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全世界で数多くの作家が、夥しい作品を生み出し、 壮大な暗黒神話体系となった、クトゥルー神話。 日本でも、小説のみならず、漫画や特撮、ゲームなど、 さまざまな媒体で、多くの作品が創り出されています。 本書は、その膨大な作品群を渉猟する さいに、最適のガイドになるといえます。 ところで、私は日本における記念すべき最初の神話小説が、高木彬光「邪教の神」 であることを、本書ではじめて知ったのですが、本書によると、高木彬光は、江戸川 乱歩経由でクトゥルー神話の知識を得たのではないかと推測はできるものの、真相 は不明だそうです。 本邦初の神話小説が、どういう経緯で生れたのか、興味深いところです。
■著者は、元『幻想文学』編集長、現在『幽』編集長。近年屈指のアンソロジストにして怪奇幻想文学研究家。 ■本書は、クトゥルー神話大系を用語事典、作品案内、作家名鑑、歴史年表という4つの柱に分類して各項目を50音順に解説。日本の作家達が取り組んだ仕事にも実にきめ細かな目配りをしており、私はただただひれ伏したのであった。いやもう恐れ入りました。 ■どんな事典でも一人で取り組むことは途方も無いエネルギーを要する。それを、軽やかにさわやかに成し遂げている東氏の力量にはただただ脱帽あるのみである。
クトゥルー神話の用語のみならず、作品、作家をまとめた一大ガイドブックの第三版。先に出版された二つの版よりも明らかに用語が増えていて、「えっ!? こんな用語まで拾って来るの!?」みたいな、重箱の隅をつつき回したかのような細かい所も押さえている。その為、ビギナーのみならず、神話関連書籍を軒並み書架にストックしているようなマニアをも唸らせる一品である。ただ、用語に関して誤記が多いのが気になる。特にドイツ語の人名や書籍名の表記はお粗末過ぎ。深海祭祀書のドイツ語名はウンテル・ツェー・クルテンでなくウンター・ゼー・クルテンだし、ルドウィク・プリンはルートヴィッヒ・プリンが正しい。最も、後者に関して言えば、神話の第一人者でありながら珍訳&誤訳の常習犯である大瀧某に責任があるのだが。次に版を重ねるならこういった英語以外の言語を、その国の語法で忠実に表記して欲しい。