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氷菓 (角川スニーカー文庫)

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氷菓 (角川スニーカー文庫)の商品レビュー

3.0 青春とミステリー♪
私が高校の頃、新校舎の横にはまだ旧校舎の一部が残されていて、そこは
文科系の部の部室として使われていた。当時のそんな様子を思い出しながら、
ちょっぴり懐かしい気持ちで読んだ。
学校生活や部活動の中で起こるちょっとしたミステリアスなできごと。奉太郎は
次々とその謎を解いていく。そしてそのことは、同じ部の千反田の叔父が絡む
33年前に起こったあるできごとの真実を掘り起こすことになる。一人の人間の
運命を狂わせたできごとは、高校時代に似たような経験をした私にとっては胸の
痛くなるような話だった。ラストで明かされる「氷菓」という名前に込められた
思いも、切ない。青春とミステリーが組み合わされた「古典部シリーズ」を、
これからも楽しんで読んでいきたい。
4.0 「ベナレス」から始まる試練と挫折
〈古典部〉シリーズの1作目。

著者は、かつて笠井潔氏と対談した際、
本シリーズと〈小市民〉シリーズが目指す
方向性について、以下のような発言をしています。


 (ビルドゥングス・ロマンとまではいかず)全能感と裏返しの無能感、
 これを試練にかけることで自分を客観視することのできる視点を獲得
 する(過程を描きたい)


このことを踏まえると、本作が主人公・奉太郎の
姉による「ベナレスからの手紙」から始まって
いるのは、非常に示唆的だといえます。

ここでベナレスという地名が選ばれたのは、決して故なきことではなく、
明らかにT・S・ストリブリングの『カリブ諸島の手がかり』の
一編「ベナレスへの道」が踏まえられています。

異文化のなかで挫折し、敗北していく探偵役・ポジオリ教授の姿は、
奉太郎がいずれ迎えるだろう未来図を暗示しているといえます。

そして、〈古典部〉シリーズには、神のごとき全能の名探偵は存在せず、
あくまでひとつのコマとして作品に奉仕する等身大の探偵役しかいない、
という宣言でもあるのでしょう。


作者の用意した試練とそれに伴う挫折によって、
奉太郎は最終的にどこに至るのか―。

最後まで見守っていきたいです。
5.0 上質の学園ミステリー

 「春期限定いちごタルト事件」などの作品で知られる米澤穂信さんのデビュー作です。
 氏が得意とする、高校を舞台にした人の死なないミステリものです。人が死なないだけに、より「謎解き」に力がいるジャンルですが、謎を謎として提示して連作の中で一つずつ解決していく話運びの巧みさ、高校の学園生活(文中で「薔薇色の」と形容詞が普通つくとされる生活)の描写、どちらをとっても一級品で素晴らしい一作です。氏のエッセンスが凝縮されています。これを読んで米澤さんの作品を気にいらなければこの後もダメだろうし、逆にこれを読んで「面白い」と思えたら米澤さんのどの作品を読んでも楽しめると思います。
 さて。舞台となるのは神山高校という地方都市にある学校。文化祭が有名なくらい色々な部活動が活発な高校です。主人公の同校新入生・折木奉太郎は、同校の卒業生である姉からのエアメールで、部員がいないと廃部になってしまう「古典部」という部活動に部を存続するため参加するよう指示され、他に部員がいないという前提で入部届けを出します。しかし、部室にいってみると先客がおり、彼女も古典部に入部したと言われます。千反田えると名乗る彼女は、名家のお嬢様らしく外見は清楚そのものながらつきあいだしてみると、その「知りたがり」の度合いは半端ないものでした。なし崩し的に、彼女と、奉太郎の親友の里志、漫画研究会とかけもちの伊原を加えて4人となった古典部。
 彼らは、千反田えるが古典部に入ることになった33年前の事件の謎を解く事になりますが、果たしてタイトルの「氷菓」の謎を解く事ができるのか?
あとは読んでのお楽しみですが、ミステリの謎解きもそうですが、読む人それぞれの青春時代を思い起こさせてくれる非常によくできた作品です。是非読んでみて欲しいです。最近の小説にしては非常に薄い200ページちょっとの物語です。是非読んでみて下さい。評価は5の5です。
5.0 アクティブな展開は良い
「日常の謎」+「安楽椅子探偵」が骨子ながら
舞台を共学高校に置き、
ライトノベルの装いを纏うことにより
アクティブな展開を造ることに成功しており
飽きさせずに読ませる技法は高く評価したい。

探偵やミステリーに拘泥することのない
普通の展開の小説も読んでみたい。
4.0 日常ミステリー、ちょっとだけ青春
『氷菓』です。第五回角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞受賞作。古典部シリーズの第1巻となります。
元スニーカー文庫だったのを、角川文庫に回したものですね。でもやっぱりライトノベル的なキャラクターと展開です。
ラノベ的だからこそ、文章の読みやすく、テンポも軽快、キャラクターも特性が明確に打ち出されていて魅力的です。

ミステリーとしては、序盤に二つの短編的エピソードで日常の小さな謎を解決した後、本書タイトルである氷菓と題された文集の謎に迫ります。それもあくまでも日常の範囲内で、小さいといえば小さい事件です。事件ともいえないですね。出来事です。

私個人的には、一番最後に○○をする人物が完全に読めてしまったので、途中で古典部メンバーが仮説を立てて議論するシーンは無駄な回り道に見えてしまったのですが……
青春要素、省エネをモットーとし積極的に動こうとしない主人公の変化と成長については……こちらもミステリー要素と同様、劇的に大きくはないです。
でもしっかりまとまっていて、全体としては面白いいい作品でした。

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