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遠まわりする雛

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遠まわりする雛の商品レビュー

3.0 今後も期待大♪
この作品は、入部から翌年春までの、古典部の部員たちが遭遇するちょっとした
ミステリアスなできごとを描いている。謎解は相変わらず面白いが、古典部部員
たちの描写もとても興味深かった。印象に残ったのは、「あきましておめでとう」と
「手作りチョコレート事件」だ。「あきましておめでとう」では、奉太郎と千反田が
納屋に閉じ込められてしまう。彼らはどういう方法でそこから出ようとするのか?
その方法には思わず笑ってしまった。奉太郎と里志の厚い友情も垣間見えて、面白
かった。「手作りチョコレート事件」では、消えたチョコの行方をめぐっての、里志と
伊原の微妙な関係が見えてくる。この二人、どうなるのだろう?奉太郎と千反田の
関係も気になる・・・。そして、今後の古典部は?次回作に大いに期待したい。
5.0 続編気になります
「野生時代」誌に掲載していた短編を、書き下ろし1作加えた短編集。

掲載当時は実際の話、「心あたりのある者は」以外は私が作者に対する期待値を下回ったものだった。

では何故この短編集に満点をつけるのか。

理由の1つに、ごく個人的な趣味なのだが私は"短編集"という形式がすごく好きだ、というものがある。

あとは、本作品が雑誌掲載の順ではなく、時順列で並び替えられていたこと。これは初めて作者の作品を読む人に対してのサーヴィスなのかもしれないが。

で、最も良かった点は、幾つか未読の作品が私のストライクゾーンだったこと。特に書き下ろし表題作「遠まわりする雛」。

***
今気づいたんだが、<古典部>シリーズの半分くらいはホワイダニットだったんだなぁ。ハウでもなく、フーでもなく。
青春というか、高校生(活)の機微をこう書く小説家はあまり居ない・・・と思う。所謂日常の謎モノで、事件の動機を詰めていくとこういう風に書けるものか、と。

私、<古典部>シリーズの続編が気になります。
5.0 水彩の色彩が濃くなってきた
米澤穂信という作家は、その語り口の綺麗さが気にいっています。絵画でいうと、水彩画の趣を感じます。
さて、今回の短編集です。古典部シリーズ最新作ということになります。
推理のおもしろさは逸品です。
読み終わって感じるのは、これまで淡い色彩の人物画だったものが、濃い色彩に変わってきている、ということです。
特に、千反田える。ずいぶんはっきりとした「女」を感じさせるようになりました。
さりげなく、2度、折木奉太郎に告白したりしています。
これは諸刃の剣です。
これまで寝転がって気楽に読めるシリーズだったものが、重苦しくなるのでは、という一抹の危惧を覚えるのです。
5.0 小粒ながら、ニヤリとさせられるラスト
今まで、キャラクターが記号として良く動いていたシリーズだったが、
この作品でキャラクターの感情面がようやく理解できる作りになって来た。
これを良いと捉えるか、悪いと捉えるかは個人差が出てくるように思う。
個人的には、こちらの方が好みで、シリーズを通しての印象がとても上がった。

ミステリーの内容としては、米澤穂信、上手くなったなぁと実感させられる内容。
1巻に比べて、短編のミステリーの切れ味が格段に上がっているし。
何より安定感が出ている。やはり、彼の真骨頂は、破綻の無いロジックだろう。
中でも『心当たりのある者は』は、ミステリマニアならついついニヤリと
してしまう事請け合い。
ハリィ・ケメルマンの名作『九マイルは遠すぎる』のインスパイアなのだ。
この短編は、推理作家協会賞候補になったらしいが、もしかしたら、元ネタがある
のがマイナスとして響いてしまったのかもしれない。

そして、表題作でもある『遠まわりする雛』のラストには、ついついニヤリとさせられてしまう。
大作ではないが、シリーズを追ってきた人、ミステリファンは
始終ニヤニヤさせられてしまう幸せな気分にさせられる作品だろう。
5.0 古典部・1年目の活動記録
〈古典部〉シリーズ初の短篇集。

前三作の前後にあった出来事を書いた短篇が7篇、時系列順に収録されています。
(「初詣」「バレンタイン」など季節ネタも多数)

期間としては、奉太郎が神山高校に入学し、約1ヵ月が経過した2000年4月末から、
新年度を目前に控えた春休みにあたる2001年4月初旬頃まで。
要するに、彼らの〈高1時代〉に相当します。

収録された短篇は、単体でも十分楽しめますが、1年の流れのなかで奉太郎の語りに寄り添って読み進めていくことで、
“省エネ”主義を掲げる彼の心境がどのように変化していったのか、トレースできる仕組みになっています。

ところで、本作を読んで私が一番に感じたのは「千反田える、キャラが立ったなあ〜」というものでした。
それは何も今回、奉太郎と千反田えるの対話劇になるシチュエーションが多かったことや、
衣装の七変化で楽しませてくれる(最も、イラストはないのですが)といった表面的なことだけが理由ではありません。

千反田えるは、豪農・千反田家の一人娘という立場のため将来、共同体の中で責任ある役割を担うことが宿命づけられています。
しかし本作における彼女は、そのことを所与のものとして受け入れた上で、自分に実現可能な未来を見据えようとします。
つまり、古典部員の中で、彼女がある意味もっとも〈大人〉だったということが今回明らかにされるというわけです。
そうしたことから、今までやや平板に感じられた彼女のキャラに本作で奥行きが出たように感じられました。

これまでの千反田えるには、“省エネ探偵”である奉太郎に推理をする動機と免罪符を与える牽引車的役割が割り振られていました。
奉太郎にしても、当初は自分のペースを乱す存在として、千反田を敬遠していたのですが……。
近い将来、奉太郎が自分から誰かのために推理をするような日が訪れるのかもしれません。

ともあれ、古典部2年目の活動が楽しみです。

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