インチキクトゥルフもの(誉め言葉)が古橋の手で見事に補完!
まごうことない古橋秀之の小説でした。
「デモンベイン」というと、インチキクトゥルフもの(誉め言葉)の熱血ロボットゲームという印象。
でもって、それは正しく、さらに古橋によって補完されているのではないかと。
時代設定からして熱い。
189X年代、そこに跋扈する魔物達。それに対するイカす中年親父、覇道鋼造。
“マスター・オブ・ネクロノミコン”のアズラッドの印象も薄くなろうというもの。「それが歴史的にあるいはクトゥルー的に「正しい」かどうか、なんてことはどうでもよろしい。
むしろ積極的に間違っているくらいのほうがいい」
などと、あとがきで放言している事もさすがというか何というか。
その勢いのまま、書き連ねただけあって、熱く、そして燃える一作になったかと。
これ読むと、本編のゲームをプレイしたくなるなぁ。
老執事だけでごはん3杯はいけますな、これは。
古橋秀之によるデモンベイン外伝。
非常に面白い冒険活劇に仕上がっている。まぎれもなくデモンベインでありながら、江戸川乱歩(明智小五郎シリーズではなく少年探偵シリーズ)やブライアン・ラムレイの作品に似た雰囲気を漂わせつつ、「覇道鋼造の奇妙な冒険」として、独立したエピソードとして楽しめる話になっている。
といって覇道鋼造が完全な主役、というわけでもない。数代前のマスター・オブ・ネクロノミコンや、名前こそ違うが行動原理は同じままの這い寄る混沌をまじえつつ、来るべき「魔人との戦い」に向けて準備される世界のあがきそのものが描写される。
何というか文句のつけようがない。
勿論、評価は「星5つ」
輪廻
ゲームをやったことのある人は、この物語では、あるものによって時代が幾度も繰り返されているということを知っていると思う。 知らない人は、ゲームをプレイして、あるいは小説版の前作までを読んで、そのことを知った上でこの本を読むことで、デモンベインの世界をさらに深いものにできるはずだ。というより、ぜひともそうしてほしい。覇道鋼造が何者で何を背負って悪と戦うのかとか、今回の怨敵であるダークネス・ドーンの首領のゲーム版とのつながりなど、更には脇役と思っていた人物にさえ重要な役回りが用意されている。これらは、やはりゲームか小説を読まないとわかりにくいと思う。
知っていることで、謀られた運命の上で生き足掻くキャラクターたちの力強さや苦悩なども楽しめるのではないだろうか。