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若者殺しの時代 (講談社現代新書)

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若者殺しの時代 (講談社現代新書)の商品レビュー

5.0 徹底的に若者側に立つ「若者論」
 本書では現代の若者たちが時代に煮え湯を飲まされ続けている状況を、緻密なデータを根拠に描き出しています。著者は1958年生まれということですが、「近頃の若い者」への眼差しは、とてもあたたかく、「逃げろ」と勧めている。
 「…ゆっくり沈んでいく船(年寄りたちがつくったこの社会:評者注)に乗っていることはない。…すきあらば、逃げろ。」というメッセージは、胸を打ちます。
4.0 若者であることは得なのか、損なのか
「一杯のかけそば」、「クリスマス」、「ディズニーランド」、「ノストラダムス」など
80〜90年代を若者として過ごした世代にはなじみのあるキーワードを軸に
1958年生まれの著者が当時の心象風景を振り返りながら、「日本のクリスマスは
1983年に始まった。」などといった事象をある側面から切り取って、著者独自の論が
展開されます。

それをサポートするものとして、雑誌の特集やドラマ、マスコミの動きを捉えた情報と
若者を中心とした世代が男女別にどのように「消費」に取り込まれて行き、既に縮小傾向に
ある「若者が活躍する場」が減少するに至ったかを解き明かそうとします。

ここでの若者が活躍する場を定義することができたのは、若者が輝いていた時代を知る
著者だからこそだと思いますが、好ましい意味での持て余す時間と貧窮を鮮やかに描き
出していると思います。

社会システムを破壊するか逃げ出すか、という結論になり、カラダを使って、
勘と度胸で乗り切れ、では、さすがに若者は浮かばれないと思うのですが、現在
若者を取り囲む厳しい環境を見るにつけ、著者の論に寄れば、新しい社会システムが
生まれつつあり、その先頭(或いはその少し先)に若者が位置していると考えれば、
希望も生まれるということにはなると思います。
4.0 若者よ文化に逃げろ
さて、本書は週刊文春に連載された筆者の記事を時系列的にまとめ、ご自身が書かれているように「バカの壁」的編集作業により作り上げた1冊の時代社会学。
作者は1958年生まれ(小生59年)であるからほぼ同じ時代を生きて来たわけであるが、回想録的な作者の若者時代とはかなり違う生き方をしてきたようで同感できる部分とそうで無い部分が分かれるのはしょうがないだろう。
しかし、時代がまさに日本的資本主義のゴールを既に迎えているにも係らず、だれも試合が終わった事を宣言しない現在と言う捉え方には激しく同意する。また、若者に「逃げろ」とアドバイスする。そして文化にかかわれと。すなわち手に職をであると。正しいと思う。
クリスマスは彼女とシティーホテルにしけ込み、大晦日はTDLで年越し、そんな軽薄な文化を知らず知らずに植えつけられ、ただただ消費者としての役割を演じて来た若者、特に男性。バブル終焉後も同じような世相が続いている。若者はカモになってしまった。
世相を示す当時の雑誌やテレビ番組、視聴率等のデータを処理して若者時代論を展開していく。非常に楽しく?読める。若干、作者の思い入れが強い部分のデータ解釈には?マークも付くし、話がほぼ都会限定なので違和感がないでもない。しかし、このような資料収集とデータ処理から見えてくる世相は大きな間違いはないのであろう。
多くの現代を生きる若者にとっては既に古き良き時代の童話なのかもしれない。そして、逃げる用意を早急にする必要があろう。
だって、この本がが出版された時はまだ年金問題は登場してないですから。爺婆の命は今や若者が払うだろう年金が原資ですから。
5.0 一つの時代論
 筆者は,1958年生まれで,1979年〜1984年を大学(早稲田大学漫研)で過ごした人。自分の体験をベースに,筆者独特のデータ調査(学生アルバイトに当時のドラマを全て見せて,「いつから携帯電話が登場するようになったか」を調べたりする)も入れて,1983年,1987年,1989年,1991年,1999年・・・という定点的な社会観察をしている。

 80年代を通して,女の子の値段が高くなり(やらせてもらうために要するデート費用などが異常に高騰した),「女の子は勝手にお姫さまにおさまってしまった」(83頁)のが1987年。
 それが,1991年になると,ドラマ「東京ラブストーリー」の赤名リカに典型的なように,女性は,「自分らしい生き方は譲らない。女性であることも手放さない。どちらもかなえてくれる相手でないと恋愛しない。」という風に,「自分たちの価値と立っている位置を下げない宣言をしてしまった。」(132頁)。
 ≪90年代は,男性はヘアヌードに夢中になり,女性は恋愛ドラマを熱心に見続けた。
  (中略)
  性情報は増えたが,何でもない男はただではやらせてもらえなくなり,何もない女は自分のどこを売ればいいかわからなくなった。≫(139頁)

 面白おかしく文章が続くので,何となしに読み進めてしまうが,結構本質的なところを指摘しているように思った。

3.0 1980年代の変化を実体験とともに語る
筆者は、現代を若者が損をする「若者殺しの時代」であると捉え、その時代の始まりが1980年代だと論じている。雑誌の見出し、クリスマスなどのイベント、筆者の実体験などから、時代の変化を探ろうとする視点は面白い。ただし、本書の論は、個別の調査結果で日本社会全体を類推しているという意味で注意が必要である。ひとつの見方を提供してくれる本だと言える。

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