻・・・
とにかく重くて暗い。下巻は上巻よりもさらにヘビーだ。

しかも何所からも、やはり救いの様な物はなかった。

もう主人公に関わる全ての人が不幸に陥る、または陥っているのだが、そもそも何故そうなるのか・・・。
あるキャラのカミングアウトと言い、あまりにも絶望的すぎて言葉も出ず・・・。
中学生が考えたような不幸話はそれまで頑張って読んでいたのに一瞬で白けさせてしまった。

そして何より、主人公が何故これほど慕われるのだろうか。
確かに半端なく不幸な星の下に生まれたとは言えるが、それだけなのでは?
登場人物は一体この主人公の何処に魅かれたのだろう。
最後なんて、殆ど英雄のような扱いである。
4.0 ひとり という意味
最後はやりきれない気持になった。
泣きたいんだけれど泣けない、みたいな。
でも、なんとなくこういうラストは
予想できたのかもしれない。

前半、なかなか読み進まなかった。
内容の重さもさることながら、本の重さもネックだと思った。
(ハードカバーで読んだので)
でも、後半は途中でやめることができなくなって一気に読めた。

シュウジの生き方は
可哀相、だとか、悲惨なんて言葉で片付けられない。
周りの環境のせいで、何もかもが崩れていく
そんな中、シュウジ自身はきちんと自分自身を生きてたと思う。

孤独、孤立、孤高。
「ひとり」 という意味を色々と考えさせられる
そんな作品だったと思う。
5.0 誰か一緒に生きてください……
“ひとり”で背負うのには、あまりに重く、そしてあまりにも残酷な運命を背負わされてしまったシュウジ。
逃げ遅れたがために、家族全員の罪と不幸を背負うことになってしまったシュウジ。
本を読んでいて、こんなにも辛いと思ったことは初めてのことでした。
最後の最後で、物語に一筋の光が差し込みますが、それすらも闇を強調しているように思え、心がふるえました。
今でも表紙を見るだけで、シュウジの心の慟哭が聞こえてくるような気がします。

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