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「美少女」の現代史 (講談社現代新書)

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「美少女」の現代史 (講談社現代新書)の商品レビュー

4.0 前時代的視線による男性論
「思春期以上の人間に向けられた多くのキャラクターたちは、性的な意味を
持っています。異性として魅力を発揮するように工夫されたキャラクターが、
多数作られています。……本書では、この『美少女』というイメージのあり方を
手掛かりにしながら、キャラクターと『萌え』の歴史を、主に男性の視点から
追っていきます」。

 他のレヴューによって散々指摘されているように、単純にマンガ・アニメにおける
美少女キャラクターの変遷をたどるというよりは、それを見つめる側のあり様が問題と
されているわけで、その点においては「看板に偽りあり」との感はやや否めない。
 言っていることは概ね正しいとは思う、ただしそれを問題視せねばならない理由が
分からない。ある種の人間は現実的な恋愛に魅力を感じるからコミットメントへと
向かい、ある種の人間は架空のキャラクターとの自己完結したセカイに快楽を
見出すから「萌え」や「美少女」を享受するし、またある種の人々は恋愛的なものに
退屈を感じて、というか眼中にもなく、他のコンテンツを消費する。
 高い所にあるブドウは酸っぱい、的な感性が全くないとも思わないが、こうした多様性を
臆病や逃避と看做すのはいかがなものか、というよりは単細胞の戯言。
「浅く広く」の画一的消費から「深く狭く」の島宇宙的消費へ――情報社会・消費社会が
辿るであろう半ば必然、そんなもの、ただの趣味・嗜好以上の問題ではない。
 現代においてはもはや生身の男女へのコミットメントのみを肯定・奨励しなければ
ならない理由というのはほとんどないわけで――あえて言えば国家というネズミ講の
成員が減少するのは問題だ、ということくらいでしょうか――、けれども筆者は
そこに何らかの違和感を覚えてしまうらしい。そこまでして他人とコミットしなければ
いけないのか、いけないと思うから氏は「倫理」ということばを持ち出すのだろうが、
さてそうなのか、と。したければしたらいい、したくなければしなくてもいい、理想的。
 消費社会論、男性論の現象記述、文脈リテラシーにそう間違いはないように思える。
ただし、そもそもの問題意識に前時代的な臭気を感じずにはいられない。
5.0 ヒロイン像
マンガやアニメの世界の美少女像の変遷が書かれている本で、とても面白い本でした。マンガやアニメの裏話にも詳しくなれる本です。ところどころに、マンガの美少女の絵が掲載されていて、楽しいです。また、男性の存在意義についても考察されていて、とても面白い内容の本でした。オタクの心理を理解するのにも良い本かもしれません。
5.0 男性の生きにくさ
 1961年生まれの元『少年キャプテン』編集長が、「美少女」(最初から思春期以上の人間を対象に作られ、異性として魅力の感じられる架空のキャラクター)イメージのあり方を手がかりに、主に男性の視点からの萌え(20頁)の歴史を論じた、2004年刊行の本。キャラ萌えの起源は一応1972〜73年頃(アイドルの登場と同時期)に見られ、女性が先行していたが、やがてアニメブームを契機にして1980年前後に男性側にも波及する(ラブコメ・ロリコンブーム。少年サンデー中心)。マニア向け情報メディアの創刊とも相俟って、この頃ジャンルの壁を越えたオタク的空間が成立し、美少女はその融合のシンボルの一つとして普及してゆく。美少女は、追求すべき価値や目標を失った男性に、日常的な恋愛物語の中で存在根拠を与えてくれる、傷つきやすい内面を想定された(エッチ漫画との差異)絶対的・非性的な存在として描かれ、時代の閉塞状況の中で、戯れ経由で本気を追求するパロディと並行して流行した。それらはメカ&美少女アニメ(戦い始める少女と戦いから撤退していく少年のイメージが主流。アイドル・女子高生・ジュニア小説・村上春樹ブームと連動)を経た後、1990年代以降こうした屈折を経ずにベタに表現の一手段として普及する。同時期に美少女フィギュアの発展とあわせて、立体表現への志向が強まり、写実的な性的身体を持った漫画的な顔の内面的な美少女キャラが一般化する(グラビアアイドルと連動)。また女性による美少女表現や、パソコンの普及といった新たな事態も見られ、特にギャルゲーはそのインタラクティブ性ゆえにバーチャルかつ唯我的な(自分の責任は回避=透明化した上で、一方的・暴力的に視線を投げかける)実存体験を可能にし、現在その倫理性が問われている。本書は美少女表現史を通じて男性の生きにくさを抉り出した男性論でもある。 
4.0 「彼女のため」という責任回避と「見られずに見る」文化の加速
  1970年代以降、“美少女に萌えてきた”男性の行動に焦点を当て、その歴史を追っている。著者は元徳間書店の編集者であり、現場感覚を備えながらも、俯瞰的に、そして的確に“〈美少女〉の現代史”を捉えているように思う。「国のため」「会社のため」「革命のため」だった行動規範は挫折し、1970年代以降は「彼女のため」にシフトしたと著者は語る。そして男達は「彼女」に気に入られるために本来持っているはずの自己の暴力性をスポイルし、「視線だけの存在」「透明な存在」に退却してしまう。「見られずに見る」文化はインターネットというテクノロジーを得てますます加速している。こうした閉塞的で唯我的な現実をおかしいと思うのか、「あえて」生きるのか、疑問も抱かず受け入れるのかは人それぞれだが、そこにはすべからく「倫理」が問われるはずだと著者は言う。僕自身は同時代に生きながら、ラムちゃん、あだち充、宮崎駿からセーラームーンにいたる本流の「美少女」文化には、なぜか深くかかわることなく、いつもその周辺にいた気がする。だが自分が「見られずに見る」文化圏内に存在しているという自覚は持っており、当事者として本書を大変興味深く読んだ。〈美少女〉の問題は、女性も含めたすべての同時代人のリアリティの問題なのだと思う。
3.0 1970-80年代の美少女漫画を歴史的にとらえる試み
 1970-80年代は美少女漫画・アニメの成立期であった。そして同時に、そうしたアニメを対象とした同人誌の成立期でもあった。本書は、『少年キャプテン』の編集長などを務めた著者が当時を回顧しつつ、歴史的な枠組みづくりを目指した一冊。登場人物である美少女を「男性の自己存在の根拠付け」と位置づけ、さまざまな作品を分析している。牽強付会で一本調子という欠点はあるものの、全体としては、美少女、萌え、キャラクターといったものを上手に説明出来ているように思う。細部にこだわるオタク的精神からは本書への批判があるかも知れないが、枠組みとしては有効だろう。
 この後の時代=現在についても論じて欲しいものである。

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