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ぼくのメジャースプーン (講談社ノベルス)

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ぼくのメジャースプーン (講談社ノベルス)の商品レビュー

5.0 子ども書くの、うますぎ。
 辻村先生は子ども書くのうますぎです。ほとんどの作品に子どもが出てきますが、どれもほんとうまい。
 
 私のお気に入りの作品は『冷たい校舎の時は止まる』と『子どもたちは夜と遊ぶ』なんですけど、辻村先生の作品を最初に読むならこの作品がいいかもしれません。というのも、私が好きな2作品は2冊に分かれてて長いので(長さを感じさせない面白さですが)、これは1冊ですから手に取りやすいんじゃないでしょうか。

 とはいえ、内容は濃いですよ。
 小学生の目線からストーリーが進むので読みやすいし、小学生だった自分を時々思い出してふと懐かしくなります。これも辻村作品の特徴ですね。
 主人公に不思議な力の使い方や特質を教えてくれる秋先生がまたいい味出してます。すごく厳しい言葉をさらっと言ったりして、どきっとさせられるんだけど、それが真髄をついているようでぐっときてしまいます。

 うさぎが死んでしまうところは小説の中だというのにとても悲しかったです。ふみちゃんがバカにされたり、からかわれたりするのにも、こちらまで苛立ちました。書かれているのは単なる文章なのに、本当に怒っていることではないのに、そんなことを冷静に考えている余裕なんかいつの間にかなくなっているんですよね。
 面白くない小説はいつまでも読者を物語世界に引き込んでくれないものです。面白い小説はまったく逆。すぐに読者を引き入れて、現実世界になかなか帰してくれない。

 似たような世界観、似たような人物、似たようなテーマを扱っているにもかかわらず、毎回見事に違う味がする。
 新刊を買ってしまいたくなるのはそのせいでしょう。
 
 ともあれ、まだ味わっていない幸運な方はぜひ!!
4.0 一人称だから描ける細かな心理描写
著者の四作目にあたり、前作『凍りのくじら』同様SF(少し不思議)な物語。

著者は講談社のメフィスト賞を受賞してデビューした期待の若手女流作家である。
デビュー作と二作目はホラー小説にカテゴライズされる作品で、一人称で物語を描き場面によって視点(語り手)が変わるザッピングの手法を使っている。
細かな心理描写が上手な著者だからこそ生きてくる手法であるが、視点がコロコロ変わるために読み難く深く物語りに入り込めないという人もいて好き嫌いが分かれる書き方である。
しかし、三作目とこの四作目『ぼくのメジャースプーン』はエピローグを除き全編を通して主人公の視点から物語が語られる。
それによりより深く主人公の心の動きが読者に伝わり、主人公との同化がしやすくて話しにのめり込んでしまう力がある。
個人的に三作目・四作目の辻村深月ならではのSF(少し不思議)な話の方がデビュー作のホラーよりも味わい深くて好きです。
話の伏線の配置やヒントのほのめかしも上手で作家としての実力は若手でトップクラスでしょう。
まずは読んでみてください。損はしないはずです。
5.0 心と罪の重さを量るメジャースプーン
 あなたの友人が心ない者の行為で深く傷つけられたらどうしますか? あなたが誰にも知られない力でその者を罰することが出来るとすればどうしますか?

 小学四年生の「ぼく」の小学校で飼っていたうさぎを興味本位である男がずたずたに引き裂かれ殺されてしまった。無惨なうさぎの死体を最初に見ることになってしまった幼なじみの女の子はそのショックのあまり心を完全に閉ざしてしまったまま登校しなくなった。
 うさぎを殺した男は「器物破損」としてしか罰せられず、傷つけられた女の子はその後もネットで「消費」されつくした。

 「ぼく」が男に対して力を使うまでの1週間を、同じ力を持つ先生との話で紡ぐストーリー展開、ネットやマスコミの乱暴なほどの力や享楽殺害と「正義」とは何かをテーマにした重厚さ、そしてなによりミステリーらしいどんでん返しやスリル。
 考えさせられ、楽しませてもらい、ハラハラしながら、最後にほっとする……すばらしい作品でした。今年読んだ小説の中でもピカイチです。

 タイトルが平凡という意見もあるのですが、「メジャースプーン」が悪と正義の重さを量ってバランスを見て……とこれも良いタイトルだと思うのですがいかがでしょう?
5.0 これはもう名作だと思います
 これは学校で飼っていたウサギを惨殺し女の子の心を壊した犯人に特別な力を持った少年が罰を与える話。まだ小学4年生だけどとても賢く同じ力を持った秋教授との会話では考えさせられる場面がたくさんありました。ウサギが殺される場面はとても悲惨で読んでいてとてもつらくなりますがそれは必要なものだと最後には必要だと思えました。絶対に買っても損はありません。ぜひ読んでほしいです。
5.0 ハッピーエンドにホッ
だいじな友達を傷つけられた少年の心の闘いの物語で,
特殊な力を持つ少年はその力で犯人に罰を与えようと考えます.

物語は,同じ能力を持つ年長者との会話に終始するのですが,
道徳や倫理など,読みながら自分ならと考えるところがたくさん.

この年長者は,大人として能力の使い手の先輩として,
時に冷たく,ドライなことを少年に投げかけるわけですが,
決して,いじめとかそのようなひどいものではなく,
むしろ子供相手にひとりの人間として接する暖かさを感じます.

また,少年の側も冷静に賢い対応を見せるのですが,
やはり子供という反応を示すときもあり,この強弱がよいです.

最後はお決まりのハッピーエンドではありましたが,
子供たちの辛さが伝わってきていただけに,
とてもスマートでよい終わり方だったと思います.

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