心に食い込む物語
母から女の子へと代々継がれて行く「女紋」。それは嫁いでも変わらない。
従姉妹の結婚の場面から物語は始まります。プロローグの場面、本編の始めの場面から、すごく鮮やかに映像が目に見えるよう。今とは違う時代背景の中「家」がまだまだ重い存在だった、女の権利は弱く、強者と弱者の開きも大きかった時代に播州に生れ、一生懸命考え、行動した柚喜の少女時代の物語。
柚喜自身の恋、同じ女紋を持つ親族の女たち、師範学校で出会った友人、何人もの女の人生が、想いが、播州平野の農村ののどかで時に厳しい状況と、彼女たちの周りの男たちと共に鮮やかに渦巻き、息づいています。
柚喜はすがすがしく、初々しく凛々しい。家を継ぐべき柚喜は恋をしつつも、家の事も母のことも考える。柚喜は庄屋の跡取娘で、師範学校で勉強に励み、やがて教壇に立ってからも、常に家の事母の事を心から想う。いろいろ思えば心のままには恋に飛びこみがたい状況。でも何もかもうまく行きそうに思え始めたその矢先、思いがけないことが・・・。
やはり播州に生まれたわたしは祖母や母のことを思いながら読みました。心に食い込んだ、ほかの本には中々ない読み応えのある物語です。