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生首に聞いてみろ

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生首に聞いてみろの商品レビュー

5.0 “THE GORGON’S LOOK”≒メデューサのまなざし
前衛彫刻家の川島伊作は、娘の江知佳をモデルに、彼女の母をモデル
とした連作「母子像」の完結編を製作したが、その直後に急逝する。

その葬儀の後、何者かが「母子像」の首が切断し、持ち去るという
事件が発生し、さらに、間をおかず、江知佳が失踪してしまう。

そして、数日後。伊作の追悼展が開かれる美術館に、
若い女性の生首が入った宅配便が届けられる……。



石膏像製作が、作品のテーマに直結している本作。

伊作は、生身のモデルから型を取り、その雌型から雄型を
作る「インサイド・キャスティング」を得意とした彫刻家でした。

しかし、この手法では、モデルが失明する危険があるため、目を開いた状態で
型が取れず、結果的に目を閉じた状態の作品しか作れないという限界があります。

その限界を克服すべく、伊作が取り入れた
アイデアが本作のトリックの源といえます。

この他にも、何者かに持ち去られた伊作の携帯電話や綸太郎が歯科医院を訪れた
際に読む、審美歯科医療の手引き書のなかの「磁性アタッチメント」についての記述、
そして、兄と弟を絶縁させた、血縁関係を表す言葉のダブル・ミーニングなど、
周到な伏線が緻密な計算のもとに張り巡らされ、もれなく回収されています。


過去の事件に淵源する二組の夫婦のクロス不倫関係という「事実」が背景にあり、
それが現在の首切り殺人に影を落としているのですが、関係者の誰もが誤解や
錯覚を抱いてしまうことで、それぞれの思惑と行動が複雑に交錯して謎を生みだし、
対応すべくなされた解釈が、また新たな謎を生むという悪循環が誘発されています。

そうした錯綜した状況を、結末で「石膏像/死体の首が切られた理由」の回答という
一点に収斂させていく犀利なロジックの切れ味と構築美は、やはり無類といえます。
3.0 冗漫な感じ
うーん。。。長い

長くて嬉しい本もあるけど、これは長くて飽きた(笑

あんまり起承転結がなくて、生々しい話のはずなのに、

冗漫な感じ。。。

私としてははずれですが、こういう感じの本が好きな方にはたまらないかと(笑

3.0 一気に読んでしまえるのですが…
■謎部分は充分練ってあって、引き込まれてぐんぐん謎解きまで行くのですが、その後がどうにも物足りなかったです。事件の事だと、あそこまで細かく経過とか状況とか心理を書けるのに、あぁいうざっくり切り取られたようなラストにするかが分からない(謎は解いたぞ、じゃ!って突き離された感じ?)。■登場人物に対するフォロー、というよりここまで一緒に事件を追ってきた読者に対する、謎の解明後のフォローは、必要だと思うのですが。■自分がミステリを読む時、謎解きでなくキャラクターで読むタイプなので余計にそれを求めてしまうのかも知れません。名探偵・法月綸太郎のファンではあるのだけど、何故かこの人の本を手元に置いておけない理由が分かった気がする1冊でした。
3.0 おもしろかったけど
丁寧な描写、綿密な構成。前半部分はややダレる感がありますが、
それでも内容はじゅうぶんおもしろい!!

…のに、犯人(真相)にたどり着くのが「いきなり」なんですよね。
中盤から後半にかけて、引っ張ってきた手綱をいきなりはなされたような感じで、
ちょっとあっけないです。

伏線はよく考えてありますよね。だからこそ、ちょっと惜しい気がします。
4.0 法月綸太郎の青春の終わり
愛読者なら御存知は思うが、作家(の方の)法月綸太郎に色濃く宿るもの、それは探偵が事件に関わる過程を通して、向き合わざるを得なくなる現代社会の無惨さや、探偵の方の(そしてそれはたぶん作者の方も)法月綸太郎の苦悩であった。そしてそのことこそが、これまでのいくつかの作品を特異なものとしていた。たとえば、『二の悲劇』、『ふたたび赤い悪夢』など。
しかし今回の探偵・法月はずいぶんとタフである。“恋に落ちていたかもしれない”女性の死という事態にあたって、彼にはそれを阻止できていたかもしれないというかたち通りの苦悩はあるものの、それは過去の名探偵たちが抱えた、いわば“お約束”の苦悩であり、その点では物足りない。デビュー作『密閉教室』において、名探偵が抱える矛盾について早くも述べていた彼にしてはと、この点については、少々肩すかしを食らった気がした。
『パズル崩壊』をお読みの読者なら、収録作である「カットアウト」(傑作!)との共通点に気づかされるだろう。「カットアウト」が和製ジャクソン・ポロックと称される画家と妻の関係を描いたように、本作もジョージ・シーガルと共通した作風である“亜シーガル”と呼ばれたこともある彫刻家と妻の関係が作品の核をなしている。だが、正直なところ、「カットアウト」ほどの哀切さが、読者に届かない点は残念だ。
と、まぁ、ここまで批判的な記述に終始はしたが、パズラーとしての作家・法月は健在である。たとえば読者にミスリードを誘うためのいくつかの仕掛けなどが、読むものを翻弄させるなど、読み込むにつれ、手練れの感を強くした。
悩める自営業者(by 綾辻行人)であった作家・法月も、探偵・法月同様、ある種の青春を多少過ぎてきたと言うことなのだろう。本作は、これからの作品の方向を占う意味で、後々象徴的な作品になることと思う。

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