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雨と夢のあとに

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雨と夢のあとにの商品レビュー

5.0 不思議で静かで心地良い。…雨の擬似体験?
ドラマは知ってましたが、原作と出会ったのは最近でした。表紙が綺麗だなーと思って手にして、少し読んで「…?」と思って初めて柳美里さんの作品を拝見しました。とっても不思議で、納得出来て、やはり不思議。そんな読後感です。すんなり心に残るのも不思議。切ないけど、甘い。上手く表現出来ないですがとてもいいです。暁子さんの最後のシーンはひどく生々しいけど、生々しいから良いとも思う。読んだ後の今はふんわり包まれてるような感じになります。雨の擬似体験してる???
3.0 雨の物語
 キャラメルボックスの舞台→TVドラマ→原作と普通とは逆の方向にたどってやってきました。柳美里さんの小説は何冊か読んでどうも肌に合わないと思っていて避けていたのですが、舞台がとても良かったので原作までたどり着いたのですが……

 原作は「雨」の物語ですね。舞台は「朝晴」の物語でTVドラマは「家族」(周りの者も含めて)の物語と感じました。
 原作は「孤独」や「死」が強く映っていて、その中で観覧車から降りた雨の美しさ、力を感じました。

 個人的には娘をもつおじさんの私としては「朝晴」に入り込んでしまうんですね。「娘を残して死ねない」という強い気持ち、その気持ちが一番強く表れた舞台版が一番好きですが。
5.0 雨が止んだらあなたに会えますか?
どうもドラマ版のファンにはあまり評判の良く無い原作版「雨夢」ですが、柳美里さん
の今までの小説を読んでいるかで評価は確実に分かれると思います。
ワタシが最初に柳美里さんの小説に出会った「家族シネマ」以降、彼女の小説はそのほ
とんどが実話・体験に基づいた私小説です。
そしてこの「雨夢」も柳さんの体験に基づく願望ないしは妄想が生んだ、所謂かたちを
変えた私小説であるといえます。つまりは、この「雨夢」という小説は柳美里さんの
生き様=小説群の流れの中の一点であるというバックボーンの知識を持っているかどうか
で単なるホラー小説なのか別の何かなのかという点が読者側で変わってくるという
かなり変わった構造を持っている小説だといえます。

雨の反応やメールでのやり取りは現代の子供としては大変にリアルなので、今、読むべき
小説だと思います。こういった部分は10年後には陳腐化していて違和感を感じる事必至
なので。浜名湖パルパルに向かうところも個人的には生々しくていいのですが、いちばん
ホラーな部分は生々しすぎて勘弁してほしいとも思いました。

以下余談。
初めて鈴木光司氏の「リング」を読んだとき、怨念である貞子の人生がそれ以前に読
んでいた柳美里さんの人生によく似ている部分があったので、それから10年近く、イメ
ージがかぶったままでした(差別を受けるところや、美人なのでおかしい男が寄ってくる
事、そして劇団に入団することなど)。で、ドラマ版の暁子さん=映画の貞子の木村多江
さんだったので驚いたのなんのって。
5.0 みずみずしい感性
「死者と話したい」「一緒にいたい」−。東由多加氏との壮絶ともいえる闘病の末の別れを経て、彼女はその思いが強かったんでしょうね。12歳の残された娘・雨の言葉はそっくりそのまま作者自身の思いであり、感じる気持ちも痛いほどに生々しい。単なる「作り事」ではないものを感じます。
妥協を許さず、これでもか、これでもか、と内面へと向かって突き進み、自分を追い詰めていくかのような内容は、若き日、演出家であった東氏に鍛え上げられた作者の財産と思います。私の中ではやはり柳美里は「血を流し続ける作家」との感を強くしました。
4.0 知ることと知らないことのただなかに、たったひとりで立つ少女
 最近の小説で死者蘇らせるのやめようよ、と個人的に唱え続けているのだが、ことこの作品に関しては、点が甘くなってしまう。先に「命」三部作を読んでいるからだろう。血の繋がらない我が子を見守るためにさ迷う魂……確かに作者の中ではそれは「本当のこと」なんだと思う。
 むしろひっかかるのは父親の人物造形のほうかも。カッコよすぎるのだ。この作者の描く、人の生々しさみたいなものが全くなくて、つくりものっぽい。ドラマ原作だから?
 ただ、十二歳の少女の語りのみずみずしさは魅力的だった。全てのことを知り始める年齢。ケータイメールの文章も含め、いきいきとしたリアルさに満ちている。作者の中に息づいている少女性がそのまま写し取られた感じだ。
 隣に住む暁子さんは、初め、何のために出てくるのかわからなかったが、この人の死体の場面が凄い。以前、蛆に蝕まれる女の死体を描くのは藤沢周くらい、と書いたけど、違いました。この場面があるからこの作品は柳美里作品になっている、とすら言えるだろう。

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