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「待つ」ということ (角川選書)

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「待つ」ということ (角川選書)の商品レビュー

4.0 「待つ」ことの豊かさ
信号が黄色ならば、アクセルを踏み込んでギリで渡ってしまったり、携帯の返事がすぐ来ないことに腹を立てたり…などなど。現代は「待つ」ということが非常に困難な時代だ。その「待つ」ことについて考察した一冊。哲学者の本だけに細かいことに思考を重ねているので、正直、イライラさせられるのも事実。けど、この本を読みながらイライラしている自分がもう「待て」ていないというパラドクス。本を読んでいる自分ですら、現代の速度に飲み込まれていることに気付く。

もうひとつ瞠目したのは、期待をしないで待つ、という考え方。どうにもうまく行かない時、ただ待つ。そこに期待を求めない。春が来ると桜が咲くように、気が付くと変わっていた…急がない。かと言ってじたばたしない。今はしらっと流す。偶然が、時間が、物事を気付かぬうちに変える。

そう、スロウに気長に期待もせずに(ある程度のことは)待ってみる。そんな思考もいいんじゃないでしょうか? 長い休みでもあれば、噛みしめるように読んでみて、セカセカした生活を俯瞰しながらゆっくり考えるのもいいのでは?
4.0 待たされない、待たされるの狭間で・・・
 冒頭で著者が述べるように、確かに待たされない社会になってきた。ネットショップでも3日も待たされるとイラッとするほど。ただ、人間の生き方そのものはそれほど早くなっているわけではない。せいぜい、子供の成長が昔より早い、くらいだろうか。それ以外は依然として、以前のように待たなければわからないこともあるし、待たされるのである。時間をかけなければわからないことは確かにあるのである。この本を読んでいて、「早く答えを教えて欲しい!」と思ったのが本音だった。ただ、「待つ」ということについて、見事なほど「そうなんだよね」と肯定的に述べてくれて「参ったな」という感じである。私は待っている、と自分で思っているのだが、待ったその先に何を期待して「もう待たなくてもいいんだ」と思えるのか、実はわからない。だから「待てる」のだろうか。終わりを待っているのではない、私は始まりを待っているのである。本書は読む人が「何を待っているか」によって、読む章がかなり変わってくるのではないかと思う。逆に言えば、生涯をかけて読み直せる本という気がする。
4.0 待たないという「待つ」のありかた
あらゆるテクノロジーの発達がもたらしたシステムの合理化と均質化によって、無駄なるものが社会からつぎつぎに排除されていく。それは、「待つ」ということとて同じ。あらゆる人が、待たなくても会えるようになっていく。あらゆるものが、待たなくても手に入るようになっていく。本書は、「待つ」必要がなくなった現代であるからこそ問い直す、「待つ」ことについての19章。

毎度のことながら、未だにパソコンの起動の遅さに少なからずイラだってしまういらち(関西弁で「気が短い、せっかち」)な僕のような人間からすると、「世の中にはまだまだ『待つ』ことが遍在しているじゃないか」と思えるのであるが、本書が扱うのはそのように予め未来(ここならPCの立ち上がり)が設定された「待つ」、ある種の「期待」を内包している「待つ」ではない。というよりか、本書はそのように終わりの保障された低次の「待つ」から出発して、何かを待つ、とはまた別の仕方の「待つ」の探求だ。

本書で著者が言おうとしていることは、武道論の観点から入ったほうがわかりやすいのかも知れない。武道でいうところの「居付き」とは、緊張のあまり体がカッチカチになってしまった状態、まさに床に足がついてしまったかのような状態を言う。敵の次の動きを予測するあまり、体が雁字搦めに、動かなくなってしまうのだ。
それは相手の反応に対するもっとも悪い「待ち」だろう。そういう「待つ」ではなく、本書が問おうとしている「待つ」とは、相手がたとえどのような動きをしてもそれに柔軟に対応するために、あえて何も予測しないでおく、「予測しないという予測」のことなのだろう。

あとがきで筆者が明かすとおり、この本の執筆過程に「産みの苦しみ」があったことは、節々からうかがい知れる。それだけに読みにくくはなっているが、思考の足跡のようなものが残っているため、本として味わい深いものになっているというのも、また事実。
4.0 「待つ」という行為の哲学的断章
「待つ」という行為の哲学的断章

「みみっちいほどせっかちになった社会」で人間は待たなくてもよくなった、いや、待てない社会になった…と著者はいう。

「待つ」ことは、時間ということと深く結びついていることを改めて実感する。
「水が満ちてくるように」待つという表現が印象に残った。
前のめりの「前傾姿勢」で生きることを強いられる世の中で、「からだを退避させ」て空き地をつくる、そうして来るやも知れないものを「迎える」…そんな待ちかたもあるのだ、と知った。
5.0 《鷲田ワールド》が十分堪能できます
「待つ」ことをめぐる断章です。 
現代はスピード至上主義で、何事につけ待てない時代になってしまいました。 
例えばコミュニケーション。郵便から電子メールになったこと。あるいは固定電話から携帯電話。 
テクノロジーの進歩により、便利になり、その恩恵を受けています。返事をより早く求めるようになり、より早くのレスポンスを要求するようになってしまっています。 
そんな中で踏みとどまる、待つことの意義を考えさせてくれます。
まさ《鷲田ワールド》を十分堪能できる一冊です。

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