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犬の話 (角川文庫)

犬の話 (角川文庫)

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犬の話 (角川文庫)の商品レビュー

4.0 犬たちへ
幸田文、小沼丹、池内紀、群ようこ、小川洋子、向田邦子、伊集院静、佐野洋子、近藤紘一、江藤淳、景山民雄、江国香織、鴨居羊子、椎名誠、近藤啓太郎、庄野潤三、武田百合子、安岡章太郎、遠藤周作、阿川弘之の20人が、犬について書いたエッセイを集めたもの。書き下ろしではない。さまざまな本から抜き集めてきたものである。
 いずれも犬への愛情や哀惜に満ちたもので、予想以上の読みごたえがあった。
いっしょに遊んだ喜び、ふとした可愛さ、死別のつらさ。犬が与えてくれる貴重な体験や感情が、いっぱいに伝わってくる。
 短い文章ばかりだが、中身の濃い一冊であった。
5.0 もっとも切ないのは・・・
エッセイの殆どは、飼っていた犬の思い出である。かわいがっていた犬を失った時、誰もが悲しみ、もっとあれもして、これもしてあげればよかった、と悔やむ。でも・・・飼い主に愛されて逝った犬達は幸せである。もっとも切ない話は向田邦子の『隣の犬』。
隣の犬はただ庭に繋がれているだけ。隣の家族が夜逃げをした時も置き去りにされ、うなだれたまま。結局、保健所に連れていかれ、始末されることになる。
向田邦子は決して人になつくこともなかったこの犬を不憫に思い、せめて最後にと、魚を焼いて、棒で押し込む。その後で見たら、きれいに食べられた魚の骨だけを残し、犬は消えていた。
「私はこの犬の名前を知らなかった。名前を呼ばれ可愛がられるのを一度も見たことがなかった」
愛され、愛することを知らないまま死んでしまった犬。なんてやるせなく、哀しいことだろう。なんのために存在していたのだろう。
向田邦子は行き場のない憤りを、友人達と飲んで、はらすしかなかった。
5.0 心が揺れます
ひとつひとつの話が短いので、ちょっとした空き時間にも読む事が出来ます。
が、私は仕事の休憩中、とある喫茶店で読んで失敗しました。
何故なら、読みながら「ニコニコ」「ニヤニヤ」「クスクス」。挙句には「ウルウル」となってしまったのです。端から観たらヘンな人です!
話が短いだけに、犬たちの行動や仕草、筆者の心の動きなどが次々と文面に現れ、それを読む私も自分の愛犬との日常を重ねてしまうので、様々な想いが次々と交錯してしまうのです。

犬を飼ったことがある人、愛してやまない人は、必ずいくつか自分や自分の犬と重なる部分を見つけ、そして心を揺さぶられます。
文章の上手い方々が簡潔に淡々と綴った文章だからこそ、というのもあります。巻末に筆者紹介もあるので、自分と同じ「犬好き」という親しみを持ちつつ、彼らの他作品も読んでみようかという気持ちになります。

5.0 犬と人との心の交流
本書に納められているエッセーは全部で20編。どれも著者と犬との繊細なやり取りが読み取れ、僕の心をほんの少し暖かくしてくれた。そして自分が幼なかった頃に飼っていた犬のことを思い出し、僕の心は少しだけ揺れた。

現代技術の発展、特にコンピュータ関係の発展の仕方を、「ドックイヤー」と呼ぶ。犬の1年は人間の4年に相当するので、このドックイヤーという呼び方は、時間の過ぎ方の違い(特に急激な時間の進行)を意味する。本書を読むと、忙しい現代に生きる自分がドックイヤーを生きる犬との相対的な時間経過において、ある種の時間の流れの緩やかさを感じることができるのである。

僕の飼っていた犬もそうであるが、現在その犬はもうこの世にはいない。多くの飼い主は、その心の通った犬が死んでしまうことを直視せねばならない。本作品群でも、著者と犬との別れが多く取り上げられており、著者の回顧録としての「犬の話」は心を揺さぶられるものがある。

素敵な装丁も含めて、膨大な作家達の作品の中から犬に関する記述を見つけ出し、素敵に編集した編集者(の方々?)にも感謝したい。きっと犬好きな心の温かい編者(達?)だと思う。作家の中には僕の知らない方々も多くいた。筆者紹介が文頭ではなく、巻末にあることは、先入観なく各エッセーを読め、しかも各著者の経歴も読後にわかるため、ありがたかった。そんな些細な点にも編者は気を使っているか、と小さな感動を憶えたのである。

5.0 笑い、泣ける話が満載!
一口に言えば短編集。編集部が、犬の出てくる作品から適当な部分を抜き出した物を20集めている。
一つ一つに、書き手の犬への愛情が込められた文章で、思わず一気に読み終えてしまった。さすがに、犬との死別とその後の思い出を綴った文章を読むと、眼が潤んでしまった。
武田百合子に一番心引かれたが、逆に阿川弘之には当惑。

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