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オール1の落ちこぼれ、教師になる

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オール1の落ちこぼれ、教師になるの商品レビュー

3.0 彼こそ、ゴミ箱に捨てられた宝石だったのだ。
彼が教員になった37歳という年齢は、現実的にはそれ自体が負担となってしまう年齢である。自治体によっては、すでに教員採用を打ち切り始める年齢だろう。
にもかかわらず、彼が自分の母校である豊川高校に無事就任できたのは、やはり定時制高校から名古屋大学への合格者が出たという、高校の名誉に深く貢献した彼の功績によるものが大きいのだろう。

また、これは極道から弁護士になった大平光代氏にも当てはまることだが、高校受験、そして大学受験の際に彼の周辺には全面的なパトロンが多くいたからこそ、彼は大きく前進できたのだといえる。もし彼がろくでもない職場や高校に行ってしまったとしたら、彼の心は再び閉ざされていたに違いない。結局、人間を良くも悪くも変えてしまうのは、やはり同じ人間だけなのである。
これは、我々も強く自覚しなければならないことだ。自分さえ良ければいい、という現代社会にありがちな風潮こそ、かえって我々自身の首を絞めているかもしれないのだ。

つまるところ、彼が底辺から這い上がれたのは、彼が相当の運・素質に恵まれていたからであり、もし片方でも欠けていたら今の彼はなかったかもしれない。
本の市場には俗に言う「這い上がり本」がいくらか存在する。しかし、彼のケースはその中でもかなり特殊な部類に入るものであり、一般の人間に適用するものとしては多少無理がありすぎる。彼の生き様を知ることが出来るという面では良著だが、それ以上の物を汲み取ろうとするのはかえって危険である。
そもそも、彼が多大な影響を受けたとされる天才・アインシュタインも、元々はどうしようもない劣等生だったのだ。しかし、彼もある時外部から影響を受け、研究者としての第一歩を踏み出した。その意味では、彼にもアインシュタインの血がどこかで通っていたのかもしれない。

教育問題というのは人間を相手にする物であるがゆえに非常に抽象的であり、いまだに理想的な解答が出されていない。しかし、彼のような才能あふれた人材を開花させるためには、やはり広範な視野を目標とした教育が必要なのだと思う。
私がこの本を読んで感じたのは、むしろこっちのほうだ。この類の本を読んでいてよく思う感想は、担当の教師がフォローをかける判断力や気遣いに欠けていることである。かけ算の九九も出来ないような生徒なのにも関わらず中学を卒業させてしまうのも、現在の義務教育制度の矛盾を見ているかのようである。本来、公務員と教師は同格に扱われるべき存在ではないのに、現実としてそうなってしまっているのだ。

ゆとり教育の問題点が騒がれてから久しいが、現在の子供の根本的な問題を考えずに、ただ学力向上だけを目指して教師や生徒の負担をいたずらに増やすのは、単に政府の責任逃れだと思えてならない。ゆとり教育自体が悪いというより、そもそも詰め込み教育を受けて育った現在の教師に対して具体的な教育例を示さなかった文科省の方にも問題はあったのだ(もちろん、政府だけに責任転嫁はできない)。全ての教育問題を学校や教師に転嫁する親の風潮も良くない。本来教育というのは、親も全面的に関与すべき事柄なのである。だが、日本の家庭でそれを行うのは、現実的に厳しい面もあるだろう。日本は家庭には優しくない国である。
どうすれば、子供の才能を開花させることが出来るのか。もはや、教育面からだけでは解決できまい。その裏側にある社会問題から紐解いていく必要が、日本にはあるはずである。
5.0 人間の可能性と気持の重要性を再認識させてくれる本
ドラマ「金八先生」でも紹介された有名な本。

正直なところ、「オール1の落ちこぼれ、教師になる」というタイトルだけ
では驚きはそれほどなかった。つまり、オール1をとったのは小学生くらい
で、そこから気持ちを入れ替えて勉強して大学に行って教職に就くことくらい
あるだろう、と思っていた。

しかし読んでみると、いくつかの驚きに打ちのめされた。まず、合格した大学
が難関・名古屋大学であったこと。私ならば、この本に書かれていた教師と同じ
ように、前例がないオール1からの難関大学挑戦に対して、「無理だろう」と
諦めてしまっていただろう。次に、家族を18歳の時に亡くしていること。
このようなつらい経験を乗り越え、経済的にも厳しい状況であったこと。
さらに、学生時代いじめにあっていたこと。
普通ならば心が折れてしまうのではないだろうか。

