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最新・北朝鮮データブック―先軍政治、工作から核開発、ポスト金正日まで (講談社現代新書)

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最新・北朝鮮データブック―先軍政治、工作から核開発、ポスト金正日まで (講談社現代新書)の商品レビュー

5.0 北朝鮮の歴史と支配体制の概説。血と骨。
.外務省は渡された拉致者の死亡年月日情報を一時的に隠した。胡散臭いことが丸見えだったからだ。20分で住む朝鮮語翻訳に6時間かかったと嘘もついた。で、国民の怒りを買い、いい加減な正常化交渉が困難になった。また米国は核問題を棚上げした交渉を当然不快としケリーを北に派遣、核兵器開発の動かぬ証拠を突き付けた。
・北ベトナムの勝利がベトナム式武力統一路線に走らせ、工作重視の統一優先策をとり始めた。100人前後もの日本人拉致はその策の一つ。この軍事優先策が北の経済破綻を招く。
・儒教社会主義―1.統治の正統性と大義名分重視―ソウル五輪阻止と全斗煥ビルマ(社会主義国)訪問阻止―テロ。2.世襲の正当化。3.官僚主義ー腐敗。4.父親絶対ー忠誠と孝道の価値観ー体制の倒壊を防ぐ。5・金銭と経済蔑視。貨幣経済と市場経済の否定ーソフトランディング不可能6.父親の絶対化ー「改革」は禁語。それは金日成否定である。農業でも金日成の指示しない作物は植えないー飢餓。7.出身成分を51に分類。家系を三代前まで遡り家族や親戚の傾向も重視する絶対的な階級社会。進学、出世も差別。出身成分こそ社会の基本原理。
・先軍政治98年―体制維持が至上目的となりその為、党優位から軍優位へ。思想優先から実力主義へ。国防委員長が元首に。軍が全てを支配。社会主義放棄と市場経済導入の可能性。半島の緊張激化。核への執着。
要するに儒教の権威主義による支配が難しくなり、露骨な実力による支配に転換しつつあるらしい。しかし主体思想は体制維持のため堅持する必要があり、解消不能のジレンマに陥っているようだ。





4.0 最も危険な専門家の確かな分析
「最新」と銘打たれているが、2002年発行の本書。2007年現在から見ると最新とは言い難い。しかし、一部、データとしては古くなっているのは否めないが、内容そのものは古びていない。それだけ北朝鮮が変わっていないとも言えるし、著者のスタンスが確かなものだったともいえる。「最も危険な専門家」であり、崩壊論を採らなかった著者の面目躍如である。

「朝鮮半島の運命を決める権利は、朝鮮半島に住む人だけが有する固有の権利である」
「朝鮮問題への取り組みには、朝鮮・韓国語のマスターが不可欠である。言葉を使えることが、朝鮮・韓国人への愛情の証である」
そう言い切る著者は時流に乗っただけではない専門家の矜持を感じさせる。
また、北朝鮮は工作国家であると早い時期から看破すると同時に、日本の北朝鮮への論調には日本的オリエンタリズムを感じるなど北朝鮮のみならず日本に対しても確かな分析力を見て取ることが出来る。

著者の述べる北朝鮮を理解する6つの理論はこの5年の間の北朝鮮情勢の動向によってさらに強固に証明されたような気もする。
日本には少なくとも地域における大国としての自覚を持って北朝鮮問題の解決にさらなる尽力を期待し、北朝鮮には一刻も早い体制変更を願いたい。
3.0 著者の誠実さは確かだが・・
著者は北朝鮮ウォッチャーとして、いまやすっかりお茶の間でもおなじみの存在だが、序章部分に出てくる次のような一節にはちょっと感動した。
「権力者や体制と関係ない一般の韓国人と朝鮮人の多くは、きわめて素朴で純情な同じ民族なのだ。北の朝鮮人も南の韓国人も、同じ民族であり、日本人と同じように温かい血の通う人間であるという考えが、日本での朝鮮半島論議には欠けていた・・」
人によってはナイーブ過ぎると思われるかもしれない。しかし、北朝鮮の工作国家としての一面をはっきり指摘する一方、いたずらにその異常性・異端制を強調しようとする議論とは一線を画し、「北朝鮮への醒めた目と冷静な判断」が重要、と説く著者のスタンスの原点には、このような認識もあるようだ。

もっとも、そのせいかどうか、本書では全体を通じ、各種工作活動、ミサイル・偽札・麻薬などの闇ビジネス、「将軍様」の私生活、劣悪な人権状況など、北朝鮮の「暗部」についてはあまり語られていない印象を受ける。とかくセンセーショナルに取り上げられがちなテーマはあえてパスしたのかもしれないが、ディープな北朝鮮像に触れようとして本書を手に取ると、期待はずれに終わるかも。
また、今後の北朝鮮のソフトランディングの可能性についても、より突っ込んだ考察をしてほしかった。

3.0 過去の話、今では見方がややずれている
本書を読んだ後のことだが、英紙ファイナンシャルタイムズが最近、北朝鮮の市場経済化の動きを報じていた。どうやら、韓国、中国では今ではそうした視点が支配的らしい。
本書は北朝鮮の過去(その一部?)を理解するには有用だが、市場経済化の動きがそっくり抜けているため、現状認識には物足りない。
著者は反対するが、やはり日朝国交正常化は北東アジアの安定に不可欠で、小泉外交は方向性としては正しいと思う。
北朝鮮と国交正常化を成し遂げたイギリス、ドイツ、イタリアなどは市場経済化を見越して企業が動き出しているという。日本だけが取り残されてしまうのは国益上まずいことになろう。
4.0 前著と同じく、冷静な北朝鮮分析を
本書は1998年の北朝鮮の憲法改正以降の動きを付け加えることに主眼を置いている。しかし1997年の初版と重なっている箇所がかなりある。どうせなら全て違うものにしてもよかったのではないか。2冊続けて読んだので、重なっている箇所を読んだ時は少しだけ損した気分だった。

「振り子外交」は大国に無視されると機能しなくなる(218頁)。北朝鮮の巧みな外交戦略に翻弄されないために、この戦略がこれまで一貫して北朝鮮の外交を支えてきた事実をまずはきちんと認識しなくてはならない。拉致問題では日本は一貫した姿勢を貫いてきた。それは自国民の人権に関わる問題だったからでもある。メディアでの扱いも他の問題に比べて破格であった。しかし、核開発問題や国交正常化交渉で同じように一貫した姿勢で北朝鮮に対峙できるかどうかは、少し怪しい。日朝国交正常化は北東アジアの安定に寄与するという主張が説得力をもっているように受け止められているが、実際には筆者が指摘するように、オーストラリア、カナダ、イタリア、イギリスなどが北朝鮮と国交正常化を成し遂げたにも関わらず、この地域に安定は訪れなかった。(230頁)過度な期待を寄せて、まずは正常化ありきの議論をすべきではないだろう。正常化交渉が難航しようとも、ダメなものはダメだと言わなくてはならない。

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