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「家族」と「幸福」の戦後史―郊外の夢と現実 (講談社現代新書)

「家族」と「幸福」の戦後史―郊外の夢と現実 (講談社現代新書)

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「家族」と「幸福」の戦後史―郊外の夢と現実 (講談社現代新書)の商品レビュー

5.0 ニュータウンが新しかった時代
 ニュータウンの歴史をアメリカから日本に影響を与え、多摩ニュータウンが誕生。
 そしてニュータウンの中で苦悩する人々まで。
 多くのデータを用いながらその歴史を描いています。
 現在多摩ニュータウンでは子どもが減り老人の一人暮らしや孤独死が報道されているが8年前のこの書はそれすら予感させていた。
 神戸の少年Aが住んだニュータウンの無機質さなども描いている。
 希望や幸福に包まれて?出来上がったはずのニュータウンは今大きな問題を抱えていることを知ることができる。
 この50年間日本人がどのような風俗を好みどのようなテレビ、雑誌を受容していったのかを知るのにも便利だ。良い書物だと思います
4.0 「下流社会」よりも・・・
郊外論と聞くと東浩紀と北田暁大が対談しているし
いまではすっかりポピュラーになったが
この本はその郊外論ブーム前夜に書かれたもの。

タイトルで括弧でくくられている家族と幸福だが
三浦はこの本で戦後の核家族、ニュータウン、郊外と
それに付随する形でおとずれる幸福は
大量消費社会の生んだフィクションであると
ぶちあける。

郊外、ニュータウンという概念の誕生とその進展を追う過程が
非常に丁寧で好感が持てる。
途中で多少アメリカ論に偏重しがちであったと思うが
それもアメリカ的幸福(アメリカのホームコメディー)が日本で
幸福として受容されていたという流れからすれば正当だろう。

後半になるにつれその郊外=核家族について
多少ペシミスティックすぎる嫌いがあり、
「〜は〜が原因だ!」とか「〜の真相は〜だ」という
話型に少々食傷気味の私にはいささかしんどかったが
神戸児童殺傷事件とニュータウンの関連は十分議論の余地があり、重要な問題だ。

また終章で郊外という均質化した息苦しい空間からのエスケープとして
昔ながらのゴミゴミした街を愛する若者の傾向やフリーマーケットについて
論考されているが、ここもカルスタ的な「若者は馬鹿ではない」という
くさいメッセージを感じた。

それよりも、今後は「郊外=核家族」的空間と
オタク的現象の関連について筆者の論考を読んでみたい。

まず何よりも「下流社会」よりは誰が読んでもおもしろいと思う。




4.0 読み物として面白かった。
他の方のレヴューを見る限り、本書はマーケティングに関心のある方に好評のようだが、社会史に関心のある方にもお薦めしたい。冷戦の展開と並行して進行した郊外化と大衆消費社会の成立は何をもたらしたのか。冷戦下50年代のアメリカ社会の変容が60年代の激動の時代を準備することになったことが見て取れる。

後半は米国に倣って日本で進められた郊外化が、いかに現代の少年の凶悪犯罪などの問題の素地となっているか、興味深い議論が展開される。家族社会学などを専攻される方にもお薦めしたい。

手軽な読み物として、平易かつとても面白い内容であった。本書のような視点に立った社会史を、今後も期待したいと思う。
4.0 一代限りでしかない「家族」と「郊外」
本書は、戦後における「家族」にまつわる、社会経済的諸側面について、特にそうした「家族」と並行的に出現した「郊外」との関連で考察したものである。

特に本書の指摘の中で興味深いのが、戦後日本における団塊の世代のライフサイクルに伴う、「モデル家族」の出現と、その家族が居住する、郊外地区の大規模開発という点であった。そこでは、ホワイトカラーの夫、専業主婦の妻、勉学にいそしむ子供、という「典型的」な家族構成が、少なくとも認識上は存在していたと指摘している。

しかしながら、本書の指摘が見事であるのは、こうした団塊の世代が、「理想の」家族と郊外を作り上げたと同時にさまざまな問題が発生したという点である。いやむしろ、そうした家族なり、郊外そのものが問題の発生源としている。

すなわち、郊外地区においては、「モデル家族」が規範となることから、家族構成や年齢構成、または階層的にも極めて均一で、強固な規範が支配するということだ。そして、この規範が強固であるがゆえに、そこにおける逸脱行動も異常・極端であり、これが当時発生した少年犯罪などの根源的原因であるとしている。

ここから見えてくるのは、戦後の理想的「家族」も「郊外」も、団塊の世代の存在という極めて歴史的特殊性の中で存在したものであり、その団塊の世代が消滅すると同時に消滅する運命を背負った、実に「一代限り」のものでしかないということだ。実際に著者は、本書の末尾で、従来の都市に若者世代が回帰していることを取り上げており、現実的にも、郊外が「オールドニュータウン」化し、荒廃化していく現実がある。

本書から見える今後の課題としては、こうした単なる特殊な「団塊一代限定」のものでしかない、問題の発生源である家族や郊外をどう乗り越え、多様な価値観が共存できるような、基本的な枠組み設定を行っていくということであろう。

4.0 へえーっと思わずうなる郊外と家族像の変遷
高度成長期以後、ニュータウンが郊外にぞくぞくと造られ、郊外型大型店がたてられ、山・高地は平地となり、電車のレールはどんどん伸びていった。サラリーマンの夢「一戸建て」という現象と、子供中心と専業主婦の家族構造を産みだす因果関係を、わかりやすく解説してくれているのが、本書だ。

「幸福」にかっこがついているのが、ミソ。「幸福」って、価値観って、いったい何だろう?

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