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「みんなの意見」は案外正しい

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「みんなの意見」は案外正しいの商品レビュー

5.0 多数派の賞賛ではなく……
 本のタイトルからして多数派の意見を賞賛するような本なのかなと思っていましたが、そうではなかったようです。少数派の意見も含めているからこそ「みんなの」意見なのだということがよく分かります。

 みんなの意見が正しくなるためには条件があり、各人がそれぞれ独立して考えていることなどが必要です。みんなが信じていたところでデマが発生することがあれば、バブルが起きることもある。みんなの意見はどのようなときに正しくなり、どのようなときに間違うか、事例をもとに解き明かしてくれる本です。
4.0 集団の不思議
集団がいつも正しい答えを導き出すとは限らないが、ある一定の条件化では個人ひとりの力を
上回る素晴らしい頭脳となる。いかにそのような状態を任意につくり出すことができるか?

月並みな表現かも知れませんが、人はそれぞれ個性があり、それを認め合い、足りないところ
を補い合うことによって、もの凄い力が発揮されるということでしょう。
会社の会議などでも、突拍子もない意見を言う人がたまにいますが、取るに足りない意見と
して無視するのでなく、人の多様性を尊重していくことも大切かもしれません。

4.0 「多様な」みんなの意見は案外正しい
さまざまなケースを取り上げ、集団による意見形成がどのようになされ、どのような点で優れているかを明らかにする一冊。各ケースと全体の統一感がないのが難点だが、全体としてはおもしろく読める。

<ある程度の規模があって、多様な人々を集めた集団の多くは、すばらしいソリューションを考え出すことに長けている。「一般的な利益に関わる意思決定を下す」ように要請すると、集団や群集が到達する結論は、「一人の個人よりつねに知的に優る」のである> (p. 14 「はじめに」)

Web 2.0 (この言葉実態がはっきりしないので好きじゃないが)とか言われて有名になってきている概念をよく表現した一節である。ただし、本書にはWebの事例は取り上げられていない。おそらくここでポイントになるのは「多様な」というところだろう。一様であることを構成員に求めながら、一方で集団による知恵を活用しようというのは間違っている。その辺の間違った社長、監督、大臣、よく覚えておいた方がよい。おもしろい(というか怖い)のは、「集団極性化」として社会学者によく知られている現象で、多様性をもたらす天邪鬼がいない集団では、話し合いの結果、集団の判断が前よりひどい内容になることもあるそうだ。プチ・ファッショだね。多様性が大事なんですね。

例えばね、「生物多様性」の大切さを説く人たちが、意外と反対意見を頭ごなしに否定して意見の多様性を大事にしていないのは非常に嘆かわしいことなんです。
5.0 「みんなの意見」を活かす条件
本書の主張は一言で言うと:「集団は答えを知っている」(p11)である。

問題設定の側からみて、必ず明快な答えが存在する「認知の問題」だけでなく、他人の行動も加味する必要のある問題「調整の問題」や自己の利益だけ追求すると全体の利益を損なう恐れのある問題「協調の問題」のような複雑な問題についても、豊富な実例や実験を引用しながら「集団の知恵」について検討している。

その結果、すべての場合に無条件で、「集合知」の優位性が発揮される訳でなく、一定の要件を満たす必要があるという。
すなわち、意見の
1、 多様性
2、 独立性
3、 分散性
4、 集約性
という4つの要件を満たす集団は、正確な判断を下しやすい。(p28,p40)

さらに、先の四条件の加えて、
質問を提示する際、「一般的な利益に関わる意思決定を下す」ように要請すること。
つまり、あなたは個人がどうしたいかという私的利益についてではなく、公益につながるよい解決策を尋ねたときに良い答えが出てくるという。
こうした条件下で、集団の到達する結論が「一個人より常に知的に優れる」。(p14)
というのが本書の主な主張となっている。

過去の事例から「集合知」の有用性を単に再認識する意味合いだけでなく、その有用性を担保する四条件、特に「個々人の意見を集計して集団として一つの判断に集約するメカニズムの存在」=集約性を明示したところに、本書の意義があると思われた。
パーソナライゼーション、ページランク・アルゴリズムの恩恵を、無意識的にも日常的に享受できる現代的状況にあって、意見集約・決定メカニズムの今後の方向性やそのリテラシーを考え直す、良いきっかけを与えてくれたからだ。
5.0 日本人こそ読むべき本
会社のプロジェクトチームに入っていると、そこで話されている「常識」と、チームの外で聞く話とが大きくずれていて「あれ?」と思うことがあります。本書はそんな心理状態を見事に解説してくれる、とてもありがたい本です。重要なのは、「集団が賢い判断をするためには、個々人ができるだけ独自に考えて、行動すること」が不可欠なんですね。われわれ日本人が弱いところなのでは?テレビのニュース番組の解説に「そうよねぇ」とうなずいてしまう人こそ読むべき本です。

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