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ユダヤ人とローマ帝国 (講談社現代新書)の商品レビュー まとめ方が問題
1942年に生まれたフランクフルト日本人国際学校理事が、現代を意識しつつ、ローマ時代におけるユダヤ人と他民族・キリスト教との関連を考察することによって、古代における反ユダヤ思想の源泉とその形成過程を探るために、2001年に刊行した本。著者の結論は、一神教・律法厳守・選民意識ゆえの他民族からの孤立が、誤解や理解不足を招いたというユダヤ人の内部要因と、反乱・蜂起、キリスト殺しの烙印といった政治的・宗教的外部要因が、現代にまで引き継がれるユダヤ人非難言説の基本的要素を創り出したというものであり、特にユダヤ人の孤立志向とキリスト教による迫害が強調されている。しかし、本書を精読すれば、第一にユダヤ人の孤立志向は否定しがたいものの、あくまでも宗教的信条に基づくものであること、第二にその宗教的信条は、独自の国を持たず各地に離散していた彼らの精神的紐帯であり、彼らが集団として存続するためには必要なものであったこと(権力者との癒着も、この要因から説明される)、第三に彼らと多民族との軋轢の原因は、権力争い、ギリシア人支配と並行してユダヤ人に特権を認めたローマの分断統治策、政治権力によるユダヤ教への干渉や他宗教の強制(支配強化、皇帝礼拝・多神教強制等)など、概して政治的要因によったこと、第四にキリスト教がキリスト信仰の強調と割礼廃止によりユダヤ教から分離する過程で、ユダヤ人によるキリスト殺しの罪が強調されるようになったという、近親憎悪的側面があること、等が読み取れる。それらを考慮すれば、著者の結論はユダヤ人側の責任をあまりにも強調しすぎている感が強く、いじめる側の論理をもとに、いじめられるのはいじめられる側が悪いという説明になっていないか。 ローマ人の物語シリーズの読者には是非読んでほしい
20世紀に起こったホロコースト、そして今も根強い反ユダヤ人感情は、日本人にはなかなかわかりにくい、しかし目をそらしてはいけない問題だと考えますが、本書はその淵源を古代ローマ帝国および初期キリスト教指導者の思想に求めます。塩野七生氏のローマ人の物語シリーズの読者の方ならば、氏の作品によくローマとユダヤ人の関係(カエサルの寵愛、ヘロデ王によるユダヤ支配、カリグラ帝の挑発、ティトゥスによるエルサレム総攻撃、ハドリアヌス帝による弾圧に対するユダヤ人の反乱とその鎮圧)の記述が出てくることはご承知でしょう。それらの記述を集めれば、本作の前半ができあがるのではないかと思うほどです。もちろん、本作はローマ人の物語シリーズでは紹介されていなかった資料やエピソード、それに切り口で、元首制の時代までのローマとユダヤ人の関係を手際よく説明してくれるので、ローマ人の物語シリーズの読者にとっても大いに参考になります。結論として元首制期まではユダヤ民族を滅ぼそうという政策はとられなかった。今につながる反ユダヤ主義が芽生えるのは、キリスト教誕生以降ということになります。そこで、キリスト教化した後期ローマ帝国はどのような政策をとったか、初期キリスト教指導者はどのように考えたかが重要になってきますが、最近のローマ人の物語シリーズではそれらの点は触れられていない。それ故、本書の後半で教わることは実に多く、特にキリスト教の聖人とされる人によって、生かさず、殺さずという考え方が生み出され、それがユダヤ人の放浪の運命を決定づけたとする作者の結論はとても刺激的です。ユダヤ教とそれを母体にしたキリスト教誕生の物語に思いをはせずにはいられないでしょう。 「ユダヤ人によるキリスト殺し」の起源がわかります
古代からローマ帝国の時期までのユダヤ人の歩みを追いながら、ユダヤ人迫害の根源を探った労作です。多神教が常識だった時代に一神教を信奉していたユダヤ人は古代から他民族から気味悪がられてはいたが、それは明確な迫害思想ではありませんでした。明確なユダヤ人迫害思想は、キリスト教誕生後、ユダヤ教とキリスト教の対立関係の中でキリスト教が生み出した「ユダヤ人がキリストを殺した」という主張に基づくものだということがわかりやすく説明されています。 紀元前後のユダヤとローマとの関係がよくわかった
ユダヤ人といえばキリスト殺しでも有名であるが、これまで意外と紀元前後のユダヤ人を扱った書物は少なかったように思える。 本の最新売り上げランキング - トップ10
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