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水族館狂時代 〈おとなを夢中にさせる水の小宇宙〉 (講談社現代新書)

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水族館狂時代 〈おとなを夢中にさせる水の小宇宙〉 (講談社現代新書)の商品レビュー

3.0  サラリとした“水族館“紹介
 本書は、水族館の歴史から展示されている生物やその方法をどれもサラリと触れる程度に書いた、水族館に興味をもち始めた観客が、1冊目として読むにふさわしい内容となっている。
 水族館は動物園のように行動展示式が取り入れにくく、生態・出産・育児・捕食・水槽では見えない特記事項等は映像展示で行なうのが主で、これがまた類型的なため、特色はデカイ水槽やジンベイザメのようなデカイ魚になりがちである。
 学術的調査にのみ重点をおかず、観客に対する生物の案内や手書き解説版がもっと盛んになるなど集客努力を各館が競うようになれば、水族館ももっと隆盛を極めるようになると思われるが、未だそうは言い難いのではなかろうか。
 水族館展示の裏側(設備や展示魚の捕獲・移動などに関して)のもっと紙幅が費やされていれば、終章の「アメリカ水族館紀行」が旅日記風で楽しく読めたように、もっと面白かったのではないか。
3.0 まるで旭山動物園
水族館を企画する・演出する・作る側から、日本と米国の水族館をエッセイ風に紹介している本です。
もちろん魚介類の生態の紹介もありますが、展示することを意識してのもので、挿入されている写真も魚よりも建築物や展示方法の写真の方が多くなっています。まるで旭山動物園に関する本を読んだ時のように、創意工夫に感心しました。
私はダイビングをしているので問題ありませんでしたが、魚の名前と姿が一致しない人には何を書いているのかわからない部分も多いのではと感じました。尤も魚に関心のない人は手に取らない本かもしれませんが。
1.0 講談社ともあろうものが・・・。
 プロローグの”おとなの話”とは,一体,何を指して書いているのか?「孫引きの孫引きの・・本」としか言いようがない。
第一章から第三章は,これまでの”水族館-啓蒙書(特に新書・文庫類)”に書かれていること。
 第四章・第五章辺りに少し著者の努力がみられるかもしれないが,きちんと一次資料に当たって書いてないのは”参考文献”を見ればハッキリとする。
講談社には,”ブルーバックス”という一般向け科学啓蒙書があるのに,その中の水族系が一切登場しない。”イカが飛ぶ”話を
書くのなら,同社のブルーバックス『イカはしゃべるし,空も飛ぶ』が紹介されてないのは理解できない。また,同社
ブルーバックスの『魚のおもしろ生態学』『大衆魚の不思議』(この2冊の方が40頁余りの第三章より,よほど面白い)等も
入っていない。まして,講談社学術文庫『魚の博物事典』も参考文献,いや,引用・典拠文献でもおかしくない。
 現代新書は,岩波・中公と並ぶ,啓蒙書。”啓蒙書”は,わかりやすく,読みやすく,さらに,先に興味つなぐことが重要な使命で
あるはずなのに・・・。
 著者が水産学系でない事は,まったく関係ない。むしろ”おとなの話”には,CMプロデューサーの
経験がどう,動物園・水族館の企画運営に役立ったか,社会性への話が語られるべきではなかったのか?鳥羽水族館がリニューアル
した時の企画長が書いた『水族館のはなし』は企画のみならず裏方を経験した話まで語られている。『水族館を極める』には,
大都会のまん中での水族館運営の工夫が語られている。一体,何の為にこの本は書かれたのか・・・。
 編集者・企画者・著者は,アマチュア(素人ではない)にここまで基本的な事を指摘されるようでは,本が売れないのも仕方無い
ことかもしれない。”人のふんどしで相撲を取るなら誰でも本が書ける”いい見本であろう。
4.0 水族館のことも学べる軽妙なエッセイ
水族館についてきちんと学ぶ本ではない。脱線しまくるは駄洒落は出るは軽妙な流れの本書だが、全国のいい水族館、水族館の主役である水族、水槽・擬岩などハードと一通りの紹介がなされていて、水族館の舞台裏が分かって面白い。とくに水族の紹介は、水族にまつわるうんちくも多く、水族館で語るネタにもなりそうだ。読むと水族館に行きたくなる。

また、著者が懇意にしている全国の水族館館長たちの情熱的な言葉や行動から、水族館にとって海の現場がとても大事なものだと分かった。著者の口癖という「海に潜らないで水族館の仕事をする人はもぐり」ってまた、駄洒落なのだが、いい言葉だと思う。
4.0 ひと族が水族に狂ったとき
相変わらず水族館は人気がある。
日本中の公共施設やら集客施設やらが軒並み苦戦しているなかで、水族館を訪れるひとの数は増えている。
この本によると日本には約100館の水族館があり、アメリカも100館だそうだから、日本は世界一の水族館王国、世界一の水族(魚や水の生き物たち)好きなのかも知れない。
さて、水族館づくりの仕事をされているという奥村氏の本は、新書らしく水族館がどのように誕生したかや日本の水族館の歴史なども概説されてはいるが、基本は水族に狂い(愛し)水族館に情熱をささげる人間たちのお話である。
本文中に何度か書かれているが、良い水族館、人気の水族館かどうかを左右するのは、そこに関わるひとたちの「人間力」なのだそうである。たくさんのひとを惹きつける水槽の向こうに、人間力が隠されている。
珍しい魚たちや巨大な水槽などがつくりだす美しく幻想的な世界。その世界をつくり育てるひととそこに訪れる感動するひと、それぞれの心のなかにあるロマンがバーチャルではないホンモノの生き物を通じて出会う場が、水族館なのかも知れない。現代は人間力がつくりだすホンモノに飢えている。
この本はしかし、そんな堅苦しい本ではなく、いろいろな楽しい魚たちの話、水族館に関わるユニークな人間たちの話にあふれている。
読後には、ふと水のなかの世界に想いをはせ、そうだ久しぶりに水族館に行ってみたいなぁと思わせる、とても楽しい本である。

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