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議論のウソ (講談社現代新書)

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議論のウソ (講談社現代新書)の商品レビュー

5.0 それでも素人がウソを見破るのは難しい
最近はさすがに「少年犯罪の凶悪化が進んでいる」と言う人をテレビで見かけなくなったが、「日本人の学力が低下している」はいまだに定説のようである。

マスコミに携わる言わば情報の読み手のプロたちでさえ、本書が取り上げているウソを単純に信じ込んでしまう(と言うより何の検証もしないというべきか)訳だから、我々のような素人がこの手のウソを見破るのは簡単ではない。本書などの手助けが必要である。

最近、『〜のウソ』とか『〜を疑う』と言ったタイトルの出版物を目にする機会が多くなったのは、マスコミによる報道やそれらによって作られた定説を単純に信じ込むべきでないと思う人が増えてきたせいだろうか?
5.0 嘘を嘘と見抜けない人に送る良書
人間は、いとも簡単に誘導されてしまう。

この本に載っている例え話に、DHMOというのがある。
この話では、一切虚偽は書かれていない。
しかしながら、何と86%(50人中43人)もの人がDHMOを規制すべきかと聞かれて規制すべきと答えてしまったのである。

これからの時代は、情報化社会である。
さまざまな情報が飛び交う時代である。
しかしながら、どの情報にも意図は隠されていると思う。
それを見抜けない限り、よくないことが起こるのではないだろうか。
4.0 数字、データが苦手な私でも読みこなせましたので
巷に流れる言説、特に統計などの数値を元にその正当性をアピールする言説の間違いを
「少年非行」や、もはやネタの域にある「ゲーム脳の恐怖」を例に論じている。

私として目新しかったのは第三章、時間の作るウソの章だ。
電車内のペースメイカーや、病院内での医療機器への配慮で
ケータイなどの電磁波を発する機器の使用が制限されているが
2003年の再調査でほとんど問題ないことが判明した。にもかかわらず、既存の制度が顕在しているのだ。
病院や政府は万が一の場合の責任を恐れているのだろうが、不便な思いをさせられているのは彼らではなく
ケータイ使用者やペースメイカーをつけた高齢者である。筆者はこれを「時間の作るウソ」として論じている。

なんのことはない。これはダウンタウン松本人志が日ごろ、テレビの、ラジオ等で言っている
「おかしなとこがあったら言うていこ」の精神ではないか。
しかし、今までこのことを論じる知識人は、あまりいなかったと思う。

最後にゆとり教育について割かれた章が、めちゃ長い。おそらく筆者が一番言いたかったのがこれなのだろう。
たしかに情報をゼロから創造する産業が重要になる今からの時代
ゆとり教育のようなそれぞれがそれぞれのいいところと伸ばす手法のほうが重要なのかもしれない。
しかし、そこには大きな前提条件があるのを忘れてはいないだろうか。
それは「どの子にも何らかの才能がある」という条件である。
もしそこに「何の才能もない子がいるかもしれない」という仮定が織り込まれていないのであれば
それは筆者自身が言うとおりオプティミスティック過ぎるだろう。
ゆとり教育は何も、画一的に子供を「栽培」する従来の教育と正反対ではない。むしろそれと表裏一体の関係をなしているのだ。

そもそも全国一律の教育システムとゆとり教育とは馬が合わない。
本当にゆとり教育をするのだとすれば、内田樹が言うようにシャレではなく寺子屋を復活させなければならないだろう。
3.0 概念の整理がいまいち
たしかに読みやすいとは思います。そのぶん具体例がだらだら続いている感が否めません。疑うべき対象が本当にこの本に述べられているものだけなのかといった体系性の面で少し納得できませんでした。もっともこれは私の勉強不足からくるものなので著者には責任はありません。子供にメディアリテラシーというものを教えるときに役に立つ資料がいっぱい収録されているとは思います。
5.0 ハッタリを排して、誠実に情報の吟味の方法に向き合う
 私たちを取り巻くもっともらしい「ウソ」。声の大きさをを争うかの様な出来損ないの「朝まで生テレビ」モドキの様な議論。予断に心地良い「学力低下・ゆとり教育批判」。
 本書は、ややもすれば取り込まれてしまう世に浮遊する「議論のウソ」を、あくまで誠実に、一見すると地味とも思える手法で解体し、論証の骨格の在り様・論証の手法の在り様を読者に提示します。
 第1章「統計のウソ―ある朝の少年非行のニュース評論から」では、新聞・テレビ・雑誌の時折現れる読者の情緒と予断に迎合する少年犯罪急増論に、統計の魔力(統計を利用したデマ)を読み解くことにより少年非行の実態を正確に読み解く道を示します。
 第2章「権威のウソ―『ゲーム脳の恐怖』から」では、一見科学的よそおいを持ち権威を利用した虚偽を、静かに説得力を持って粉砕します。
 第3章「時間が作るウソ」では、携帯電話の利用をめぐって、電車の中や病院内での利用に関する、世間のムードと総務省の調査報告とその報告から導き出された「方針」の吟味を通して、時間差により情報とその評価に乖離が生じること、導き出された結論の利用に責任を持ちたくないことから生じる「不便の強要」が解明される。
 第4章「ムード先行のウソ―「ゆとり教育」批判から」では、国際比較での学力低下情報の吟味を詳細に行い、その上で「ゆとり教育」をムードではなく対象として捉えた把握を行い、「学力」と呼ばれているものを吟味し、更には「上がること、下がること」の意味を考察している。
 第5章「ウソとホントの境」では、これまでの議論を整理しウソを分類した上で、予め正答「ホント」の無い時代を生き抜く在り方を提起します。
 著者には、 他の著作に『大学生のためのレポート・論文術』等がありますが、またしても学生・読者に対する著者なりの愛情を確認できる著作に仕上がっています。

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