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ピンク・バス (角川文庫)

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ピンク・バス (角川文庫)の商品レビュー

2.0 あまり面白くなかった・・・
妊娠を気味が悪いという実夏子。家の中にいても何もしない実夏子。サエコの苛立ちや、妊娠による疲労感の描写は、読む側にもイライラやけだるさをもたらす。だらだらとただ流れていく時間。何をするでもないサエコたちの日常は読んでいて苦痛さえ感じた。「ピンク・バス」で作者は何を言いたかったのか?
もうひとつの作品「昨夜はたくさん夢を見た」も退屈な作品だった。どうでもいい日常のひとコマを無理やり見せられている感じがした。
4.0 角田光代の世界観が堪能できる傑作
実に不思議な物語である。
短編2つが納められていがいずれも、難解だが読後にふしぎと晴々した気持ちになれる。
『ピンクバス』は、妊娠と不振な行動をとる夫の姉と名乗る女性との同居が突然同時にやってきて、神経過敏になっていく主人公を描く。

自分が演じてきた過去の自分を詳細に思い出して自ら惨めさ覚えるのだが、学生時代に体験したホームレス体験は強烈。
不信感から生まれる夫や義姉に対してのやりとりも、言葉の選択が絶妙でまるでコントをみるかのように滑稽でおもしろい。

いつも居心地がわるくていろいろ試してみたけど、結局は現実の自分に帰結してしまうんだということを受け入れると気分が軽くなるんだなと感じさせる。
ただ、そのことに気づかないでピンクのバスに乗ってしまうと、いつまでも自分探しの旅から抜け出せないような気がした。

『昨日はたくさん夢を見た』は、人のありかたを著者なりに上手く表現した傑作。いつも、たくさんの仲間に囲まれブームを次から次へとつくるがどこか居心地が悪くて自分という存在に不安と焦燥感の入り混じった気持ちでいっぱいな主人公とその恋人。
恋人のほうは、臨死体験のようなものを経て個の存在の確認と時間を捨てて唐突にインドへ旅立ってしまう。

残された主人公は、何もできない自分に苛立ちさらに焦燥感が増す。恋人の残した言葉と手紙を反芻しながら自分と人との係わり合いを丹念に確認していくが、恋人がいた席にまったく知らない人が簡単に座ってしまう事に、人の存在のちっぽけさと人生の短さを痛感させられる。

わかりあえていたと思ってた人と、実は何もわかちあえてないんじゃないかと暗い海にほうりだされたような気分にさせられるが、きっちりと最後には主人公は「分かちあう」ことで、恋人の片鱗を見つけたような気がした。

ページ数も多くなく、短編作なのですんなり読み終えることができる。

角田光代の持つ独特な世界観から産みだされる物語には、沈鬱な内容で進んでいてもも最後の数行で「大丈夫だから安心して」とささやくように諭される気がして、癒されるのでふしぎである。

5.0 包み隠さず
 角田さんの本はどちらかというと、目を背けたくなるような、それでいて気になるようなことが書かれている。登場人物はどこかゆるいし、ずれちゃってることが多く、時に不快感を感じたりするのだけれど、平穏な日常を送る私にも共通点があるような気がして、読後、日々のもやもやが形になって「そうかぁ・・・」と、思ったりする。決してキレイなことが書いてあるばかりではないけれど、つい読みたくなるのが角田作品だ。(たぶん、ある人にとってはそれがとてもかったるいし、だから?となる。)

 さて、「ピンク・バス」は妊娠して浮かれている主人公のもとに夫の姉がやってきて家に居ついてしまったことから物語が始まる。やっと自分が望むものを手に入れようとしているのに、風変わりな姉の行動に心を乱される主人公。訳のわからない姉とリンクして主人公の「何か」になろうとした過去が蘇ってくる。(レゲ郎のエピソードは強烈だ。)誰かとは違う私、その私とはいったい何なのだろう?結局自分自身が何なのかは自分で決めなければならないのか、そういった問いにまつわることが書いてあるように思う。

 「昨日はたくさん夢を見た」は、読んでいてどこかせつない気分になる。人が死ぬこと、それから親しかった人が離れいき、通り過ぎる日々を生きることに関するエピソードが描かれている。一番得意な行事が葬式、という主人公が、恋人であるイタガキ(彼は後に主人公を置いて遠く、長い旅に出てしまう)、精神を患っている香子、友人のマリコ、クロ、原田君などと過ごす日々。旅先から主人公に送られてきた手紙の中の、ガラス瓶のエピソードが特に切ない。

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