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本能寺の変―光秀の野望と勝算 (学研新書 32)の商品レビュー 光秀単独犯説の枠の中での斬新な推理に驚く。
著者は現役の警察畑の人で既に信長関係の本を上梓している。本書は光秀単独犯説の立場で謀反の動機、変の実行、変後の各武将・光秀の行動、そして光秀一族が滅ぶまでを時間順に追う。謀略説の批判には頁を割いておらず、「信長は謀略で殺されたのか 本能寺の変・謀略説を嗤う」に詳しい検証を譲っている。著者は、本書は歴史にあまり詳しくない読者向けの啓蒙書で、「新説」や「新発見の事実」を紹介するものではないとするが、随所に斬新な推理を述べている。まず、近年強調されている信長の四国政策の変更や秀吉との対立は謀反の動機にならないとする。特に秀吉との、同じ織田家の外様として長く戦友だった繋がりを強調し、この戦友意識が秀吉に毛利より早く変の情報をもたらしたとする。秀吉と安国寺恵瓊の交渉に関する推理も大胆だ。その他、穴山梅雪の死等、推理は多々あるが、注目すべきは、信忠が堺から京に戻った情報を入手した経緯、そして千載一隅の好機を逃さぬよう1万以上の軍勢をひきいて京の出口を固め、そのことを自身で確かめたから信忠は脱出をあきらめたとする点だ。信忠は脱出できたはずとの井沢説と対立する。信忠在京を光秀はいつ、どのように知ったかは、偶然がいくつも重なったことが誘因になったとする光秀単独犯説の中でも、発作的犯行と捉えるか、天下を狙う隙のない作戦と捉えるかの分岐点になるので、今後の研究の深化を待ちたい。総じて著者は光秀に対し好意的で、変後の行動も概ね妥当であったが、結局運がなく、ハイリターンを逃したとする。信長公記も脚色されている箇所があり、決定的な根拠がないから本能寺の変は面白いのだが、それでも近年定説になった光秀単独犯説の枠内で斬新な見解があることに驚いた。是非各自推理の当否を考えて下さい。なお、本書は神君伊賀越えの経路等、地図と写真が適切な箇所にコンパクトにまとめられており、重宝である。 本の最新売り上げランキング - トップ10
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