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ゲーデルの哲学―不完全性定理と神の存在論 (講談社現代新書)

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ゲーデルの哲学―不完全性定理と神の存在論 (講談社現代新書)の商品レビュー

5.0 内容が豊富な良書
ゲーデルの哲学という題名だけあって、不完全性定理の解説にとどまらず、ゲーデルの伝記、ギブス講演の内容、さらには神の存在論的証明までが詳しい解説とともに収録されています。

スマリヤンの著書に負うところがありそうではあるものの、不完全性定理の導入本として優れていると思います。
また、ゲーデルとその同僚達(アインシュタインなど)の逸話も多数収められている隙のない本でもあります。
5.0 ゲーデルが「無門関」に出てきたらどうなるのか?
 ゲーデル関係を読むのは本書が初めてである。

 まず彼の不完全性理論に関しては 流石に 全くの素人であるので よくわかりましたとは到底言い難い。いや ほとんどよく解らなかったという方が正直なところだ。但し著者が「パズル」で説明しようとしているおかげで 雰囲気は感じた。おそらく 本書を初めて読んだものとしては そんなところで良いのだと思う。そこから先はまた自分で 今後どのように読んでいくのか、もしくは そもそも今後もゲーデルに関して読んでいくのかどうかも含めて自分で考えることなのだ。

 二点目として 哲学と数学の境界線に触れた点に大変興味を感じた。アインシュタインと ウィトゲンシュタインが 同じ地平線の上に出てきている「知」の世界を 遠くから眺めた思いである。そもそも 哲学とは 世の中の成り立ちを探究する学問だと定義するなら ある意味で当然のことなのかもしれない。

 最後にゲーデルが「神」を扱った点が面白かった。神を「論理」で実在の有無を考えていくという作業には 無類の興味と ある種の不毛を感じたからだ。
 ここで 僕が「不毛」と言う「不遜さ」はあると僕自身は思う。但し 現代の宗教を起因とする様々な人間の歪みを見るにつけて 「神」を論理的に考えていくことが どこまで意味があるのかが 僕には見えないからだ。
 たとえば ゲーデルが 「無門関」に登場したらどうなるのかを考えても楽しい。おそらくは一喝されるだけだろうから。但し もしかしたらゲーデルも「公案」には大いに興味も示すかもしれない。

 ということで 非常に興味深い読書にはなった。このような読まれ方をすることが著者の意図とは思えないのだが。
2.0 著者は読者にどの程度の理解を期待しているのか、がわからない
この本を推薦している人たちは内容が理解できたのだろうか。
綿密な議論を避けて読者に直観的に解らせる、ということが至難の業であることはわかる。しかし、読んでいる途中で読者を不安にさせてはいけない。読者はこの段階でこの程度に理解しているはずだ(この程度にしか理解していないはずだ)という認識を絶えず保持しながら記述を進めるのが、この種の本を書く著者の最低限の条件ではないか。この本は、わかっている者にはわかるが、わかっていない者にはさっぱりわからない、というしかない。
第1章「不完全性定理のイメージ」を例にあげる。
著者は、読者に直観的イメージを喚起させるため“レイモンド・スマリヤンが作った”“パズル”を“単純化して用いる”としているが、“単純化”は話をこんがらせているだけ。結局スマリヤンの原書(の翻訳)を読むしかない。
「真理の対応理論」というものを理解(少なくとも直観的に納得)しないと後の記述がわけのわからないものになる。先へ進むには「対応理論」のより詳しい説明がどうしても必要なのだが、著者はそこのところがわかっていないらしい。(“第3章参照”とあるが納得できる説明はどこにもない。)結局、「対応理論」を承認する者にとってのみ「不完全性定理」は“真”(あるいは“意味がある”)ということになってしまう。それでは著者の意に反するだろう。
他の章も同じ。文章が上すべりしている。定義のない初出のことばが不用意に頻出する。読者に親切とはどうしても言えない。この本を書いた著者の狙いが中途半端だった、というべきかもしれない。
とはいえ、ゲーデルの生涯と20世紀前半の論理数学者たちの苦闘と葛藤の歴史の紹介はやはりおもしろい。その点での著者の労は認めるべきだろう。
4.0 神のみぞ知る
ゲーテルの不完全性定理とそこから導かれる神の存在否定(内容は存在を証明できない)を数式を使うことなく読者に説明している本です。

不完全性定理と彼が導いた他の定理を色々なトピックス(例え話)で紹介していますが、ハッキリ言って難しです。
例え話を無理して理解するよりも、ゲーテルの伝記・評伝として読むと面白いと思います。天才的な発想をするゲーテルの人となりと、彼を取り巻く人々の関わりがよくわかります。天才はやはり何処か常識人と違います。

洋の東西を問わず神は信じられています。一神教か多神教かは色々あります。でもその事が民族間での争い、戦争、殺戮が行われる原因の一部であるのはナンセンスです。神の存在を証明できないから、どちらが正しいかは人間では判断できないのです。その事を本書では述べていると思います。

まさに「神のみぞ知る」です。
5.0 一生モノ
うーん、やっぱりわからないや。と、これが「ゲーデルの哲学」を読んだ率直な感想。著者が豊富なアナロジーを駆使して不完全性定理のアウトラインを描き出してくれるおかげで、なんとなく分かった気にはなる。でも、不完全性定理の核心やそのスゴさはやっぱり理解できなかった。特に本書の後半に登場する「(神の)存在論的証明」はまったくもってワケがわからず、完全にお手上げ。

ただ、それでも本書を最後まで読み進めることができたのは、クルト・ゲーデルの人生の面白さに負うところが大きい。本書は不完全性定理の解説としても優れている(たぶん)が、なんといってもゲーデルというひとりの天才の苦悩の個人史として秀逸なのだ。

例えばゲーデルは、彼の講師職を廃したウィーン大学と出国を余儀なくさせたオーストリア(オーストリー)政府を最後まで許せず、これらの機関から贈られる賞をことごとく拒否。また、機会があったにもかかわらず、アメリカ移住後は二度とヨーロッパに戻らなかったという。こんなところにゲーデルの妙な人間臭さを感じて、読者としては興味深く彼の人生を楽しむことができた。

ページ数としては普通に1日で読み終わる分量だけど、その内容の理解には一生以上かかりそうな予感だ。新書にしては本当に読み応えのある一冊。まさに一生モノ。

いつかGEB(ゲーデル、エッシャー、バッハ)を読破することを夢見て。

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