このような状況の中、意思を強固に持ち、ついには目標をかなえた著者。
さらに、大学に進学し自分と同じように苦しんでいる学生を救いたい
という気持ちで、辛さと喜び両方味わった学校現場に戻って教鞭についた著者。
その著者の生きざまを描いた本。

本からは、人間はそれぞれ可能性を秘めているということを、陳腐な言葉ではなく
説得力ある実体として迫ってくるものがある。ただ、その可能性を生かすためには
筆者のように、一度決めたらとことんやり抜く意志の強さとひたむきさが重要で
あることも、同時に伝わってくる。そのひたむきさが、周りの「応援団」を生むことも。

人間の可能性の素晴らしさ、それを生かすも殺すもその人の気持ちとそれに裏付けされた
行動の重要性も真に迫る一読の価値がある。
5.0 読む人にとってはかなり価値がある
学校で物理の先生が貸してくれたのが切っ掛けです。
もともと小説を読んだことがなく、その中でもうこういう本は特に嫌いでした。
だいたい題名からしてあからさますぎて、中身は知らなかったけどほとんどが自分は不幸だったってことを強調しているのに、結局は成功しているのが他人の幸せを見せ付けられるようで嫉妬心しかわかない、というか自分がそういう性格だったせいもあります。
でも先生がわざわざ貸してくれたのでしょうがないから読んでみたところ、中身は、大筋のストーリーは上記と同じなんですが予想とは違いました。

簡潔に書くと、人生の成功秘話なんかじゃなくてただの物語として完成してたところ。
また、総ページが200程度しかなく、小説を読んだことがない私でも読む気がおきたところ。
そのおかげで気づけば読み終わってました。
さらに、物語の中に受験勉強の流れとかが登場して(当時はセンター試験とか個別試験の意味がよくわからなくて知りたかった)大学受験の仕組みについて簡単に触れてくれたこと。
定時制高校における教育とは、ということについて書いてあったこと。

これは短いながらも必要な人にとっては価値ある情報をかなり包容していました。
特に私の学校の先生については最高の教本としての価値を持っていたんじゃないでしょうか。
生徒としても、この本に書かれている内容を先生が読んでいたというだけで尊敬の念があります。
作者のことを成功秘話を自慢する人だと題名から思ってたんですが、こんな私から見ても宮本延春さんは良い人だという印象をうけました。

人それぞれとはいえ、ここまで自分の近況や知りたい情報に即している本に出合えたって今でも凄いなと驚いてます。補足すると、作者と物事の考え方が結構似てたっていうのもスイスイ読めた原因です。
2.0 そんなにいい本だろうか
オール1だった人が学校の先生に。確かにいろいろな苦労があったんだと思う。頑張ったんだと思う。
でもそれだけではないだろうか。著者の教育に関する考えなんかも誰でも言いそうなことだ。
後半からはなんだか自慢話のように聞こえてきて、少し不快感を覚えた。
自分はこんなに苦労したんだ、オール1だったんだ。頑張ったんだ。俺は誰よりも出来ない生徒の気持ちがわかる。うーん、内容が薄かった。オール1だったというエピソードをとってしまったら、なんにも残らない本だと思う。
5.0 情熱×時間×出会い=無限な可能性
2006年の夏、書店の棚を見ていたら、この本のタイトルが目に飛び込んできた。
「オール1からの教師だって…」と、どんな人だろう?

勉強の分からなかった人が、人に教えることは、大きな可能性がある。
彼は、エジソンみたいな人だろうか?
大原光代さんの『だから、あなたも生きぬいて』(講談社文庫)のような波瀾万丈なドラマだろうか?
人生のやり直しの物語だろうか?
ドキドキしながら、この本を手にしたことを、昨日のことのように思い出す。

小・中学生の授業中に、前の黒板に説明されることを、考えて理解することもなく、何年も過ごしてきたことの体験が、僕の脳裏によみがえる。

23歳で九九のできない彼に、彼女が貸してくれた1本のビデオテープ・NHKスペシャル「アインシュタイン・ロマン」を観て、物理に興味を抱き、27歳で名古屋大学に合格。
「名古屋大学理学部物理学科卒業・同大学院理学研究科博士課程修了・理学博士」
現在・私立豊川高等学校教諭。そして教育再生会議委員でもある。

この人、実在の人物ですよ。
テレビドラマのフィクションの世界ではありませんから…。

彼には隠れた部分で、優れた能力があったのでしょう。
でも、彼女との素晴らしい出会いがあったからこそ、奇跡のような「宮本延春」が存在する。

「学ぶことへの情熱」が伝わってくる歴史に残る1冊。

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